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【独占ロングインタビュー】キャプテン長谷部誠が背負った“4年間”と躍動の決意

2014.06.19

[SAMURAI SOCCERKING 7月号掲載]

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インタビュー・文= 岩本義弘 写真=兼子愼一郎

2010年南アフリカW杯でゲームキャプテンを任されてから、丸4年間、腕章を巻き続けてきた長谷部誠。言葉では言い尽くせない、様々な出来事に対してキャプテンとして向き合ってきたその4年間に対して、ブラジル大会本番を迎えた今、何を思うのか。サムライサッカーキング7月号に掲載された独占ロングインタビューを全文掲載する。

■ケガ、そして復帰。支えてくれた人たちへの想い
──長谷部選手はこの数カ月、ケガからの復帰のために、相当な覚悟でリハビリに取り組んできたと思いますが、改めてその期間を振り返って、どういう気持ちで日々に臨んでいましたか?

長谷部 すごく難しかったですね。やはり一番は、痛みがなかなか取れなかったことで、次のステップを踏めなかったことです。痛みがあると、リハビリの次のステップに進めないので。そういう中で逆算しながら、「W杯に間に合うのかな、この痛みは本当になくなるのかな」、そういうことを考えていましたね。そういう意味では、不安がある中でのリハビリだったと思います。

──それを乗り越えられたのはなぜだと思いますか?

長谷部 うーん……とにかく、一番はサッカーをしたい気持ちというか。何の痛みもなく、自分が大好きなサッカーをもう一度やりたいという、その気持ちが強かったですね。それと、とにかくやっぱりいろんな方が支えてくれたので、そういう方たちのためにも、ピッチに戻って恩返しをする責任が自分にはあると思っていました。それを強く感じて、根気強くリハビリに取り組みました。

──ブンデスリーガの最終節で復帰して、ピッチに立ってプレーした時、真剣勝負の舞台である程度やれるという手応えを掴んだ時は、どう感じましたか?

長谷部 正直、ピッチに立つ前にもう既に……なんだろう、「やっとサッカーができる」というのがうれしくてたまらなくて。もちろん、足とか心肺機能とかも結構キツくて、疲れてはいましたけど、その中でもとにかくうれしさが勝るというか。サッカーをプレーできる幸せというか、それを感じながらやっていましたね。

──試合後のコメントでも、「ここは無理しなきゃいけないところだった」と、相当無理を押しての出場だったという話もされてました。ただ、試合を見ている限りは、かなり当たりも激しく、ケガ明けであることを感じさせないようなプレーに見えましたが、プレー中はケガのことは意識していたんですか?

長谷部 いや、全く意識してなかったですね。ピッチに立ったらもう、そこで何が起きようが、それはすべて受け入れる準備ができていました。復帰のために尽力してくれた方々には申し訳ない考え方だったのかもしれませんが。もちろん、多少のリスクはあったと思うんですけど、でもいつかそのリスクを冒さなければいけない時がくるわけで、その勝負どころは「今だ」というふうに思ったんです。だからそれはもう、すべては自分の責任で、自分の判断で、プレーしていた部分もありました。だから試合中は、膝のことは全くと言っていいほど考えていなかったですね。

──復帰できるな、と感じたのはいつ頃でしょうか?

長谷部 試合に出た1週間前ぐらいに、急に良くなったというか。そういう感覚があったんです。それまでは、練習をしたら常に膝が腫れるというのを繰り返していたのですが、突然、練習をした後も全く腫れなくなりました。その瞬間が急にきたので、その時は、すっと自分の前に道が拓けた気がしましたね。

──W杯に照準を合わせて、無事にピッチへ復帰できたというのは、ご自身がどう考えているかはともかく、それはそれでもう一つの勝利だと思いますが、支えてくれた方々に対する感謝も含めて、その時の気持ちを教えてください。

長谷部 そうですね。僕は2回手術をしていて、特に2回目に関しては自分にも責任があると感じています。ただやはり、ここまで長いリハビリの中で、本当にたくさんの方々に支えられて、そういう方たちの思いも感じながら取り組んできたので、リハビリが間に合ってピッチに立った時は、勝利したというよりは、やっぱりまずはホッとしたというか。本当に純粋に、そういう気持ちになりましたね。

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■南アフリカで感じた悔しさをぶつけるためにやってきた
──続いて、具体的なW杯の話についてもお聞きします。まず、グループステージで対戦する3カ国について。コートジボワールに対してどういう印象を持っていますか?

長谷部 前回のW杯の直前に戦った時は、本当に歯が立たなかった、という印象があります。それから4年経って、コートジボワールがどういうチームになっているのか正直まだ分からない部分はあるんですけど、当然個々の選手で言ったら、世界トップレベルの選手が揃っていますよね。マンチェスター・シティーのヤヤ・トゥーレなんかは、今では世界で3本の指に入る中盤の選手なんじゃないかなとも思いますし。非常に嫌な相手ではありますね。

──初戦ということで、特にその試合が重要になってきます。

長谷部 初戦にどのように臨むかと言われれば、やはりまずは自信を持って臨まなければいけないと思っていますし、その自信は、最高の準備をすることによって生まれるものだと思います。フィジカル的なフィットネスの部分であっても、精神的な部分であっても、とにかく初戦にピークを持っていけるように、最高の形でコートジボワール戦を迎えられるように準備をすることがすべてだと思っています。

──続いて2戦目のギリシャについて聞かせてください。

長谷部 ギリシャに関しては、まだあまり映像を見ていないので何とも言えませんが、ただW杯欧州予選の成績を見ても、8試合で2失点、プレーオフを合わせても10試合で4失点しかしていないので、非常に守備の堅い、チームワークに優れたチームなのかなという印象がありますね。

──そういう意味では、やりづらさがあると。

長谷部 そうですね。個で守るというよりは、組織で守備をしてくると思いますし、そういうまとまりの強さみたいなものは感じますよね。

──第3戦のコロンビアはいかがでしょうか。本当に今勢いのある国ですが。

長谷部 コロンビアは間違いなくこのグループでは一番強い相手だなと思っています。個も強烈ですし、チームとしても非常に戦えるチームだなと。そういう意味では、非常にやりにくい相手かなと思ってます。

──前回大会の経験も踏まえて、グループステージを突破するポイントというのは、どういうところになると思いますか?

長谷部 いろんなシチュエーションをイメージしなきゃいけないと思うんですけど、まずはやはり初戦が一番大事であって、そこに対して良い準備をしなければいけないと。前回もカメルーン戦に勝って自分たちが勢いに乗れた部分も間違いなくありました。そういった意味では、やはり初戦は本当に大事になってくるかなと思います。

──前回大会でカメルーンとの初戦に勝った後、チームの雰囲気はやはりガラッと変わりましたか?

長谷部 もう、180度変わりましたね。一気にポジティブになるというか、練習の雰囲気から何から、すべてが変わりました。

──第3戦のデンマークに勝った後は、以前のインタビューでも口にしていましたが、さすがにあの瞬間だけはお祭り騒ぎみたいな感じだったんですよね。自国開催以外で初めてのグループステージ突破でしたから、喜びも大きかったと思いますが、あの当時の喜びは言葉に表現するとどういう感じだったんですか? すごいプレッシャーもあったと思うのですが。

長谷部 そうですね、やはり、あの試合で勝つか負けるかというのは、日本サッカー界全体ということも踏まえた上で全然違ったと思うんですね。自分たちも少なからずプレッシャーを感じていましたし、そういうプレッシャーの中で勝てたというのは、自分たちの成長を実感できる部分でもありました。そのうれしさを言葉で表すというのはなかなか難しいですね。

──自分自身がどういうふうに喜んだかは覚えていますか? イメージとしては、率先して喜ぶというよりも、周りがすごく喜んで、いろんな選手が

長谷部選手に絡んでいく、というようなイメージなんですけど。

長谷部 どうだったかな……。なんか、そういう意味ではあんまり覚えていないですね。我を忘れる感じで喜んだのかもしれないです。

──なるほど。今回、ご自身は2度目のW杯ということになりますが、前回と比べてW杯に臨むにあたって自分の中での変化はありますか?

長谷部 やはり一度経験しているということで、大会への気持ちの持っていき方に関しては、4年前の経験が大きいかなと思いますね。自分の中では、4年前の南アフリカで感じた悔しさを今度の大会にぶつけるためにこの4年間頑張ってきたので、そういう大会にしたいと思っています。

──まさに目前に迫ってきて、ワクワク感が強いと?

長谷部 いや、もう今はワクワクしかないですね。やっと来たかと。W杯は4年に一度で、だからいいんだっていう意見もありますけど、本当に、2年に1回ぐらいあってもいいんじゃないかと思うぐらい、ずっと待っていた大会なので。楽しみでしょうがないです。

──しかも今回は、前回のチームとメンバーもガラッと変わってるわけではないじゃないですか。そういう意味で言うと、W杯を経験している、しかもグループステージ突破を経験したメンバーが多くいるというのは、大きいんじゃないですか?

長谷部 多くの選手が前回大会を経験しているというのは、もちろん、プラスの面も多いと思います。ただ、前回は、長友(佑都)や(本田)圭佑、(川島)永嗣もそうですが、初出場の選手たちが躍動した部分もありますから、そういう意味では、今回が初めての選手たちにも躍動してほしいと思うし。とにかく、すべての選手が勢いを持っていけたらいいなと思いますけどね。

──メンバー発表では、前回ともに戦った大久保嘉人選手も入りましたが、この選出についてはどういうふうに感じましたか?

長谷部 素直に僕自身もうれしかったですし、彼は1トップやサイド、シャドーなどいろんなポジションができるので、非常に競争が激しくなるなと。それはもちろん、チームにとっては非常に良いことで、彼が入ることによっての化学反応に期待していますね。

──本人は「絶対に点を取れるイメージがある」と言っていましたが、そういう感覚を持っている選手が入ってくるのは頼もしいんじゃないですか?

長谷部 そうやって言ってくれるのは、すごく頼もしいですね。もちろん、自分もそうだし、嘉人さんもそうだし、まずはチーム内のレギュラー争いを勝ち抜かなきゃいけないと思いますし、その部分では良い競争をしていきたいなと思いますね。

──そういう意味では、中盤でもフェアな競争があると思うんですけど、その状況はどう捉えていますか?

長谷部 そうですね。2013年の東アジアカップが終わった後ぐらいから、いろいろな選手が、若手も含めて入ってきて、(アルベルト)ザッケローニ監督としても、多くの選択肢ができたと思います。その中で、いかにチームとしての戦いをするのか、どの選手をどう使うかという部分で、監督も悩んでいると思うんですよ。ただ、こういった競争に関しては、自分たちが強くなるためにも、結果を残すためにも必要なことだと思いますし、今はチーム内で非常に良い競争ができていると思います。それはどのポジションでも同じですね。

──W杯で上に行くためには、グループステージの3試合だけじゃなくて、その先も含めた戦いになりますよね。特に消耗の激しいボランチのポジションというのは、今回選ばれた4人が全員フル稼働することになると思いますが、例えば自分自身がスタメンじゃなくなった時には、どういうふうに試合に臨もうと考えていますか?

長谷部 いや、自分の中でスタメンじゃないイメージというのは、あまりしないですね。でも、それはもちろん、それぐらいの気持ちで臨んでいるということであって。前回大会の時も、例えば楢崎(正剛)さんであったり、俊さん(中村俊輔)であったり、そういう人たちが直前で先発メンバーから外れて、その中での彼らの振る舞いも見ているわけですから、もし僕がそうなったとしても、問題なく準備をして試合に臨めると思っています。

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■キャプテンとしての責任の重さとともに歩んだ4年間
──先ほども言っていましたけど、みんなこの4年間で、本当にそれぞれが、それぞれの成長を遂げてきたと思います。4年前のチームと比べて、今のチームの成長というか、成熟度についてどのように感じてますか?

長谷部 もちろん、個々の選手たちがいろいろな経験をして、個のレベルも上がってきていると思います。その強烈な個、ハイレベルな個が、チームとして一つの方向に向かえているので、とにかく大会を迎えるのが楽しみだなと思っています。自分たちが、自分たち自身に期待をしているというか、そういうものは強く感じていますね。

──この4年間、長谷部選手にとってはケガもありましたし、移籍もありました。それこそ所属クラブで試合に出られない時期もあった中で、本当に濃密な4年間だったと思うのですが、この4年間の中で自分自身にとって一番キツかった時期はいつでしたか?

長谷部 キツかった時期はしょっちゅうありましたよ。移籍問題も絡んで、ベンチにも入れずに、というか普通に練習も一緒にさせてもらえないような時もありましたから。あの時は本当に苦しかったですね。あとはやっぱり、今年に入ってからのケガ、そしてリハビリの期間も、相当難しい時期でした。

──そうした大きな経験を経て、ご自身の中でどういう変化がありましたか?

長谷部 とにかく、精神的に成長できたかなと。逆境と言いますか、そういう時期を経験すればするほど、それを乗り越えた時にまた一段と大きくなっている自分がいて。それは、自分でもとても実感できたところですね。

──逆境を乗り越えた時というのは、ふとした瞬間に気付くんですか? 

長谷部 それを感じる時は、その次の逆境がきた時だと思います(笑)。なので、今考えると、ケガをしていた時期も、試合に使われない時期も、自分にとっては必要な時間だったと思います。だから今では、「あんなこともあったな」ぐらいな感じですね。

──逆にこの4年間で一番うれしかったのはどの時期ですか?

長谷部 うーん……そうですね、11年にアジアカップを優勝した時もうれしかったですし、もちろん、W杯出場を決められたこともうれしかったですし、今回、ケガから復帰してピッチに立った時も本当にうれしかったです。なので、どれが一番というのはなかなか決められないですね。

──この4年間、日本代表のキャプテンとして、いろいろな経験をしてきたと思いますが、改めて日本代表のキャプテンとはどういうものだと感じていますか? あるいはどういう役割だと思いますか?

長谷部 役割については、チームの調整をする人、という感じですかね。どちらかと言うと、引っ張るというよりは、今のチームはとにかくみんなが「先頭に立ってやっていこう」という気持ちを持っているので、そこはそれほど意識していないですね。そういう部分ではなく、チームの雰囲気だったり、テンションの部分で少し調整する、その意味合いが一番強いかなと思いますね。そういう感覚が一番合っているかなと。

──実際、この4年間やってみてどうでしたか? キャプテンの責任の重さみたいなものは強く感じました?

長谷部 うーん……そうですね。日本代表のキャプテンというものを背負わせてもらってる以上、やはりそこに対しての責任はあると思っています。それなりの行動をしなければいけないとも思っています。そこは、4年間背負ってきたものだと感じてますね。

──そういったところでも、自分自身の成長は感じますか?

長谷部 そうですね。もちろん、自分の中でもいろいろな葛藤はあるんですけど。「そこまで背負わなくてもいいだろう」、そう思う時も正直あります。でも、それを背負うのが自分らしいなと思うこともありますし、キャプテンを任せてもらうことによって、自分の中でいろいろな葛藤があって、その葛藤の中で揺れ動くことができたというのも、成長につながったのかなと思いますね。

──今の日本代表チームは、長谷部選手をキャプテンとして、すごくまとまりがあるように感じるんですけども。それはご自身たちでも感じていますか?

長谷部 サッカーチームに限らず、リーダーとかキャプテンがよく見える時というのは、常に周りがそうしてくれているんだと思うようにしています。なので、僕がもし、そういうキャプテンとして見られているならば、それはやはり周りのチームメイトのおかげかなと思いますね。

──周りの選手も確かに、長谷部選手をリスペクトしているのを感じますが、一方で、よくイジってもきますよね。そういうところも含めて、すごく良い空気が生まれているのかなと。

長谷部 リスペクトされている感は全くないですけどね(笑)。

──誰が一番イジってくるんですか?

長谷部 誰ですかね……まあ、全員ですかね。

──全員(笑)?

長谷部 はい(笑)。まあ、本当に若い選手はあまりイジってこないかもしれないですけど、でも、あいつらも多分もうちょっと時間が経ったら……。

──なるほど(笑)。イジられたりすることに対してはどう受け止めているんですか?

長谷部 まあ、いいんじゃないですか。もちろん、言う時は言いますけどね(笑)。

──他の選手に話を聞いていると、長谷部選手がマイペース過ぎる、みたいな意見も耳にします。

長谷部 そうなんですか(笑)。

──例えばみんなでトランプをやっていても、嫌になると途中で帰っちゃう、みたいな。

長谷部 いや、それはないですよ。寝る時間になったから帰るってだけです。

──なるほど(笑)。そこは絶対に時間どおりにすると。

長谷部 はい。風呂に入って寝る時間を計算して帰る、みたいな感じですね。

──いずれにしても、本当にすごくチーム内の雰囲気が良さそうですね。

長谷部 そうですね。雰囲気は良いと思いますね。今のチームは非常にこう、みんな人間性的に良いヤツばかりかなと思います。それはチームを作る上では、非常に大事ですよね。周りから見たら、なんか突っ走っちゃってるんじゃないかなって見える選手もいるかもしれないですけど、そういう選手たちも、やはりチームの中ではしっかりチームの輪を大事にしていますから。


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■「攻撃に守備に、躍動したい」
──今回のチームは、W杯イヤーになってからケガをした選手が多いですよね。

長谷部選手を始め、内田篤人選手、吉田麻也選手と。みんな、本当にW杯に出られるかどうか分からないような大ケガをして、そこから復帰して、こうしてメンバーに選ばれていますが、そういう中でお互いで励まし合うじゃないですけど、モチベーション高め合うような、そういうやり取りはあったのですか?

長谷部 いや、そういうのはそんなにないですね。ウッチーとは、リハビリ施設で一緒になったので、ケガの状況とかを話したりはしましたけど。ケガの種類も違いますし、すごくナーバスな部分でもあるので、そういうことに関してはそんなに話はしていないです。

──一緒に頑張っている存在が自分にとってプラスになったといような感覚はありますか?

長谷部 それはありました。彼らがリハビリをしている姿を見て、自分も頑張ろうという気持ちが湧いてくるというか、そういう意味での刺激はもちろん受けましたね。

──落選した選手もいるから一概には言えないですけれど、そういうふうに一緒にリハビリも頑張った仲間とともにW杯、ブラジルに行けるというのはすごくポジティブなことですよね。

長谷部 そうですね。ケガをしてから、同じような思いを持っていた部分、まさしく共感できる部分もあると思います。ウッチーも麻也も、一緒に選ばれることができて良かったなという思いはもちろんあります。ただ、それと同時に、今回選ばれなかった選手たちもいるわけで。そういう選手たちの思いに寄り添うことも大事ですし、寄り添うことで、やはり身が引き締まる思いがする、というのはありますね。

──長谷部選手が大事にしている自分の中で揺るがないものというか、決してぶれないもの、信念というのはどんなものですか?

長谷部 やはりサッカーはチームワークであり、それはチームの中だけじゃなく、応援してくれている人とか、そういう人たちみんながこう、関わって自分がサッカーをやれているというか。そういうものがあるので、自分自身の中で、誰のためにサッカーをやっているかと言われれば、応援してくれている人のためにサッカーをしているという部分が大きいですね。

──そういう気持ちというのは、ことあるごとに自分の中で再確認するものなんですか?

長谷部 そうですね。特に今回は先ほどから話しているようにケガをしましたから。ケガをした時に、ほんとに多くの人に支えられて、復帰できました。そういう意味では今回のケガで、応援してくれている人、支えてくれていてる人たちのために、という部分はより強く感じるようになりましたね。

──W杯の舞台で自分たちの臨む結果を出すためには、何が一番必要だと思っていますか?

長谷部 自分たちのサッカーをすることと、最高の準備ですよね。最高のコンディションで臨むことだと思います。それができれば、本当にどこが相手でも渡り合えると思いますし、それがブラジルであっても、それがドイツであっても、それがスペインであっても、そういう感覚は間違いなく自分たちの中にあります。だからこそ、最高の準備をすることが一番だと思っています。

──そういう意味では、13年のコンフェデレーションズカップだったり、その後のヨーロッパ遠征だったりで、ああいうトップレベルの国と真剣勝負ができたというのはすごく大きかったということですね。

長谷部 はい。そういう経験が間違いなく自信になっていると思います。それは本当に大きかったと思いますね。

──自分自身、個人のプレ—として、今回一番心掛けることは何ですか?

長谷部 いろんなことはイメージしています。とにかく自分の良いところっていうのを、チームのやり方と融合させて、攻撃に守備に、僕のポジションなら両方やらなきゃいけないので。……躍動。躍動したいですね。

──躍動。いいですね! 素晴らしい言葉だと思います。それでは、チームとしてはどうですか?

長谷部 多分、もう日本のサッカーというのは、もちろん個々の選手がいろいろなビッグクラブでプレーするようになっているという状況もありますし、自分たちが代表レベルでも結果を出しているという部分で、世界に対しては相当大きなインパクトを起こさないと驚かれないと思うんですよね。だからそれはやっぱり、自分たちが積み上げてきた攻撃的なサッカーを表現すること、そしてそれプラスやっぱり結果だと思うんです。おそらく、世界中のどこの国も、僕たち日本がベスト16に行っても、ベスト8に行っても、あんまり驚かないと思うんですよね。だからやっぱりそれ以上を目指したいなと思いますね。なおかつ、ただ結果を残すだけではなくて、やはり自分たちのサッカーというものを示したいと思っています。

──なるほど。今の代表のサッカーというのは、本当に内容も含めて、自分たちで主導権を取るという、過去の日本代表と比べると初めてのことにチャレンジしていますよね。素晴らしいチャレンジだと思うんですが、そこについてもやっぱりその内容でも驚かせる自信があると。

長谷部 そうですね。おそらくコンフェデ杯でも、例えばイタリア戦なんかは、もちろん負けはしましたけれど、自分たちの戦い方というものが出せていて、外国から見ても相当な評価をしてもらったというのはあると思うんです。ただ、あれ以上の戦い方も、自分たちは全然できると思っていますし。やっぱりそういう意味では、自分たちのチームだけのことを考えるのではなくて、これからの日本のサッカーが進むべき道というものを、自分たちのプレーによって示せたらいいなと思ってますね。

──では、最後の質問です。改めて、今回のW杯の目標を教えてください。

長谷部 目標は常に言っているとおりです。僕は小さい頃から勝負事に負けることが嫌いなので、とにかく勝負事にはすべて勝つという気持ちです。それはW杯であろうと変わりません。すべての試合に勝つつもりでいきます。

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