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「奈良劇場総支配人」奈良クラブ岡山一成のJリーグへの道:第五回

2013.12.26

「日本にも寄付をする文化が根付くようにしていきたい。サッカーとも絡められたらええな」

 ジャストギビング代表理事の佐藤大吾(ダイゴ君)が言った。

「ネットからクレジットカードで寄付するのはハードルが高いな。そこらへんがちゃんとした形で認知されたらサッカーも絡めるで」

 ジャストギビングを設立する直前のダイゴ君と飯を食いながら、話した。

 ダイゴ君とは俺が二十歳の時に知り合ったから、15年ぐらいの付き合いで、いろんなオモロイ事をやっている仲間。同じ堺市の出身やから、つるむようになった。

 2010年に新橋の居酒屋(六本木や西麻布より、新橋が落ち着くわ)で鍋を突きながら、寄付サイトについて聞いた。

 それが冒頭の会話や。正直、その時はサッカーを絡めるのは難しいかなと思っていた。


写真=GettyImages

 2011年3月11日に東日本大震災が起こって、日本プロサッカー選手会でチャリティーマッチをするにあたって直面した問題が、開催資金をどう捻出するかだった。

 ここでは書かんけど、いろんなしがらみがあり自分たちで集めないとアカンかった。ジャストギビングを活用しようという運びになった時も、正直どれだけ集まるか不安やったけど、サッカーを愛する人たちにすがるしかなかった。

「このチャレンジに3000円寄付します」
「選手会のチャリティーマッチに1000円寄付します」

 そんなコメントとともにジャストギビングのサイトからクレジットカードでみんなが寄付してくれて、5000万円近くの寄付金が集まった。

 サッカーを愛する人たちの愛の深さと感謝で胸が熱くなった。

 あの大震災で誰もが何もすることができない無力感を思い知ったけど、自分たちに何かできないかという思いを模索した形の結集やと思う。

 震災から立ち直りつつある現状と、まだ震災の中で必死に直面している現実がある。

「もう自分にできることはしたよ」

 俺もこんな風に思ってしまう部分はある。だけど、復興に10年はかかると言われて、まだ3年も経っていない。

 俺は今年からプロサッカー選手じゃなくなって選手会会員ではなったから選手の立場じゃないけど、運営の一員として企画を盛り上げるためにチャリティーマッチに参加します。

 実は当日の集客が芳しくありません。

 仙台は寒いやろうけど、俺がみんなを暖めにスタジアムを回るから、笑かすから、ぜひユアスタに来てください。

 寄付ももう少ししてもらいたいのが現状です。

◎ジャストギビング寄付サイト
http://justgiving.jp/c/9311

◎選手会チャリティーサッカーページ
http://www.j-pfa.or.jp/charity2013

 みんなの心に届くことを信じて、ユアスタ劇場、開幕します。

岡山一成(おかやま・かずなり)
1978年4月24日生まれ。大阪府出身。
初芝橋本高卒業後、テスト生として横浜Mへ。打点の高いヘディングとガッツ溢れるプレーが評価されてプロ契約を勝ち取ると、デビュー戦から3試合連続ゴールを記録して一気に頭角を現した。大宮、横浜FM、C大阪、川崎F、福岡、柏、仙台と渡り歩く中、川崎F時代に始めた試合後の“岡山劇場”でサポーターの心をつかむ。柏時代には日立台のゴール裏でサポーターともに応援したこともある。09年に移籍した韓国・Kリーグの浦項ではACLを制し、FIFAクラブW杯で3位に入った。11年から昨シーズンまで札幌に在籍し、今夏からアマチュア選手として奈良クラブへ加入。J1通算64試合6得点、J2通算214試合20得点。

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