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アトレティコの躍進を支える生え抜きMFコケ「全力を尽くしてチームの力になりたい」

2013.11.25

Partido de la Liga BBVA entre la Real Sociedad y el Atlético. En la imagen, celebración de Koke tras marcar el segundo gol del Atlético. BBVA League match played between Real Sociedad and Atlético. In this picture, Koke celebrates after scoring the second goal for Atlético.

[ワールドサッカーキング1121号掲載]

アトレティコ・マドリーが開幕から快進撃を続けている。躍進を支えているのはクラブ生え抜きのMFコケだ。知将ディエゴ・シメオネの指導の下、この数カ月で飛躍的に知名度を上げた21歳の俊英が、近年のリーガにはびこる2強の構図に風穴を空ける。

インタビュー=工藤 拓 Interview by Taku KUDO
写真=ゲッティ イメージズ、アフロ Photo by Getty Images, AFLO

理想はピボーテだけどサイドでも問題はない

――ここまでリーグトップタイの7アシストと絶好調だね。キャリアの中でも最高の状態にあると言えるのでは?

コケ 確かに最高の状態にあると言えるかもしれない。良い形で締めくくることができた昨シーズンに続いて、今シーズンも良いスタートが切れた。今は全力を尽くし、可能な限りチームの力になりたいと考えている。

――誰もが君をコンプレート(完璧、穴のない)な選手だと形容している。

コケ 監督の要求に応えようと心掛けているだけだよ。例えば、クラブと代表では求められる役割が異なる。プレースタイルが全く違うからね。でもそれは良いことだと思う。様々なスタイルに適応できるようになれば、それだけ完璧な選手に近づいているということだからね。

――自分の武器は何だと思う?

コケ ボールを保持しながら周囲を動かしていくゲームメークだね。それから守備のタスクでもチームに貢献できているんじゃないかな。

――複数のポジションに対応する万能性も君の特ち味だ。サイドハーフにピボーテ、トップ下。代表では右サイドバックでも起用されたね。

コケ 確かにそれも自分の特長の一つだ。様々なポジションで与えられた役割をこなせるのは良いことだよね。監督はそういう選手を必要としているわけだから。

――子供の頃から複数のポジションでプレーしていた?

コケ いや、カンテラ時代はずっと中盤の底でプレーしていた。他のポジションでも起用されるようになったのはBチームに上がってからだね。

――自分としてはどのポジションがベストだと思う?

コケ 常にプレーしてきたピボーテかな。今は左右で使われているけど、どちらのサイドでも問題なくやれている。ウチのサイドハーフはウイングではなく、マイボール時は中央に寄ってプレーするしね。自分やアルダ(トゥラン)はこのポジションでプレーしているけど、問題なくやれているだろ?

――ここ数試合は左サイドでフィリーペ・ルイスと素晴らしい連係を見せている。

コケ フィリーペとは互いの意図を理解し合えているし、良い連係が築けている。先日のベティス戦でも僕と彼のワンツーで左サイドを突破したところから、グアッヘ(ダビド・ビージャの愛称)のゴールが生まれた。

――攻撃力を備えながら、君ほど守備面でも戦える選手はなかなかいないよ。

コケ 攻めに出た直後に素早く守備に戻るのは難しい。でもそれは監督が僕らに植えつけた哲学なんだ。良い攻撃を仕掛けるためにチーム全体がコンパクトにまとまって、まずしっかりと守備を固める。個々のポジショニングが整った安定した守備は僕らの武器の一つだし、良い攻撃を仕掛けるためのベースにもなっているんだ。

――バルセロナのチャビと比較されることをどう思う?

コケ チャビか……ちょっとお世辞が過ぎるね。チャビになるなんて不可能だ。彼のプレーの半分もできれば素晴らしいことだよ。代表では彼の動きやプレーから学ばせてもらっているし、クラブ生え抜きのカンテラーノという意味でも目標にしている。クラブは違うけど、カンテラから中心選手になり、代表でもずっと活躍している。彼は僕だけじゃなく、多くのカンテラーノにとっての目標なんじゃないかな。

――ユーティリティー性という点では“第二のルイス・エンリケ”とも言えないかな?

コケ L・エンリケか。まだ幼かったから現役時代の彼をあまり見たことがないんだ。ビデオでチェックしたほうが良さそうだね(笑)。

――幼い頃のアイドルは?

コケ 昔はジュニーニョ・パウリスタ(97~99年にアトレティコで活躍)が大好きだった。不運なケガに見舞われてしまったのは残念だったね。その後も注目してきたのは自分と同じ中盤の選手。チャビや(アンドレス)イニエスタ、シャビ・アロンソかな。

監督への恩をピッチ上で返したい

――アトレティコの話をしよう。昨シーズンに成功を収めたと思ったら、今シーズンはその上を行く好スタートを切った。好調の要因は何だろう?

コケ グループとしてのまとまりだと思う。みんながどうプレーすべきかを理解し、共有し、監督が植えつけた「パルティード・ア・パルティード(1試合1試合)」の哲学の下、目の前の試合に全力で取り組んでいる。その結果として勝ち続けることができているんだと思う。

――ディエゴ・シメオネはアトレティコに何をもたらした?

コケ 彼がクラブにやって来た時、チームは本当に沈んでいた。試合に勝てず、コパ・デル・レイで敗退したばかりだったしね。でも、彼はチームに来るなり、僕らには成功をつかむだけのポテンシャルがあると訴えた。彼の言葉を信じることで、チームからネガティブな思考が一掃されたんだ。そしてすべての試合で勝利を目指すメンタリティーが備わっていった。

――シメオネはどんな人物? 怖くない?

コケ 怖くないよ(笑)。強烈な個性を持ってはいるけどね。毎試合、選手一人ひとりにその個性をぶつけてくる。それは僕らにとってとても重要なことなんだ。

――シメオネはあるインタビューで、監督就任の翌日に初めて君のプレーを見て「感銘を受けた」と明かしていた。

コケ 光栄だよ。監督が自分のことをそんなふうに言ってくれるなんてね。シメオネは僕に厚い信頼を示してくれた。それは僕がワンランク上に行くために必要としていたものだったんだ。今は信頼してくれた恩をピッチの上で返せるよう努めているよ。

――初めて監督に会った時、どんな言葉を掛けられた?

コケ 「今は我慢しろ。お前は素晴らしい能力の持ち主で、必ず重要な選手になるから」と言われた。その言葉どおり、監督は僕を試合で使ってくれるようになった。

――我慢の時期は思ったよりも短かったのでは?

コケ そうかもしれない。でも当初はジエゴやアルダ、アドリアン・ロペスといった素晴らしい選手がいて、先発メンバーに食い込むのは難しかった。当時はまだ若かったし、監督は若手の起用に慎重だったしね。ただ、彼はどのタイミングで僕を起用し始めるべきかをよく心得ていたと思う。だから僕も与えられたチャンスをすぐに生かすことができたんだ。

――今シーズンはジエゴ・コスタが絶好調だね。

コケ 昨シーズンもスペクタクルなプレーを見せていたけど、今シーズンはそれ以上だね。今の彼にはあらゆることをやってのけそうなすごみがある。好調の理由は他の選手と同じで、プレーに集中し、何をすべきかよく理解しているからだと思う。監督やチームメート、ファンから受ける信頼を背に、自信をもってプレーしている。

――今シーズンはハイペースでゴールを量産している。

コケ 本当にそうだね。これまでも重要なゴールをいくつか決めていたけど、今シーズンはもう12点? 13点? 本当にスペクタクルだよ。世界最高の選手と言われる(リオネル)メッシを上回っているんだから。

――今夏はバルセロナからベテランのビージャが加入した。彼はチームに何をもたらした?

コケ グアッヘはフットボールの質を高める役割を果たしてくれた。彼が中盤の組み立てに参加し、連係で崩していく形はこれまでのチームにはなかったものだ。昨シーズンはもっとジエゴや(ラダメル)ファルカオへのロングボールを多用していたからね。もちろん、これからゴールもたくさん決めていくはずだよ。代表歴最多得点者の彼はゴールを決めるために生まれてきたような男だからね。

――アトレティコには君の他にもオリベル・トーレスやハビ・マンキージョといった才能豊かなカンテラーノがいる。

コケ 2人とも素晴らしい選手だよ。今は出番が訪れるまで我慢すること。監督はちゃんと考えてくれているから。オリベルは開幕からほとんど出番がなかったけど、ベティス戦で先発起用されて開始わずか15秒でゴールを決めてしまった(笑)。マンキージョも同じで、それまで全くプレーしていなかったのにバジャドリー戦で先発に抜擢された。監督はそういうタイミングを見計らっている。だから常に先発している選手もそうでない選手も、いつでもプレーできるように準備しておかなければいけない。

――カンテラーノではないけど、ウルグアイ人のホセ・ヒメネスも才能豊かなDFだ。

コケ そのとおり。彼もアルメリア戦で起用されたけど、とても安定していたよね。今は辛抱強く出番を待ちながら、チームの快進撃を楽しむべきだと思う。

アトレティコ・マドリーでの活躍により、ビッグクラブからの関心が伝えられるコケ。移籍の噂に触れるとともに、スペイン代表についても言及した。インタビューの続きは、ワールドサッカーキング1121号でチェック!

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