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三田アナと前田さんのここだけの話「一瞬の隙が勝敗を分けたセレッソ戦」

2013.11.19

365日FC東京モバイル

<11月12日>
三田:リーグ第31節はホームでセレッソ大阪との対戦でした。4万371人を動員した味スタを東京の勝利で飾りたいところでしたが、残念ながら1-2で敗れてしまいました。

前田:全体的にはいい内容だったよね。4万を超える観客が入って、それだけ注目される一戦だということを選手たちも感じていたと思う。攻撃が持ち味のセレッソに対して東京も攻撃的なサッカーをすることができ、互いにゴール前に攻め入るシーンも多く、見応えのある試合だった。

 立ち上がりから結構激しくて、互いに意識の高さが出ていたと思う。ただ結論から言うと、最後の攻撃の質みたいなところでちょっと差が出てしまったという感じかな。

三田:前半から激しいボールの奪い合いになりました。奪ってからお互いカウンターで得点を狙うという展開でしたね。

前田:相手の攻撃の芽を摘もうとかなり意識していたよね。東京としてはいつも通りでもあるんだけど、風が強いのを意識したのもあってか、セーフティーに長いボールを使う場面が多かった。セレッソは裏を突いてくるし、柿谷という存在もいるだけに、中盤でパスの出どころを潰そうと激しいプレッシャーをかけていたよね。

三田:中盤といえば、高橋選手が出場停止のため張選手がボランチに入りました。

前田:特に違和感はなかったと思うけど、結果としては、そこに高橋がいればなというところもあった。高橋は以前よりもかなりパフォーマンスが上がって日本代表にも復帰できたし、米本と高橋のコンビは効いていたと思う。高橋がいないことで、失点にはならなくても危ない場面がちょっと多かったかなという気もするね。

三田:また、米本選手が負傷し、前半いっぱいで交代となったのも残念でした。

前田:その影響もかなり大きかったね。それで後半開始からナオ(石川)を入れたけど、1点ビハインドだし、攻撃的な選手を入れることでオプションにはなったと思う。

三田:前半31分にセレッソの南野選手に先制ゴールを決められ、0-1で後半へ折り返しました。

前田:前半はどちらかというとセレッソのペースだったね。こぼれ球から南野に先制ゴールを決められてしまった。セレッソは選手同士がいい距離感を保ち、近くでプレーしていたよね。そうするとこぼれ球もすぐに拾えるし、そこから多彩なパスワークで展開する場面も多かった。

三田:ボールを奪ってからの攻撃が素早かったですよね。

前田:そうそう。サポートが早いから攻撃に人数をかけられる。特に警戒していた柿谷も、前半から積極的にシュートを打つ場面があった。

三田:東京も前半のうちに追い付けそうなチャンスはありましたが、決め切れませんでしたね。

前田:最近なかなかリズムが出なかった千真(渡辺)も、積極的にシュートを打っていたよね。フリーで打てるチャンスもあったし、調子のいいときならば1本くらいは決めていたんじゃないかな。その辺は、やはりこのところ点が取れていないことが影響していると思う。

 点が取れているときって、チャンスに瞬時の判断で思い切りよくシュートが打てるんだよね。でも、調子が悪くゴールから遠ざかっていると、一瞬判断が遅れたり、余計な力が入ってしまったりする。シュートをうまく枠内に入れようとして、ボールが弱くなってしまったり。

三田:渡辺選手に限らず、シュート数は多かったものの、GK正面だったり、逆に枠を外れてしまったり、なかなかいいところに打てませんでしたね。

前田:そのどちらかが多かったよね。枠を外れるのも、ちゃんとミートして外れるのではなく、当たりそこないという感じのシュートが多かった。

三田:1点ビハインドで臨んだ後半は、石川選手を中心にチャンスをつくりました。

前田:ナオは積極的にプレーしていたよね。両サイドの選手が裏を意識して流れることで、かなり攻撃のオプションが増えて、いい起点になっていた。カウンターからナオが右サイドで千真にパスして、千真がフリーでシュートを打つ決定的な場面もあったけど、力みすぎたのか外してしまったね。

三田:チャンスはありながらもなかなか得点を奪えない時間が続きましたが、後半25分にアーリア選手の見事なミドルシュートが決まりました。

前田:ナオの投入で攻撃のバリエーションが増えて、リズムが出てきたことが得点につながったと思う。アーリアのシュートについては、前にもこのコラムで触れたけど、非常に精度が高いよね。キックの種類も持っていて、思い切りよく、なおかつ巻いたボールでしっかり枠を捉える技術というのは素晴らしい。

三田:アーリア選手のシュートについては、ポポ監督も試合後の会見で「単に思い切り打つのではなく、しっかり状況を見ながらコースを選んで、コントロールしたシュートが打てる」と評価していました。一方でチーム全体については、「日本の選手はシュートの精度は高くてうまいが、それを試合で生かし切れていない」と話していました。

前田:アーリアはよく考えて打っているよね。他の選手たちも技術はあると思うけど、決定的な場面では当然、相手DFからのプレッシャーもある。そこで落ち着いた判断をして冷静にシュートを打つためには、経験を重ねていくしかないんじゃないかな。

三田:アーリア選手のゴールで同点に追い付いた東京ですが、逆転のチャンスもありながら生かすことができませんでした。

前田:東京もかなりチャンスはあったけど、決定機はセレッソの方が多かったよね。権田のファインセーブに助けられた場面も2回くらいあって、もっと点を取られてもおかしくなかった。

三田:せめて引き分けのまま終わりたかったところですが、後半42分に柿谷選手に勝ち越しゴールを決められてしまいました。

前田:あれは千真のシュートの後、セレッソのゴールキックに切り替わって、そのゴールキックを受けた柿谷にそのまま決められてしまった。風の影響で、ゴールキックが伸びたんじゃないかな。森重と加賀の背後に柿谷が抜け出して、オフサイドのように見えるんだけど、ゴールキックだからオフサイドはないんだよね。

 このまま引き分けで試合終了かという雰囲気の中で、そこまで森重ら守備陣がしっかり押さえていたのに、一瞬の隙を突かれてしまった。DFラインの裏を権田がリスクマネージメントし、森重と加賀が相手の攻撃陣をマークしていたのに、そこを突いた柿谷はやっぱりすごいね。

前田治(まえだ・おさむ) 昭和40(1965)年9月5日、福岡市出身。現役時代は横浜フリューゲルスのエースFWとして活躍し、Jリーグ通算103試合29得点、日本代表では40試合12得点の成績を残した。引退後はクラブチームのジュニアユースで監督を務める傍ら、各地のサッカー教室にも出向いて指導力、育成能力に磨きをかける。2004年から東京中日スポーツの評論記事「東京論」を執筆中。
三田涼子(みたりょうこ) 昭和53(1978)年6月20日 千葉県柏市出身。元TOKYO MXテレビアナウンサー。2003年から8年間にわたり、応援番組「FC東京ホットライン」のキャスターやJリーグ中継ピッチリポーターを務め、その後もFC東京の取材を継続中。現在はフリーアナウンサーとして、JFN(ジャパンエフエムネットワーク)及びTOKYOFMでニュースなどを担当。趣味はフットサル。

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