2013.10.25

バルセロナの今をひも解く11のキーワード Part.3/常識を打ち破ったゼロトップシステム|熱闘を演出するライバル関係|幸運を呼ぶ伝統のナンバー|熱狂を誘う劇的勝利

昨シーズンのチャンピオンズリーグではバイエルンに2戦合計で0-7の大敗を喫した。黄金時代の終焉を指摘する声もあるが、今夏にネイマールを獲得、虎視眈々と完全復権を狙う。現代サッカーのトレンドを作り、王者然とした勝利を追求し続けるバルセロナはいかにして現在の姿にたどり着いたのか。11のキーワードでバルセロナの今をひも解く。

文=池田敏明 写真=Getty Images

【KEYWORD 08】常識を打ち破ったゼロトップシステム
 バルセロナの基本フォーメーションは4-3-3。状況によって3-4-3の布陣を採用することもあるが、攻撃を重視する3トップシステムはバルセロナの伝統とも言える戦術である。通常、3トップの左右には突破力のあるウイング、中央には高さがあって体格の良いセンターフォワードを起用するのがセオリーだが、現在のバルセロナはセンターフォワードにリオネル・メッシを起用している。これはメッシが発揮する極上の得点力を最大限に発揮させるため、そしてクロスではなく細かいパスワークからフィニッシュを導き出す攻撃スタイルを機能させるためである。

 メッシのポジションが最前線ではなく、両ウイングよりやや下がった位置にいるため、”ゼロトップ”、あるいは”偽9番”などと呼ばれる。両ウイングは左右のスペースに相手DFをおびき出して中央にスペースを作る役割を担っており、そのスペースをメッシやチャビ、アンドレス・イニエスタ、セスク・ファブレガスらがパスワークで切り裂くのがバルセロナの攻撃パターンとなっている。

【KEYWORD 09】熱闘を演出するライバル関係
 バルセロナにとっての積年のライバルと言えば、もちろんレアル・マドリー。両者の対戦はカタルーニャ州と首都マドリッドの代理戦争の様相を呈しており、“クラシコ”(伝統の一戦)として世界中の注目を集めている。公式戦での通算成績はバルセロナ87勝、R・マドリー90勝で48引き分けとほぼ互角。近年はリーガ・エスパニョーラに加えてコパ・デル・レイやチャンピオンズリーグで激突する機会も多く、試合が近づくとメッシ、C・ロナウドという両エースの比較が紙面をにぎわす。

 また、同じバルセロナ市のライバルにはエスパニョールがいる。両者の実力差は大きく開いており、2009-10シーズン以降のバルセロナ・ダービーではバルセロナが5勝2分けと圧倒的優位に立っている。そんなバルセロナに、所属クラブを問わず敢然と立ち向かってきたのが現チェルシーのジョゼ・モウリーニョ監督だ。元々はボビー・ロブソン監督の通訳としてバルセロナ内部にいたが、指揮官への転身後はチェルシー、インテル、そしてR・マドリーを率いてバルセロナと対峙し、数々の挑発行為でバルセロナとそのファンたちを刺激してきた。

【KEYWORD 10】幸運を呼ぶ伝統のナンバー
 バルセロナにおいても、背番号10は特別な才能を備えた選手のための番号となっており、過去にはディエゴ・マラドーナやリヴァウド、ロナウジーニョといった世界的名手が背負ってきた。現在この番号はメッシの代名詞となっているが、彼がトップデビューした時につけていたのは30番だった。その後、トップチーム契約を結んだ2005-06シーズンからは19番になり、ロナウジーニョが移籍した2008-09シーズンからは彼の10番を継承することになった。

 一方、セスクは「4番は僕のラッキーナンバー」と現在の背番号への愛着を隠さない。誕生日(5月4日生まれ)や自宅住所の番地などに「4」がまつわっており、憧れていたジョゼップ・グアルディオラの現役時代の背番号だったこともあって、アーセナル時代にもパトリック・ヴィエイラから4番を継承した経緯がある。そしてバルセロナへの帰還にあたり、彼はかつてグアルディオラが背負っていた4番を背負うことになった。元々はチアーゴ・アルカンタラ(現バイエルン)に渡される予定だったものを、セスクの強い希望で譲ってもらったのだという。

【KEYWORD 11】熱狂を誘う劇的勝利
 リーガ・エスパニョーラでは相手を圧倒することが多いバルセロナだが、強豪と激突するチャンピオンズリーグでは苦戦を強いられながらドラマチックな勝利を飾ることもある。2008-09シーズンの準決勝チェルシー戦は、第2戦の後半ロスタイムまで1点のリードを許す展開だった。しかしメッシのラストパスからイニエスタが劇的な同点弾を叩き込み、アウェーゴールの差で決勝進出を手繰り寄せた。

 2012-13シーズンは決勝トーナメント1回戦でミランと対戦し、第1戦では0-2と完敗。内容的にも平凡で準々決勝進出は難しいかと思われたが、第2戦では見違えるような強さを発揮し、4-0の快勝でイタリアの強豪を葬り去った。続く準々決勝のパリ・サンジェルマン戦では、第1戦では2度のリードを追い付かれて2-2の引き分け、第2戦では先制を許す苦しい展開だったが、ベンチスタートだったメッシの投入を機に流れを引き寄せ、71分にペドロが同点ゴール。アウェーゴールの差で準決勝進出を果たしたのだった。