2013.09.19

ナポリのイグアインがリーグ制覇に意気込み「スクデット獲得のためにベストを尽くす」

[ワールドサッカーキング1003号掲載]

6年半を過ごしたマドリッドを去りカルチョの国へ。新天地に選んだのは、かつて母国の英雄が黄金期を築いたクラブ。移籍の理由、スクデットへの思い、ワールドカップでの目標を、ゴンサロ・イグアインが余すところなく語り尽くす。
イグアイン
インタビュー・文=マヌエル・パルラート Interview and text by Manuel PARLATO
翻訳=高山 港 Translation by Minato TAKAYAMA
写真=ゲッティ イメージズ Photo by Getty Images

 ディエゴ・マラドーナがいたあの頃のように――ナポリの街は今、スクデットを夢見ている。マラドーナと同じ一人のアルゼンチン人が、ナポリ市民にあの良き日々を思い起こさせている。

 プロフットボーラーだった父の愛称が『エル・ピパ』(大きな鼻の男)だったことから、その息子を意味する『エル・ピピータ』のニックネームで親しまれるゴンサロ・イグアインは今夏、イタリアへの移住を決断した。レアル・マドリーではリーグ戦190試合107得点。2試合に1得点以上というハイアベレージな記録は、ビッグクラブに所属した選手として申し分ない数字だ。セリエA得点王のエディンソン・カバーニの後釜という重責を担いながらも、「マラドーナがいた頃のように、スクデット戦線に絡みたい」と力強く語るのは、その自信の表れだろう。

 1984年にナポリへ加わったマラドーナはクラブ史に刻まれる栄光の日々を築き上げ、86年にワールドカップ(W杯)に出場して母国を頂点に導いた。

 ナポリに再びスクデットをもたらし、母国を頂点へと導くために、イグアインは栄光へ向けてカルチョの国でスタートを切った。

ゴールを決めればファンはついて来る

――まずは移籍を決めた理由を教えてほしい。R・マドリーのようなクラブから去ることを決断するのは、簡単ではなかったのでは?

イグアイン 正直、かなり考えたよ。迷った末の決断だった。最終的にはチームメートの2人がナポリ行きを決めたことが大きかった。(ラウール)アルビオルと(ホセ)カジェホンは素晴らしい選手だし、「僕は一人じゃない」と感じることができたからね。

――今夏、ラファエル・ベニテスが監督に就任したことも決め手になった?

イグアイン 確かに君の言うとおりだ。ベニテスという偉大な監督の存在は間違いなく決め手になった。最初に声を掛けてくれたのがベニテスだったし、彼のことは人間的にも尊敬している。彼についていけば飛躍を遂げられると確信したんだ。

――交渉の時、アウレリオ・デ・ラウレンティス会長とはどのような話をしたのかな?

イグアイン 会長はナポリの将来について話をしてくれた。強いチームを作ることへの夢を語ってくれたんだ。話を聞いているうちに、僕の中で情熱がわき上がってきた。ナポリへの移籍は、僕にとって大きなチャレンジだけど、素晴らしい成績を残せると確信しているよ。

――アーセナルやユヴェントスも君の獲得に動いたと言われている。その中で君はナポリを選択した。

イグアイン まず、アーセナルやユヴェントスは、ナポリに比べれば僕を獲得することに積極的ではなかった。大きな誠意は感じられなかったんだ。だからナポリを選択したのは当然の結果さ。

――ファンについてはどうだろう? 世界的に見ても、ナポリのファンは熱狂的だと言われている。どんな印象を持っているのかな?

イグアイン 彼らの情熱が世界レベルにあることは確かだろうね。僕らを後押ししてくれると信じているし、彼らはチームや選手を心から愛してくれている。ナポリはビッグクラブへの道を歩んでいるし、その過程でファンの存在は欠かせないと思うよ。

――ティフォージは既に君をアイドルとして崇めている。ファンにメッセージはあるかい?

イグアイン みんな、本当に良くしてくれている。ファンからの愛情を強く感じているんだ。イタリアサッカーの殿堂とも言えるサン・パオロで、チームメート、スタッフ、そして、ファンとともに勝利の喜びを分かち合いたい。今、僕に言えることは熱狂的なファンの下でプレーすることを喜んでいるということ、そして、この素晴らしいチームに仲間入りできたことをうれしく思っているということさ。

――より多くのファンの心をつかむために必要なことは何だと思う?

イグアイン 当然のことだけど、まずはチームを勝利に導くことが求められる。そのためにはゴールを決めなくちゃいけない。そうすれば、ファンは自然について来てくれるんじゃないかな。

このチームに大きな潜在能力を感じている

――今度は君自身のことを聞きたい。セリエAでゴールを量産して得点王になる自信はあるかい?

イグアイン イタリアには優秀なストライカーが何人もいるから、簡単なことじゃないと思う。(マリオ)バロテッリのような破壊力のあるストライカーもいるしね。当然、得点王になりたいと思っているけど、ゴールは一人で決められるものじゃない。チームメートの協力があって初めてゴールが生まれるのさ。現時点で言えるのは、クラブの信頼を裏切らないようなプレーをするつもりだということ。そこから先は、結果を見てくれと言うしかない。

――ナポリでは今後、どこでプレーすることになるのだろう? ポジションへのこだわりはあるかい?

イグアイン 僕のポジションはあくまでセンターフォワードさ。ゴールを奪うことが僕の仕事だと思っている。長い間、センターフォワードとしてプレーしてきているからね。常にゴールを狙うよ。ただ、チームメートのためにチャンスメークすることも重要だ。何が何でも自分が決めるなんて思いはない。僕はそれほどエゴイストではないからね。

――君はカバーニに代わってチームをけん引するという重責を担っている。カバーニは3年間で103ゴールを記録した。そのことに関しては?

イグアイン カバーニのゴール数を上回ることができるかどうかは分からない。だけど、彼がチームにもたらした優勝回数を上回れるようベストを尽くすつもりだよ。そう、コッパイタリア以外のタイトルをナポリにもたらせれば最高だね。まだナポリに来て日は浅いけど、このチームには何か大きなことを成し遂げるだけの潜在能力を感じる。僕にとっては、言葉の通じる選手が多いというのも大きなアドバンテージだ。チームメートにはスペイン人やコロンビア人、アルゼンチン人がいる。まるで自分の国でプレーしている感じだよ(笑)。

――そうはいっても、カバーニが去った今、ナポリの攻撃陣の軸になることが期待されているよね?

イグアイン 僕はこれまでに多くのカンピオーネとプレーする機会に恵まれた。マドリーではクリスチアーノ・ロナウド、アルゼンチン代表ではリオネル・メッシといった具合にね。そして、ナポリにも素晴らしいFWが何人もいる。彼らとともに、強力な攻撃陣を作っていきたい。その中で、僕は僕のベストを尽くせればいいと思っている。

――今、ナポリの街ではマラドーナがいた頃と同じように、市民の口からスクデットという言葉が聞かれるようになった。

イグアイン 僕ら選手もスクデットを望んでいるよ。スクデット獲得に向けてベストを尽くするつもりだ。単なる夢で終わらないようにしたい。会長は僕に信頼を寄せてくれている。スクデット獲得のために、僕を獲得したと言ってくれているんだ。僕としては会長の期待に応えたい。マラドーナがいた頃のように、スクデット戦線に絡みたいんだ。

――最大のライバルはユヴェントスになるだろうね。

イグアイン いや、今の僕らに特定のライバルは存在しない。反対に言えばすべてのチームがライバルだと思っているよ。僕らとしては、何かしらのタイトルを手にしたい。それが最大の目標さ。そして、ファンに最大限の喜びを味わってもらえれば最高だと思っているよ。

――だが、ユヴェントスは今夏、カルロス・テベスやフェルナンド・ジョレンテを補強したことによってチーム力を更に上げた。昨シーズン以上に戦力は充実していると言われているけど……。

イグアイン そうかもしれないけど、同じようにナポリだってチームの強化に成功した。僕を始めとして、新たに加わった選手が力を出し切れば、ユーヴェに負けないサッカーができるはずだ。今シーズン、僕らはスクデットを狙って戦う。ユーヴェが強いことは分かっているけど、僕らも自信を持っている。今のナポリは、スクデットやコッパイタリアだけでなく、チャンピオンズリーグ(CL)でも好成績を残すだけの力を持っていると信じているよ。

――R・マドリーでプレーしていた頃、ナポリに関して具体的にはどんなイメージを持っていた?

イグアイン CLで何度か試合を見たよ。特に印象に残っているのは2011-12シーズンの決勝トーナメント1回戦のチェルシー戦かな。その試合で、ナポリはほとんど勝利を手中にしていた。でも最後に追いつかれ、PK戦の末に敗退してしまった。ベスト16を辛うじて通過したチェルシーが最終的にチャンピオンになったんだから、ナポリとしては残念だっただろうね。ただ、潜在能力の高さは当時から感じていたよ。

――ベニテス監督は君の他にもFWを獲得して攻撃陣の強化を図ったけど、ポジション争いに勝つ自信は?

イグアイン ベニテスが僕の獲得を望んでくれたから、今僕はここにいると理解している。自分の本領を発揮して、ベニテスの期待に応えるつもりさ。さっきも言ったように、その自信はある。

――今シーズン、ナポリはどこまで行けると思う?

イグアイン 会長が何度も口にしているように、ナポリは今、大きなプロジェクトの達成に向かって進んでいる。クラブには組織力があるし、チームには偉大な監督がいて、偉大な選手がたくさんいる。スクデット獲得を目標にしているのは当然のことさ。CLでも相当なところまで行けるはずだと信じているよ。

ナポリでの活躍に意気込んだイグアインが、アルゼンチン代表についても言及。インタビューの続きは、ワールドサッカーキング1003号でチェック!

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