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【前園真聖の日本サッカー強化論】柿谷はフルメンバーとプレーのイメージが共有できている

2013.09.12

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世界への扉を開いた前園真聖氏が自身の経験と取材を基に日本サッカーがさらに強くなるための方策をちょっと辛口で提言。8、9月に行われたキリンチャレンジカップ2013の3試合について自身の見解を語った。


 ウルグアイ、グアテマラ、ガーナとのテストマッチ3試合を終えた総括をしたいと思うが、対戦した相手にあまりにも力の差がありすぎて、正直評価しにくいのが本音だ。

 コンフェデ杯からの流れで、ウルグアイは本当に素晴らしい相手だった。カバーニ以外はベストメンバーで、親善試合とはいえ、これぐらいのチームをマッチメイクできれば見応えある試合になる。ガーナに関してはヨーロッパで活躍している主力メンバーがいなかったのが残念だった。今の日本代表への俺の評価としては、弱い相手に何が出来るかではなく、格上相手にどんなプレー、試合ができるかということでみていきたい。

 今回はコンフェデ杯からの課題である守備にテーマをおいてトレーニンしてきたと聞いている。ただウルグアイ戦では4失点と、改善されたとはいえない。もちろん日本代表では準備期間も短いから、すぐに改善されるとは思ってない。そして今の代表のサッカーはリトリートしてカウンターを狙うサッカーではないから、強豪国相手には今の時点ではこれぐらいの結果になるということもはっきりと分かった。

 ウルグアイ戦でも自分たちのスローインから簡単にボールを奪われ、1本のパスで最終ラインの裏をとられ失点につながってしまった。3点目もクリアミスがそのまま失点につながる。1つのミス、特にやってはいけない所でのミス、ちょっとしたポジショニングのミスなどが直接失点につながるのがこのレベルということだ。

 今の日本のサッカーはリトリートしてカウンターを狙うのではなく、ボールをなるべく保持しながら攻撃を重視することだ。ただ攻撃を重視すればするほど守備のリスクは高くなる。点を取る、勝利するためには絶えずリスクを冒して攻撃し、そしてリスクマネジメントし続けないといけない。その中でミスを恐れず、積極的な質の高いプレーをしないといけない。そうでないとW杯優勝などほど遠い……。


写真●Getty Images

 そんな中で新たな可能性も見えた。

 柿谷の存在だ。海外組のフルメンバーの中でプレーして間もないけど、本田や香川、岡崎、清武などの2列目の選手ともプレーのイメージは共有できていると感じる。今回は代表招集されてないが、個人的には、乾とのプレーも試してほしい。選手の組み合わせがこれからの日本代表の1つのオプションになる可能性はあると思うし、特に攻撃では戦術以外で個と個のイメージの共有で決定的なシーンをつくれるからね。とにかく柿谷はまだ先発は2試合だけど、存在感を示したんじゃないかな。コンフェデ後と新たなメンバーの中では、やはりずば抜けて期待が持てる選手だろう。

 FWは2人ということを考えれば、やはりもう一人は豊田を試してほしい。ウルグアイ戦以降は招集されなくなったが、途中からではなくスタメンから何ができるかを一度見てみたいね。柿谷とはタイプが違うし、新たな変化をもたらす可能性を持っていると思う。課題のDFでは、森重も同じようにもう少し強い相手にどれだけやれるか、を見てみたい。最初に言ったように、グアテマラ戦では相手のレベル的に評価するのが難しいが、今後の可能性は感じる。

 また、それぞれがレベルアップをして、次の試合ではエキサイティングなプレーをみせてほしい。

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