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レアル移籍を振り返るMFイスコ「マドリーの誘いを断る選手なんていない」

2013.09.17

MADRID, SPAIN - AUGUST 18: Francisco Roman Alarcon alias Isco of Real Madrid CF celebrates scoring their second goal during the La Liga match between Real Madrid CF and Real Betis Balompie at Estadio Santiago Bernabeu on August 18, 2013 in Madrid, Spain. (Photo by Gonzalo Arroyo Moreno/Getty Images)

[ワールドサッカーキング0919号掲載]

新天地レアル・マドリーで好スタートを切ったイスコ。「新しいマドリーを見せられると確信している」。決勝点を挙げた開幕戦後、21歳の若者は力強くそう語った。栄光への野望に満ちたクラブで、彼は希望の光となる。
イスコ
インタビュー・文=ホセ・フェリックス・ディアス Interview and text by Jose Felix Diaz
翻訳=高山 港 Translation by Minato TAKAYAMA
写真=ゲッティ イメージズ Photo by Getty Images

「世界で最も偉大」だと繰り返す“夢の場所”で、イスコは上々のスタートを切った。サンティアゴ・ベルナベウにベティスを迎えた開幕戦に先発出場を果たすと、後半41分に決勝弾をマーク。王座奪還を目指すレアル・マドリーに白星スタートをもたらした“ニューフェイス”を「偉大な選手」たちが祝福した。

「自分が持っているものをすべて出し切る」

 希望に満ちた目でそう語るイスコは、“白い巨人”の希望の指針になるはずだ。

すべてがうまくいっている

――君はU-21欧州選手権でスペインを優勝に導き、「ヨーロッパで最も将来を嘱望される若者の一人」という評価でレアル・マドリー入りを果たした。改めて、今の気持ちを聞かせてくれないか?

イスコ 夏の欧州選手権は最高だった。すべてが見事に機能し、スペインは圧倒的な勝利を収めた。僕らは全試合で完璧なゲームを行ったんだ。決勝のイタリア戦でも攻撃的なサッカーを展開できた。僕らはゲームをエンジョイしながら、観客を楽しませることにも成功したのさ。優勝に加えて、僕は優秀選手賞も手にすることができたけど、それは代表での練習と、マラガでの練習のたまものだと思っているよ。そして、自分のプレーがレアル・マドリーのような世界最高のクラブに評価されたことをすごく誇りに感じている。

――一時はマンチェスター・シティへの移籍が決定したかのようにも報じられたけど、君は最終的にR・マドリーを選択した。その理由は?

イスコ マドリーからのオファーを僕は心から光栄に思った。話をもらった時、すぐに父がマドリーと交渉するためにサンティアゴ・ベルナベウのオフィスに向かったのさ。確かに他のチームからもオファーはあった。ドルトムントからも具体的なオファーが届いていたし、特にシティは僕を真剣に誘ってくれた。シティの監督に就任した(マヌエル)ペジェグリーニが僕の獲得に積極的に乗り出してくれたんだ。もしマドリーからのオファーがなかったら、再び、ペジェグリーニ監督の下でプレーすることになっていただろうね。でも、マドリーの名前が出た時点で他の選択肢はなくなったんだ。マドリーの誘いに応じない選手なんて、この世にいるはずがない。繰り返しになるけど、マドリーが信頼を寄せてくれたことを誇らしく思うし、マドリーが興味を寄せてくれるなんて夢のような話だ。本当に大きな夢が実現したと感じているよ。

――U-21代表で一緒にプレーしたアルバロ・モラタやナチョ・ヘルナンデス、ダニエル・カルバハルからは何か言われたかい?

イスコ みんな喜んでくれたよ。「マドリー以上のクラブはこの世に存在しない」って、彼らは口をそろえていた。それから、「もし不安があったとしても、そんな不安はマドリーに来たらすぐに消えてしまう」とも言ってくれた。そして、まさに彼らの言葉どおりになった。マドリーを選択して本当に良かったと思っているよ。ここは、世界最高のクラブだ。

――君がR・マドリーを選択した最大の要因はジネディーヌ・ジダンの存在かな? それともフロレンティーノ・ペレス会長の誘い?

イスコ 一番の理由は、レアル・マドリーそのものさ。何度でも言うけど、マドリーは世界で最も偉大なクラブ。ここでプレーできるという誘惑に勝てるものはないよ。ペレス会長は初めて話をした時からとても良くしてくれた。僕を支えてくれたし、僕への信頼を示してくれた。そのことにすごく感謝しているよ。今度は、僕が会長の期待に応えるようなプレーをピッチで見せる番だ。チームメートと力を合わせて、ペレス会長にたくさんのトロフィーをプレゼントしたいと思っているよ。それと、ジダンから電話をもらった時は本当にびっくりした。彼の言葉には説得力があった。ジダンは僕の憧れの存在で、その憧れの人から直接誘いを受けたんだ。僕がどれほど感動したか、簡単に想像できるだろう?

――R・マドリーでは既に不可欠な戦力として評価されているように感じるけど、君の考えはどう?

イスコ 僕はまだまだサッカーを学ぶ立場にある。これから先も、その気持ちを忘れないようにやっていくだけさ。マドリーでは偉大な選手に囲まれてプレーすることができる。最高の環境でサッカーを勉強させてもらっているんだ。周囲にいる選手の一つひとつの動き、一つひとつのプレーをじっくりと研究させてもらうつもりだよ。ここまでは、すべてがうまくいっているように思う。このまま、良い形でシーズンを乗り切りたいね。

僕にとってマドリーは特別な存在

――チームに加わってみて、R・マドリーの印象は変わった?

イスコ 初めてマドリーのシャツを身に着けた時は格別な思いだった。僕にとってマドリーは特別な存在だったということさ。自分がマドリーの一員としてプレーしていることが、いまだに信じられないほどだよ。同時に、マドリーの選手としてプレーする責任も感じている。ここでプレーする限り、今まで以上のプレーをしなくてはならない。自分が持っているものをすべて出し切る必要があると強く感じているよ。そのためには、練習から100パーセントのものを出さなければいけないし、ピッチ上では一瞬も気を抜いてはいけないと思っている。ちょっとでも気を抜いたらチームのリズムについていけなくなる、そう覚悟しているよ。

――昨シーズンまでペジェグリーニ監督の下で学んだ君だけど、カルロ・アンチェロッティ監督の下ではどんなことを学んでいるの?

イスコ アンチェロッティは世界最高の監督の一人だと思う。彼の下でプレーできることを心から幸運だと思っているよ。もちろん、ペジェグリーニへの感謝も忘れてはいない。彼はたくさんのことを教えくれたし、僕に多くのチャンスを与えてくれた。僕がリーガである程度の実績を残すことができたのは、すべてペジェグリーニのおかげだと思っている。

――アンチェロッティ監督はどんなサッカーを志向しているのかな?

イスコ 彼はボールポゼッションを高め、ゲームを支配してファンに喜んでもらえるようなサッカーを望んでいると思う。僕としても、ボールをつなぐサッカーは望むところだし、今シーズンのマドリーは、マドリディスタが喜んでくれるようなサッカーを展開できると信じているよ。アンチェロッティは常に僕たち選手とのコミュニケーションを図ってくれる。選手との会話を望む監督なんだ。彼がやろうとしているサッカーはマドリーにとって理想的なものだと思うし、アンチェロッティは「ファンに喜んでもらう」ことを重視している監督だと思う。もちろん、マドリディスタにとっても最高のシーズンになると確信しているよ。

――アンチェロッティ監督のサッカーを具体的に説明してもらえるかな?

イスコ 繰り返しになるけど、最も重要なのは、ボールをつないでゲームを支配すること。彼はよく「創造性に満ちたプレーがレアル・マドリーの最大の武器だ」と言っている。あとは、「高い位置で相手にプレッシャーをかけてボールを奪い、そのまま攻撃に展開することが重要だ」とも話しているね。

――君のプレースタイルはR・マドリーに合っていると思うかい?

イスコ 僕の持ち味はキープ力だと思う。子供の頃、フローレスのストリートでサッカーをやっていた時から、僕はドリブルが大好きだった。いつも兄が所属しているチームで年上の子に混ざって試合をしていたんだけど、僕はドリブルで相手チームを切り裂いていたんだ。あそこが僕にとって“サッカーの学校”だった。もちろん、マドリーのサッカーとフローレスのストリートサッカーが同じだとは言わないよ。でも、「サッカーは楽しいもの」であることに変わりはないと思う。アンチェロッティも僕と同じような考えを持っていると感じている。「マドリーの選手はプレーを楽しむと同時に、観客を楽しませるようなサッカーをしなくてはならない」と、いつも言っているからね。

――「ボールを持ちすぎないように」とは言われないの?

イスコ 特に言われていないけど、そこは僕も注意するつもりだよ。このチームには、僕がボールをキープすることよりも、はるかにベターな選択肢がたくさんあるからね。

――ボールをキープすれば、当然、相手DFの厳しいマークに遭うことになる。削られる可能性も高まると思うけど、それは怖くないの?

イスコ ドリブルで相手の最終ラインを突破しようと思えば、厳しいマークに遭うのは当たり前のことさ。削られるのはもちろん怖いけど、もう慣れてしまったよ(笑)。真面目な話、それもサッカーの一部だと思っているしね。

――君はファンの人気も高い。このままクラブのアイドルになれると思うかい?

イスコ アイドル? そんなつもりは全くないよ。今はプレーに専念するだけだし、僕のプレーを見てファンが喜んでくれることを願うだけさ。アイドルと呼ぶべき選手は、ここにはたくさんいるからね。そういう称号は他の選手に譲るよ。

――チームの雰囲気はどう?

イスコ ロッカールームの雰囲気が独特だね。ロッカールームに入った瞬間、気が引き締まるんだ。このチームが備える“勝者のメンタリティー”を改めて感じさせられる瞬間だね。このクラブには常に野望が存在する。失ったリーガのタイトルを取り戻そうとする強い意欲に満ちているし、勝利への欲望が充満しているって感じかな。

――一緒にプレーしてみて、テクニックに驚かされた選手はいるかい?

イスコ うまい選手ばかりだから、それは難しい質問だね……あえて一人を挙げるとしたら、(カリム)ベンゼマかな。彼は信じられないくらいのテクニックとポテンシャルを持った選手だ。今シーズンはゴールを量産するんじゃないかな。ベンゼマは自分でゴールを決めるだけでなく、攻撃を組み立てることもできるし、マドリーの前線に不可欠な選手だと思う。ただ、やっぱり、このチームで一人だけ選ぶのは無理があるよ。(イケル)カシージャスやディエゴ・ロペスといった守備陣から前線の選手まで、全員が高いテクニックを持っているからね。改めて、すべてのタイトルを勝ち取るだけの力を持ったチームだと思うよ。

――君と同じく新加入のアシエル・イジャラメンディについてはどう思う? U-21欧州選手権でも一緒にプレーしたけど。

イスコ 彼は“クラック”と呼ぶにふさわしい選手だ。ゲームをビルドアップする技術において、アシエルは既にパーフェクトな域に達していると思う。マドリーでも、近い将来、主役を演じるだろうね。スペイン代表でも明るい未来が約束された選手だと思う。

R・マドリー移籍を果たしたイスコが、バルセロナとのクラシコに言及。インタビューの続きは、ワールドサッカーキング0919号でチェック!

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