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パリSG移籍の理由を明かすカバーニ「クラブと野心が一致した」

2013.09.16

[ワールドサッカーキング0919号掲載]

その口からは「野心」という言葉が繰り返された。リーグ史上最高額の移籍金でパリ・サンジェルマンに加入。相応の重圧も伴うはずだが、その言葉は自信に満ちている。エディンソン・カバーニが“新たなゴール”を目指す。
カバーニ
インタビュー・文=セルヒオ・レビンスキー&ハビエル・デ・レオン Interview and text by Sergio LEVINSKY and Javier De Leon
翻訳=工藤 拓 Translation by Taku KUDO
写真=ゲッティ イメージズ Photo by Getty Images

 フランスリーグ史上最高額。大いなる野心を抱くクラブが、そのプロジェクト遂行のために不可欠だと判断したストライカーには、80億円を超える値がついた。

「その野心が、自分が抱いている野心と一致した」

 古豪ナポリを成功に導きながらも新天地を選んだストライカーはこのクラブの野心に引かれたことを認めている。

 野心と野心の合致。エディンソン・カバーニが、パリ・サンジェルマンを更なる高みへと導こうとしている。

タイトル獲得への野望に満ちている

――君は昨シーズン、セリエAで素晴らしいシーズンを過ごし、今シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)出場も決まっていた。それなのに、なぜナポリ退団を決断したんだい?

カバーニ パリ行きを決めた一番の理由は、そのプロジェクトと、クラブやパリの街中から感じ取ることのできる壮大な野心にある。その野心が、自分が抱いている野心と一致した。だから僕は、移籍を決意したんだ。

――6月のコンフェデレーションズカップ中、君は「新シーズンに向けてクラブが大きな目標を設定しているかどうかが決断を左右するカギだ」と言っていたね。

カバーニ そのとおり。それに、パリSGは多額の移籍金を支払うことで自分への信頼を示してくれた。それは僕にとってとても重要なことだった。パリSGは僕の可能性に懸け、起こり得るあらゆる障害を乗り越えてでも僕を獲得するという意思を示してくれた。彼らはそこまでしてプロジェクトに僕を加えようとしてくれた。その信頼に心を動かされたからこそ、僕はサインをする決意を固められたんだ。

――パリSGの第一印象はどうだった?

カバーニ 組織が本当によくオーガナイズされたクラブだし、チームは大いなる成功を目指し、今後3シーズン以内のCL制覇を目標に更なるレベルアップを図っている。クラブ全体がタイトル獲得への野望に満ちているんだ。新たなクラブに来るなり、勝利への強い意欲を感じ取ることができるのは本当にありがたいことだよ。

――君は以前、自分にとってのヨーロッパ3大リーグはセリエA、リーガ・エスパニョーラ、プレミアリーグだと言っていたけど、リーグ・アンがヨーロッパのトップレベルに到達することは可能だろうか?

カバーニ 可能だと思う。フランスのフットボールは非常にスピーディーで、なおかつテクニカルだから、既にかなり高いレベルにある。おまけに、近年の移籍市場で多数のスター選手がフランスにやって来て、彼らがリーグを盛り上げ、より魅力的なコンペティションになってきている。リーグ・アンが世界最高レベルのリーグに成長することは十分に可能だよ。

――ナポリターノとパリジャン、それぞれのサッカーライフについてはどう思う? ナポリターノのほうがパリジャンより情熱的な気がするけど。

カバーニ そうだね。ナポリは街もファンも愛に満ちていて、とても情熱的だった。でも、パリについてはこれから深く知っていくことになるけど、この短い期間でも人々の期待感は伝わってくるし、それはきっと、過去2シーズンの成功がベースにあるからだと思う。今後も同様の、いやそれ以上の成功を手にしていけると信じているよ。

――ローラン・ブラン監督の印象は?

カバーニ まず、契約書にサインをした後にたくさん話をした。彼が考えているプレースタイルや戦術について説明を受け、チームへの合流時期についても話し合った。とても良い印象を受けたし、最初からお互いを理解し合うことができたと思う。

――君の入団が決まる前から、ブラン監督は君とズラタン・イブラヒモヴィッチは間違いなく共存できると言っていた。

カバーニ 会長からも同じことを言われたよ。きっと、だいぶ前からそう考えていたんじゃないかな(笑)。

――ブラン監督は君のポジションについてどう説明してきたんだい?

カバーニ まずその前に、すべては自分次第だと言っておこう。試合はもちろん、練習への取り組みからチームへの献身を示せるかどうかにかかっている。クラブが多額の投資を行ったからといって、ポジションが保障されるわけではないからね。試合に出られるかどうかは、すべて選手自身の努力にかかっているんだ。

――でも、監督のプランは君とイブラヒモヴィッチを併用することなんだろう?

カバーニ もちろんさ。監督は僕らがともにプレーできると考えている。でも繰り返すけど、それは僕ら選手のフィジカルコンディションやプレーのレベル次第なんだ。そうした要素を考慮した上で、出場機会を得るにふさわしい者だけがピッチに立つ。僕らのような大型FW2人がともにプレーすることはもちろん可能だけど、今後シーズンが進む中でブランが採用するシステムによって変わってくると思う。イブラヒモヴィッチはボール扱いやテクニックに長けた選手であり、僕はペナルティーエリア内でのフィニッシュが持ち味の“マタドール”だ。彼もたくさんのゴールを決めるけど、よりプレーメークを得意としている選手だしね。

――イブラヒモヴィッチは難しい性格の持ち主だと言われているけど、その点についてはどう?

カバーニ 強い個性を持った人物だとは思うけど、難しい性格という印象はない。もっとも、この世界で成功し、彼のように勝者となるためには強烈な個性を持つ必要がある。まだ個人的に彼のことを詳しくは知らないけど、ロッカールームでともに時間を過ごす中で、彼がどんな人物で、何を考えているのか分かっていくと思うよ。

――プレーヤーとしてのイブラヒモヴィッチの印象は?

カバーニ 間違いなく世界最高の選手の一人だね。あれだけ大柄なのに、とても優れたテクニックを持っている。ハイレベルなリーグでプレーするために必要な精神力も備わっているし、これまで彼は常に際立った存在であり続けてきた。おまけに並外れたパワーもある。極めてパーフェクトな選手だよ。しかも彼は、このレベルではなかなか見られなくなった「自尊心に満ちた選手」だ。チームが重要なタイトルを目指すためには、彼のような選手が絶対に必要だと思う。彼とは対戦したこともあるけど、ライバルではなく、チームメートにしておきたい選手だよ(笑)。

――イブラヒモヴィッチと対戦した時の印象も教えてもらえるかな?

カバーニ こちらが積み重ねてきた努力をいつ台無しにされるか分からないという怖さがあった。本当に何でもできる選手だと思ったよ。

――もし君と入れ替わりでイブラヒモヴィッチが移籍してしまっていたら、落胆したかい?

カバーニ 落胆することはないけど、驚きはしただろうね。パリSGは世界的に認められたビッグクラブとなるべく、チームのベースを作っている段階にあるわけだし。でも、彼の身になって、何が彼の決断を左右するのかを考えるのは不可能だ。もちろん個人的には彼と一緒にプレーしたいと思っていたし、それが長く続けばいいと今も思っているけど、彼の去就は僕が決められることではないからね。

リーグ・アン挑戦を決意したカバーニが、今シーズンへの意気込みを語る。インタビューの続きは、ワールドサッカーキング0919号でチェック!

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