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プレミアリーグ解説者が語る新シーズン展望「優勝候補はチェルシーとシティー」「香川はサイド起用」

2013.08.16

8月17日、いよいよ2013-14シーズンのイングランド・プレミアリーグが開幕する。新シーズンは、J SPORTSを通じてこれまでのテレビ放送とオンデマンド配信を合わせリーグ全380試合が視聴可能となった。さらに身近となり、楽しみが広がったプレミアリーグ。サッカー解説者でお馴染みの粕谷秀樹さんに、新シーズンの楽しみ方、優勝争い、日本人選手の展望を聞いた。

写真●Getty Images

――いよいよ今週末、2013-14シーズンのイングランド・プレミアリーグが開幕します。新シーズンの見どころを聞かせてください。

粕谷秀樹 優勝争いをすると思われるマンチェスターの2チームとチェルシーが、再任も含めて監督が代わったという点です。プレミアリーグの強豪が同時期に、これほど監督が代わることは稀有なケースです。ジョゼ・モウリーニョは申し分のない実績を誇っているとはいえ、6シーズンぶりのチェルシー復帰、マンチェスター・Cのマヌエル・ペジェグリーニは初のプレミアリーグ挑戦、マンチェスター・Uのデイヴィッド・モイーズはエヴァートンで指揮官を長く務めていましたが、これまでとはプレッシャーの次元が違います。誰もが優勝候補に挙げる3チームが、「ひょっとすると躓くかもしれない」という危険性をはらんだシーズンと言えます。

――今シーズンは何チームが優勝争いに絡んできそうですか。混戦になるでしょうか。

粕谷秀樹 飛び抜けたチームは見当たらないものの、マンチェスター・Cとチェルシーが優勝候補だと思います。マンチェスター・Cは選手層が充実していますし、チェルシーはモウリーニョが勝つ術を知っていますからね。このアドバンテージは大きいのかなと。

――マンチェスター・Uは香川真司選手が所属しているということで、日本でも一番注目されていると思います。アレックス・ファーガソンからモイーズに監督が代わり、チームはどのように変化したのでしょうか。

粕谷秀樹 27年に渡り指揮を執った人がいなくなり、ゼロからのスタートなので、対戦相手も「ファーガソンのプレッシャー」が全くありません。モイーズの1年目は相当厳しいと思いますよ。

――マンチェスター・Uは昨シーズンの優勝メンバーがベースとはいえ、監督が代わった中で、選手の動きがあまりない気がします。

粕谷秀樹 ファーガソンだけではなく、CEOを務めていたデイヴィッド・ギルも退任したため、補強は新CEOのエド・ウッドワードが担当していますが、彼は移籍市場で知名度が低い。交渉がうまくいかないのは当然ですね。

――夏の移籍期限まで3週間を切りました。マンチェスター・Uを始め、今後、プレミアリーグで大きな移籍はありそうですか?

粕谷秀樹 ウェイン・ルーニーは移籍するでしょう。8月26日にチェルシーvsマンチェスター・Uがあるので、その後の1週間で動く、と推測しています。それが“大人の事情”ってやつですよ。既に、ファーガソンとモウリーニョの間で話がついているんじゃないかな。


粕谷 秀樹(かすや・ひでき)ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。海外サッカーの解説者として活躍 写真●蓮尾美智子

――やはり、プレミアリーグでプレーする日本人の3選手は気になります。まず香川選手について伺いたいのですが、監督交代で起用法は変わりそうですか?

粕谷秀樹 昨シーズンとあまり変わらず、トップ下、もしくは左ウイングで起用されると思います。ルーニーが退団した場合、昨シーズンに築いたコンビネーションがなくなる恐れはありますが、逆にルーニーが退団すると仮定すれば、ポジション争いのライバルが一人減るので、それをプラス材料にすべきでしょう。プレシーズンを見ていると、モイーズは相手ボールになった後の反応を大切にしています。そうなると、ダニー・ウェルベックやウィルフレッド・ザハ、ギグスよりも、香川のほうが定位置争いで有利かなと。ただ、モイーズが香川の特徴をどれだけわかっているのか、という不安はありますけどね。

――エヴァートン時代のモイーズのサッカーに、香川選手を当てはめた場合、指揮官の戦術にフィットしそうですか?

粕谷秀樹 トップ下では起用しないかもしれません。エヴァートンではテクニシャン系のミケル・アルテタ(現アーセナル)もスティーヴン・ピーナールもサイドで使っているからです。過去の起用例を踏まえると、香川もサイドかなと……。

――サウサンプトンの吉田麻也選手の2年目はいかがでしょうか?

粕谷秀樹 大変厳しいと思います。昨シーズンの終盤はスタメンから外れていましたし、リヨンからデヤン・ロヴレンが加入したでしょ。マウリシオ・ポチェッティーノ監督が就任した時から狙っていたセンターバックの一人であるロヴレンを獲得して、さらに、カリアリのダヴィデ・アストーリとの交渉も続けているようですよ。

――試練の1年になると。

粕谷秀樹 センターバックの一角は、ロヴレンで決まりですから。もう一枠は吉田とヨス・ホーイフェルト、ジョゼ・フォンテの3人で争うことになります。ポチェッティーノがフォンテを一番買っている、との情報もありますからね。

――宮市亮選手は、いかがでしょうか。

粕谷秀樹 開幕前にろっ骨を折ってしまいました。本人も悔しいでしょう。天性のスピードは大きな武器で、アドバイスを素直に聞き入れる柔軟な姿勢も忘れていないようですから、ケガをしない強靭な体を作ってほしいですね。ケガをしやすい体質なのか、無理をするからなのか、もともと骨があまり強くないのか、色々と要因は考えられますが、まずはフルシーズン闘える体力を身につけることですよ。

――今シーズン、『J SPORTS』では放送とオンデマンド配信を合わせてプレミアリーグの全380試合が見られるようになりました。これまでチェックできなかった中堅以下のクラブの試合も楽しめるようになります。新シーズンに向けて、視聴者が見たらおもしろいチームや選手がいたら教えてください。

粕谷秀樹 毎シーズン、毎試合見ていて飽きない選手は、フルアムのディミタール・ベルバトフですね。ボールタッチは芸術品。それからワンタッチ、ツータッチでつないでいくスウォンジーも魅力的なフットボールをしていますし、はまったときのニューカッスルはエキサイティングですよ。ただ、だらしないときはどうしようもないんですが……。

――全380試合を見られるということになって、解説者の方のお仕事も、さらに大変になりそうですね。

粕谷秀樹 スマホやタブレット端末で、いつでもどこでも見られるようになるので、視聴者の皆さんはワクワクしているんじゃないですか。でも、報道する側もきっちり見ないとね。視聴者の皆さんもオンデマンドでご覧になるから、「あいつ見てないのかよ」と、勉強不足がバレバレになるケースも出てきます。大変な時代になりましたねぇ。あっ、私、もちろん全試合チェックしますよ。

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