新天地での目標を語ったオーバメヤン
[ワールドサッカーキング0905号掲載]
爆発的なスピードでリーグ・アンを席巻したピエール・エメリク・オーバメヤンが活躍の場をドイツへ移した。王者バイエルンとの差は「わずかだ」と語るこの快足ストライカーが、タイトル奪還を狙うドルトムントの切り札になるかもしれない。
インタビュー=トーマス・ツェー Interview by Thomas ZEH
翻訳=阿部 浩 アレクサンダー Translation by Alexander Hiroshi ABE
写真=ゲッティ イメージズ Photo by Getty Images
ボルトと比較されるなんて恐れ多い
――いきなりだけど、発音が難しい名前だよね(苦笑)。普段はなんて呼ばれているんだい?
オーバメヤン (ユルゲン)クロップ監督からも全く同じことを言われたよ(笑)。監督はピエールとエメリックを掛け合わせて「パトリック」と呼んでくれている。パトリックはドイツで一般的な名前だし、それでいいんじゃないかな。ちなみに友人たちは「オーバメ」と呼んでいるよ。
――ではパトリック、ドルトムントの話を聞かせてほしい。サンテティエンヌとはかなりスタイルが違い、前線からもプレスを求められるけど、実際にプレーしてどうだい?
オーバメヤン 僕はスプリント力があるタイプだから問題なく適応できている。2年前、僕は親父(元ガボン代表、現代理人)と一緒にドルトムントの試合を見たんだけど、彼はドルトムントの速攻をずいぶん気に入っていた。「とてもエネルギッシュで監督の考え方が染み込んでいる」と感心していたよ。その時から親父には「オファーの電話が掛かってくる場面を想像して練習しろ」と言われ続けたものさ。
――移籍の経緯を振り返ってほしい。ドルトムントは熱心にサンテティエンヌへスカウトを送り込んでいたみたいだね。
オーバメヤン 去年の12月に最初のコンタクトがあった。ただ、シーズンが半分以上残っていたから「今はチームに集中したい」と伝えた。次に話が持ち上がったのは夏になってからだった。親父とミヒャエル・ツォルクSDの交渉は驚くほどスムーズに進み、あっという間に契約がまとまったんだ。
――レヴァークーゼンやホッフェンハイム、それにプレミアリーグのクラブも君に関心を寄せていたようだけど。
オーバメヤン そうらしいね。でもドルトムントが僕に興味を持っていると知った時から、このチームでやると心に決めていたよ。ダイナミックなスタイルが僕に合うと感じていたからね。
――クロップ監督と会ったのはいつ? 印象はどうだった?
オーバメヤン メディカルチェックの時だ。会う前にイメージしていたとおりのキャラクターだったよ。大柄で早口で、よくしゃべる人だった。一つ残念なことがあるとすれば、得意のジョークが聞けなかったことかな(笑)。
――君は語学が堪能みたいだね。フランス語にスペイン語、イタリア語がペラペラだ。ドイツ語の習得にも時間は掛からないのでは?
オーバメヤン イルカイ・ギュンドアンがいろいろな単語を教えてくれるし、簡単なあいさつはすぐに覚えたよ。今はピッチ上で必要なドイツ語を勉強しているところさ。「右に行け」、「前に出ろ」とかね。何にせよ、言葉は大きな障害ではないよ。チームメートとは既に打ち解けているしね。
――君はマルコ・ロイスと比較されるけど、そのことについてどう感じている?
オーバメヤン マルコはドイツ代表でレギュラークラスのプレーヤーだ。そして、チームの人気者でもある。僕は彼のレベルにまだまだ及ばない。実際、マルコのスピードとテクニックはスーパーだよ。
――それは謙虚すぎるコメントじゃないかな? 少なくともスピードに関しては誰よりも秀でているように見える。例えば100メートルのタイムは何秒なんだい?
オーバメヤン 計測した中で最高のタイムは10・3秒だったかな。
――30メートル走では3・7秒を記録したって聞いたけど本当? これは陸上男子100メートルのウサイン・ボルトが2009年に出した世界記録(9・58秒)の時の30メートル通過タイム、3・78秒を上回る数字だけど……。
オーバメヤン 本当だけど、僕のは公式記録じゃない。世界一のボルトと比較されるなんて恐れ多いよ。それに、フットボールはゴールを決める競技だ。いくら速くてもゴールを決めなければ意味がない。タイムよりも、得点にこだわっていきたいと思っているよ。
オーバメヤンがライバルクラブのバイエルン、私生活について言及。インタビューの続きは、ワールドサッカーキング0905号でチェック!