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“お粗末で軟弱なDF”吉田麻也が築いた不動の居場所と2年目の試練

2013.08.13

プレミア2年目を迎える吉田について、現地記者は「今季も最終ラインの中核を担う」と予想

[ワールドサッカーキング名鑑・開幕版掲載]

デビューイヤーの評価は、前半戦と後半戦で大きく別れた。吉田麻也は、「最悪」と振り返るデビュー戦から多くを学び、飛躍的な成長を遂げた。彼の未来は間違いなく明るい。
吉田麻也
文=イアン・パーカー Text by Ian PARKER
翻訳=影山 佑 Translation by Yu KAGEYAMA
写真=アフロ Photo by AFLO

最悪のデビューから不動の地位を確立するまで

「お粗末で軟弱なDF」

 1年前、サウサンプトン加入当初の吉田麻也に対する評価である。

 吉田の加入が発表されたのは、シーズン開幕から既に2節を消化した8月30日だった。日本代表の一員として参戦したロンドン・オリンピックでの活躍がクラブ首脳陣の目に留まり、吉田は慌ただしく手続きを踏んでイングランドへと舞い戻る。それから約2週間後の9月15日、迎えたアーセナル戦で待望のプレミアリーグデビューを果たした。

 ロンドン五輪からの過密スケジュールと移籍の負担を考えれば、当時の吉田が肉体的、精神的に満身創痍にあったことは容易に想像できる。しかし、1-6と大敗を喫したアーセナル戦での吉田に対する評価は極めてネガティブなものばかりだった。彼にとってのデビュー戦であったこと、その相手が強豪アーセナルであったこと、更に負傷したヨス・ホーイフェルトに代わっての緊急出場であったことなど同情の余地はいくらでもあったが、この国において、特に自責点に対する叱責は容赦ない。本人も自らのパフォーマンスに落胆し、明らかに肩を落としていた。

「前半はとにかく最悪。特に3失点目は僕のミスが原因だった。後半はまだマシだったけど、満足できるような出来じゃない」

 ところが吉田は、時間の経過とともにプレミアリーグに順応していった。ナイジェル・アドキンス前監督は最終ラインの台所事情の厳しさから吉田をサイドバックで起用したが、右サイドでも左サイドでも、吉田は持ち前の優れた戦術眼で不慣れなポジションをそつなくこなし、時には信じられないようなミスを犯しながらも少しずつ成長し、周囲の信頼を勝ち取っていった。前半戦はその実力を疑う声が世論の大半を占めていたが、アドキンスも、そして1月から指揮を執るマウリシオ・ポチェッティーノも、吉田に対する評価を変えようとはしなかった。そうして彼はセンターバックのポジションを確保し、最終ラインにおいては唯一と言っていい不動の地位を確立したのである。

 彼に対する周囲の評価は、アーセナルとのデビュー戦直後とシーズン終了後では180度異なる。ポチェッティーノ体制下で1部残留という大目標を果たしたサウサンプトンにとって、吉田は明らかに最大の功労者の一人であり、プレミアリーグでプレーするに足りるレベルのセンターバックであることを証明した。

新シーズンは、新加入のクロアチア代表DFデヤン・ロヴレンとパートナーを組むことが予想される吉田。2年目を迎えるプレミアリーグでさらなる活躍が期待される。続きは、ワールドサッカーキング名鑑・開幕版でチェック!

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