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新エースの地位を確立したブラジル代表FWネイマール「重圧に押しつぶされることはない」

2013.07.04

during the FIFA Confederations Cup Brazil 2013 Group A match between Italy and Brazil at Estadio Octavio Mangabeira (Arena Fonte Nova Salvador) on June 22, 2013 in Salvador, Brazil.

[ワールドサッカーキング0718号掲載]

ワールドカップ“前哨戦”の舞台で、エースの力を証明。ブラジル国民が大きな期待を寄せるのは、21歳の“宝石”だ。1年後の大舞台で、栄えあるトロフィーを天高く掲げること。それがネイマールの「譲れない大きな夢」だ。
ネイマール
文=ドム・フィリップス Text by Dom PHILLIPS
翻訳=高山 港 Translation by Minato TAKAYAMA
写真=ゲッティ イメージズ Photo by Getty Images

ブラジル全国民の大きな期待

 コンフェデレーションズカップが閉幕して以降、ブラジルではワールドカップ(W杯)の話題が日増しに熱を帯びている。

「全国民が大きな期待を寄せているのさ」

 そう語るのは、ネイマールだ。彼の言葉どおり、国民はネイマールのW杯本大会での活躍に大きな期待を寄せている。ブラジル国民が納得する結果はただ一つ、優勝のみだ。「ファンの要求はすごく大きい」とネイマールは続ける。

 宿命のライバル、アルゼンチンの存在も本大会では大きな脅威だ。彼らには、リオネル・メッシがいる。

「2014年のW杯優勝を、僕のキャリアの“財産”にするつもりだ」

 メッシは、とあるブラジル誌のインタビューで、そう語っているが、両国のライバル意識についてはもはや説明不要だろう。今年3月のローマ法王選挙で、アルゼンチン国籍のホルヘ・マリオ・ベルゴリオ枢機卿が、本命視されていたブラジル国籍のオディロ・シェレル枢機卿を破って新ローマ法王になった時、アルゼンチン国民の多くがブラジルに対する勝利だと喜んだそうだ。一方、ブラジルのスポーツ省大臣はSNSを通じてジョーク交じりに反撃した。「確かに、新ローマ法王はアルゼンチン人だ。だが、誰もが、神がブラジル人であることを知っている。当然、我々ブラジルがW杯を制することになる」と。

 ブラジルとアルゼンチンが決勝で当たる可能性を問うと、ネイマールはにやりと笑い、こう答えた。

「そうなれば、南米だけじゃなく、世界中の機能がマヒするだろうね。ただし、組み合わせは神の意向次第。いずれにしても、ブラジルは決勝で勝利を収め、W杯を手にするだろう」

 ブラジルの新エースとして、プレッシャーは日に日に増しているはずだ。しかし、ネイマールは「重圧に押しつぶされることはない」と断言する。「どんな選手だってプレッシャーは感じるものだ。ただ、プレッシャーを感じるということは責任感を持っていることの証でもある。誰だって責任感を伴う仕事がしたいだろう? ゲームが始まる前は不安でいっぱいだし、緊張だってしている。でも、キックオフのホイッスルが鳴れば、不安や緊張なんてどこかに吹き飛んでしまうんだ。理由? 簡単だよ。ゲームに集中しているからさ」

ネイマールの“リア充”な生活

 バルセロナ行きを決めたネイマールの人気は、もはやブラジル国内だけにとどまらない。『タイム』誌はネイマールを表紙に起用し、「次代のペレ」と紹介。5月には、「大御所ラッパーのジェイ・Zが設立したロック・ネイション・レーベルがネイマールと契約」といった記事もネット上で話題を呼んだが、さすがにそれはデマで終わった。ネイマールは既に、ブラジルサッカー界のレジェンド、ロナウドが設立したアスリートマネジメント会社と専属契約を交わしている。

 とはいえ、セレブのうわさを追うブラジルのメディアの興味の矛先は、ネイマールのプライベートライフにも及んでいる。とりわけ、17歳の女優、ブルーナ・マルケジーニとの交際ネタはこの数カ月、ブラジル中の話題となっている。密会中の写真がインスタグラムで公開されたことで2人の熱愛が一気に広まったのだが、彼女は現在、ブラジルで最も人気のある連続ドラマ『Salve Jorge』に出演中。カーニバルクイーンとしても有名な女性だ。

 以前交際していた女性との間に一子をもうけているネイマールだが、マルケジーニとのロマンスをSNS上で定期的に公開し、“リア充”ぶりを見せつけている。

 もちろん、彼の“リア充”はピッチ外だけの話ではない。周囲の大騒ぎをよそに、ネイマールはゴールという結果で自らの力をアピールし続けている。2012年はサントスの一員として43ゴールを記録。これは、シーズンの得点数としてクラブの歴史上、ペレに次ぐ歴代2位の記録だ。セレソンでの数字を加えれば、2012年の記録は66試合で56ゴール。ネイマールは2年連続で南米最優秀選手に選ばれている。

 コンフェデレーションズカップでも披露したように、ネイマールは相手を出し抜くテクニックにも更に磨きを掛けている。

「僕は常に新しいことにチャレンジしている。もっともっとうまくなりたい。サッカーの基礎というべきあらゆる技術、ボールコントロール、シュート、スピード、すべてにおいて、今よりもっとうまくなりたいんだ」

 ネイマールはサントスにいくつかのタイトルをもたらした。2011年にコパ・リベルタドーレスを手にしたサントスは、同年、コパ・スダメリカーナを制したウニベルシダ・デ・チーレとレコパ・スダメリカーナを懸けて激突。セカンドレグでゴールを決め、チームの勝利に貢献したネイマールは最優秀選手に選出されている。更にサントスは2012年のサンパウロ州選手権でも優勝を成し遂げたが、ネイマールは20ゴールを挙げ、リーグ得点王に輝いている。

 一方、ブラジル国民もネイマール自身もロンドン・オリンピックでは大きな落胆を味わった。金メダルの大本命と呼ばれながらも、決勝戦では開始早々に失点を喫し、メキシコを勢いに乗せてしまい1-2と敗北。ブラジルのメディアは五輪チームに向けて“総攻撃”を開始した。ネイマールは、ジョークで場を和ませようとしたのかもしれない。ロッカールームの雰囲気を尋ねられ「パーティーが控えていたからとても明るかったよ」と答えたのだが、これがメディアの怒りを買った。メディアは一斉に「不謹慎だ」とネイマールを非難。彼は直ちに発言を訂正した。

「決勝に至るまではいいサッカーをしていたと思う。ただし、もし僕らが本当に素晴らしいサッカーをしたならば、金メダルを獲得していたはずだ。試合後のロッカールームはまるで“お葬式”のようだった。誰もが皆、悲しみに暮れていた。決勝で敗れたことに大きなショックを受けていた。同時に、僕らは全員、メダルを手にしたことの重要性も理解していたつもりだ」

 五輪で金メダルを獲得できなかったマノ・メネゼスは昨年11月に解任された。メネゼスに代わってセレソンの指揮官を任されたのは、02年の日韓W杯でブラジルを優勝に導いたルイス・フェリーペ・スコラーリだ。

 スコラーリについてネイマールはこう語る。

「“ビッグ・フィル”(スコラーリの愛称)は偉大な監督さ。同時に、僕らにとっての“ビッグ・ダディ”でもある。彼の下でプレーできることを光栄に思う。僕らは今、一番強かった頃のセレソンのアイデンティティーを探し求めている。そのためには、チームが団結しなくてはならない。目的達成のために一丸となって戦う、その意識を高めなくてはいけないんだ」「彼の経験は必ず役に立つはずだ。スコラーリ監督の経験値がセレソンの戦いにプラスに作用する、僕はそう信じている。そう、大きなアドバンテージになる、とね」

ブラジルの課題とネイマールの未来とは……。続きは、ワールドサッカーキング0718号でチェック!

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