2013.05.20

輝きを続ける“ローマの王子”トッティ「40歳の誕生日をピッチ上で祝いたい」

[ワールドサッカーキング0606号掲載]

今シーズンのパフォーマンスを見せつけられては、「40歳の誕生日をピッチ上で祝いたい」という言葉も、決して“無謀な目標”ではないと確信させられる。フランチェスコ・トッティ、“王子”の躍動は終わらない。

トッティ
インタビュー・文=ピエロ・トーリ Interview and text by Piero TORRI
翻訳=高山 港 Translation by Minato TAKAYAMA
写真=ゲッティ イメージズ、アフロ Photo by Getty Images, AFLO

 ローマは一日にして成らず。この格言にならうわけではないが、大ベテランの領域に入りつつある「ローマのシンボル」も一日にして成らず、と言えるようだ。

 16歳でのトップデビューから早20年。9月に37度目の誕生日を迎えるフランチェスコ・トッティは、衰えなど微塵も感じさせないハイパフォーマンスを披露している。「自分がすべきことをしてきた結果だと思う。俺はいつだって日々のトレーニングを重視してきた」

 日々の鍛錬の積み重ねが、生けるレジェンドの妙技を支えている。傾向として選手寿命の短いFWというポジションを務めながら、「少なくとも、40歳になるまで現役としてプレーするつもりだ」と高らかに宣言するローマのシンボル。ローマで生まれ、ローマで育った“英雄”の生き様に迫る。

40歳の誕生日をピッチ上で祝いたい

――フランチェスコ、まずは君の今シーズンの活躍に賛辞を贈りたい。ここまで最高のシーズンを送っている君に「おめでとう!」と言わせてもらえるかな。

トッティありがとう。君に褒められるのも悪い気はしないね(笑)。もっとも俺としては、最高のシーズンを送ったとは思っていないんだ。個人的には満足のいくシーズンと言えるかもしれないけど、ローマの成績がいま一つだからね。

――君らしいね。ただ、36歳のFWが、依然としてセリエAのベストプレーヤーであるという事実は誇るべきことだと思うよ。

トッティ 自分がすべきことをしてきた結果だと思う。これまでのサッカー人生で、俺はいつだって日々のトレーニングを重視してきた。自分で言うのも何だけど、さぼらずにしっかり練習してきたつもりだよ。その結果として、今の俺がある。それは紛れもない事実だ。

――本当にそれだけなのかな? 君は9月で37歳になる。その年齢まで第一線でプレーを続けられるのは、他に何か秘密があるのではないかと思ってしまうけど。

トッティ 秘密なんてないよ。ただ、今シーズンのコンディションの良さについては、それなりの理由がある。夏のキャンプで(ズデネク)ゼマンの厳しいトレーニングを受けたことだ。久しぶりのゼマンのハードトレーニングのおかげで、俺の体は若返ったのさ。ゼマンの練習は長くてハードだ。たいていの選手は嫌がるよ(笑)。だけど、彼の指示どおりやっていけば、その成果は必ずピッチ上で現れる。ゼマンには本当に感謝しているよ。彼がシーズン途中でローマを離れたことは本当に残念だ。

――今シーズンの好調の要因は理解できた。では、この20年間、常に高いパフォーマンスを継続的に披露し続けている理由はどう説明してくれるのかな?

トッティ 常におごらずに、高いプロ意識を持ち、真面目にサッカーに取り組んだことと、ピッチ外での健全な生活のおかげかな。秘密どころか、サッカー選手にとっては極めて当たり前のことだ。当たり前のことを当たり前のこととして継続してきたからこそ、今でもピッチ上で周囲が納得してくれるようなプレーを見せることができるのだと思うし、これから先もプレーし続けたいという気持ちが持てるのだと思う。

――ローマ人は怠け者。これが世間の定説でもあるし、ローマ人の君が、これほど長く活躍し続けると考えた人は少なかったはずだ。その点に関してはどう?

トッティ  うれしい質問だね(笑)。ローマ人は怠け者で、いいかげん。俺は、そういう誤解と偏見に辟易していたんだ。俺がピッチ上で長く活躍できていることは、俺自身の勝利であると同時に、すべてのローマ人の偉大な勝利だと思っているよ。

――ところで君は、引退の時期を決めているのかな?

トッティ  いや、現役引退の時期については一切決めていない。今、ここで言えるのは一つだけ。俺は40歳の誕生日をピッチ上で祝いたいと思っている。

――なるほど。でも、ローマとの契約は来シーズン終了後に切れるね。

トッティ 確かに君の言うとおりだ。ただ、近いうちにフロントと会談の場を持つ予定になっている。基本的には契約延長という形で話は決着すると思う。つまり、まだまだローマでのプレーは可能だということさ。

みんなサッカーが大好きってこと

――イタリアでは、君だけでなく、ジャンルイージ・ブッフォンやアントニオ・ディ・ナターレが35歳となった今も大活躍している。君たちのモチベーションはどこから来るのかな?

トッティ  みんなサッカーが大好きってことさ。俺にとっても、ジジ(ブッフォンの愛称)にとっても、アントニオにとっても、この気持ちが大きなモチベーションになっていることは間違いないし、同時にそれが、成功の要因にもなっているのだと思う。とはいえ、3人の中で言えば、ジジは少し特別な立場にある。彼はGKだ。GKのキャリアが長いことは、決して珍しいことじゃない。その点、攻撃的なポジション、特にFWの選手寿命は平均的に短いからね。

――では、FWであるディ・ナターレと君に共通していることは?

トッティ アントニオも俺も、高いテクニックを擁しているということかな。10年前と比べれば、互いに爆発力は衰えているはずだ。でも、それを補うだけのテクニックがあるからこそ、こうして2人ともゴールを量産し続けているのだと思う。

――フランチェスコ・トッティがサッカーに飽きることはないのかな?

トッティ それはあり得ない。俺にとっては、今でも毎日がサッカーを始めた頃と同じようなものなんだ。妻のイラリーによく言われるよ。「サッカーをやめたら、あなたは何をしていいか分からなくなってしまうでしょうね」ってさ(笑)。確かに、正直、「一理ある」と思う自分もいる。いずれにせよ、「もうサッカーには飽きた」なんて言う日が来るなんて、今の俺には想像もできないけどね。

――ブッフォンの話に戻るけど、ポジション的に、長く活躍する選手が目立つのはやはりGKなのかな?

トッティ GKにとっては、スタミナよりも経験のほうが重要になる。過去にも、40歳を超えて第一線で活躍するGKはたくさんいたし、ベテランのGKが数多く活躍するのは当然のことだと思うよ。更に言えば、DFの中にも40歳を過ぎて現役を続ける選手が割といる。一つの理由として考えられるのは、DFの選手はFWの選手と比べて、削られることが少ないからだと思う。DFがFWを削り、その結果、FWがケガをする。サッカー界では、これが“普通”だからね。FWが長く活躍するのはそれだけ大変ってことさ。

W杯に関しては来年の今頃の体調次第

トッティが代表復帰論について激白。続きは『ワールドサッカーキング0606号』で!