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扇原貴宏「世界の舞台では勇気を持って戦うことが大切」

2013.04.18

ワールドサッカーキング0502号 掲載]
昨夏のロンドン五輪では、涙を見せる場面もあった。44年ぶりのベスト4という快挙にも「悔しい思いしかない」と言う。世界の舞台で手にした収穫と、今後への課題。日本が誇る若きボランチ、扇原貴宏が胸中を語る。
扇原貴宏
インタビュー・文=浅野祐介 写真=伊藤 信、ゲッティ イメージズ

一人ひとりが成長する必要がある

最初に「世界」を体感した、意識したのは何歳の頃でしたか?

扇原 明確に意識したのは、ロンドン・オリンピック(以下五輪)予選の時ですね。ユースの頃に世界大会もありましたし、その頃から意識はしていましたが、本格的に意識し始めたのは、U─18の大会で負けてからです。

ロンドン五輪予選では、この世代が阻まれ続けたアジアの壁を見事に突破しました。扇原選手は2011年8月のエジプトとのテストマッチでの途中交代をきっかけに、その後レギュラーへと上り詰めましたが、アジアでの戦いでご自身のどんなところが成長したと思いますか?

扇原 相手が引いて守ってくる中で、左足のキックの部分、ボールを前に運んでパスを出す技術という自分の特長が伸びていったと思いますし、本当にいい経験になりました。

チームとしては、どういった部分の成長がアジア予選の突破につながったと考えていますか?

扇原 厳しいアウェーでも、チーム一丸となって最後まで戦えることが大きな武器でもありましたし、それが五輪にもつながったと思います。

この先のA代表でも同じことが言えると思いますが、独特な雰囲気を持つアジアでの戦いを勝ち抜く上で、一番大切なことは何だと思いますか?

扇原 自分たちのサッカーを貫き、やり抜くことが大事だと思います。日本と比べると、ピッチ状態など環境的に悪い部分はありますが、自分たちがやってきたことを信じることが大切だし、メンタルが重要になってくると思います。予選という大きなプレッシャーの掛かる状況の中でもしっかりとプレッシャーに打ち勝ち、チーム一丸となって戦うことが本当に大事だと感じました。

アジアを相手にした際の、日本のストロングポイントはどこだと思いますか?

扇原 技術力や組織力は日本の強みだと思います。

では、逆にもっと伸ばさなければいけない点は?

扇原 アジアではシンプルにボールを蹴ってくる国が多いので、それをはね返せるフィジカルが必要になりますね。まだまだ力負けしてしまうところがあるので、そこを一人ひとりが伸ばしていかなくてはならないと思います。

ロンドン五輪ではボランチとしてチームを支え、44年ぶりのベスト4進出に貢献しました。五輪という国際舞台で得た自信と課題について教えてください。

扇原 左足のキックやボールを縦に入れるといった自分の特長を、ある程度、出せた試合もありましたし、ゲームメークの部分では通用したと思います。しかし、海外の選手は過密日程の中でもタフに戦ってきましたし、大舞台での戦いに慣れていると感じました。技術の面でももっと伸ばしていかなければいけないと思います。一人ひとりが、より成長する必要があるなと強く感じましたね。

扇原貴宏

大会が終わり、しばらく時間が経ちましたが、改めてベスト4という結果についてどう思いますか?

扇原 やはり悔しいです。あそこまで行っておきながら、メダルを持ち帰ることができませんでしたから。44年ぶりのベスト4は「うれしい」ではなく、悔しい気持ちしかありません。

五輪では、セレッソ大阪の先輩である清武(弘嗣)選手が攻撃の中心として活躍しました。同じピッチに立ち、海外に出たことで成長した、変わったと感じる部分はありましたか?

扇原 キヨ君がいるだけでボールが落ち着きますし、献身的な守備をするなど、チームのために90分間走ってくれます。攻撃でも決定的なパスを出すことができますし、試合の中で違いを作れる選手なので、一緒にプレーしていて心強い存在でした。海外でプレーをする中で更に自信をつけて、代表でも堂々とプレーしていますし、素直にすごいと思いました。ドイツで日々、厳しくもまれていることが成長につながっているのだと思います。

C大阪の先輩でいうと、香川(真司)選手もいますが、ノリッチ戦(3月2日)でのハットトリックは見ましたか?

扇原 ゴールシーンだけ見ました。改めて、ゴール前で落ち着いてプレーできるというのは真司君のすごいところだと思いましたし、プレミアリーグでああいうプレーができるというのは本当にすごいですよね。

話を五輪に戻しますが、準決勝のメキシコ戦では逆転ゴールを与えるきっかけを作ってしまい、試合後に涙を流すシーンもありました。あの試合からどんなことを感じ、どんなことが収穫になりましたか?

扇原 世界大会では一つのミスでやられてしまうということを痛感しましたし、あのミスを絶対に無駄にしてはいけないと思いました。この経験を生かして、これからも成長していこうと強く感じています。

目に見える結果を残していけるように

扇原貴宏

先ほどの清武選手や香川選手など、C大阪から海外に新天地を求めた先輩たちの活躍をどのような思いで見ていますか?

扇原 やっぱり刺激になりますし、自分も頑張らなければいけないと感じます。

かつてのチームメートの目線として、世界のトップの舞台で活躍する選手はどんな点で違いがありましたか?

扇原 結果を残し続けているというか、どの試合でもいいパフォーマンスをしているからこそ、あそこまで行けたんだと思います。特に大事な試合で結果を残している印象が強いです。

海外の舞台で戦うことに対するご自身の興味はいかがですか?

扇原 五輪で様々な相手と対戦し、ヨーロッパのスタジアムの雰囲気もとても良かったですし、その中でサッカーができる幸せを感じました。世界を相手にやりたいという気持ちはすごくあります。

具体的な海外挑戦についての興味はどうですか?

扇原 いずれは海外に行ってみたいです。ただ、今はC大阪でプレーしているので、あまり具体的には考えていません。

海外の同ポジションの選手で目標としている選手、参考にしている選手はいますか?

扇原 バルセロナの中盤の選手は参考にしています。特に、(セルヒオ)ブスケやチャビの動きを見ています。

世界を目指す中高生に向けてのメッセージとして、ご自身の経験を踏まえ、自信を持っていい日本人の特長を教えてください。日本人選手が世界で通用するのはどのような部分でしょうか?

扇原 日本人はチームのために走れますし、すごく献身的です。対戦してみての率直な印象として、スペインはとてもうまかったですが、技術面も日本のストロングポイントだと思いますので、自信を持ってやっていければいいと思います。

逆に世界のトップを目指す上で、日本人に足りない部分、課題として取り組まなければならない部分はどんなことだと思いますか?

扇原 フィジカル面で劣るところがあるので、中高生の時から目の前の相手に一対一で絶対に負けないような気持ちを持ってプレーすることが大切だと思います。

香川選手や清武選手のプレーを身近で見ていた経験から、世界で通用する選手の条件はズバリ、何だと思いますか?

扇原 真司君もキヨ君も、自信を持ってプレーしていますし、自分のストロングポイントをどの試合でも出すことができます。結果を残せること、それが重要だと思います。

自信と結果ですか?

扇原 そうですね。特に真司君はすごくメンタルが強いですし、海外に行っても堂々とプレーしています。メンタルの強さは大きいと思います。

10代のプレーヤーに向けてのアドバイスにもなるかと思いますが、扇原選手が??代の頃に取り組んでいたことで現在にもつながっているものはありますか?

扇原 自分の特長である左足のキックは繰り返し練習していましたし、今に生きていると思います。練習が終わった後、照明が消えるまでボールを蹴っていました。プロで活躍することを目標としてやっていたので、とにかくうまくなりたいという気持ちが強かったですね。

具体的に「プロ」というものを意識したのはいつ頃でしたか?

扇原 ずっと意識していましたが、ジュニアユースに入った頃からより強く、明確に意識するようになりました。Jリーグの育成組織に入ったことで、周りの選手のレベルの高さを感じましたし、「このままではいけない」と思いました。それからは、もっともっと練習に取り組むようになりましたね。

若い世代の選手たちが世界のトップレベルのチームと対戦する場合、そこからどんなことを吸収してほしいですか?

扇原 まずは勇気を持って戦うことが大切だと思います。その中で自分の良さを100パーセント出し切って、ストロングポイントが通用すればそれをもっと伸ばしていけばいいと思います。やってみなければ分からない感覚があると思うので、いろいろなことを吸収してほしいですね。

扇原選手はC大阪の育成サポートクラブ「ハナサカクラブ」の2期生。アカデミー時代はセンターバックを務める機会が多かったと思いますが、(レヴィー)クルピ監督によりボランチへとシフトされました。このポジションの変更については当初、どのように感じましたか? また、今はどう感じていますか?

扇原 (監督は)僕がボランチをできることを知っていましたし、自分も“できるポジション”だと分かっていたので、「ボランチをやるだろうな」という感覚はありました。このポジションに抜ばっ擢てきしてくれたことに、すごく感謝しています。最初は「センターバックをやらせたい」と言っていたらしいですが、今はセンターバックでのプレーはあまり考えられないですね。ボランチが自分のポジションだと思っています。

ところで、今シーズンのチャンピオンズリーグは見ていますか? 注目しているチーム、選手を教えてください。

扇原 最近一人暮らしを始めて、スカパー!が見られるようになったので見ています。注目しているのはバルセロナ。(決勝トーナメント1回戦のミラン戦では)アウェーで0─2で負けて、ホームで4─0で勝ったので、ますます勢いに乗るのではないかと思っています。

選手はいかがですか?

扇原 やっぱり、(リオネル)メッシはすごいですね。注目というか、すごすぎてびっくりしました(笑)

対戦してみたいですか?

扇原 まだいいです(笑)。もちろん体感してみたいという気持ちはありますが、あれだけ簡単に相手を抜くところを見ているので、実際にやってみたらどういう感じなのかは、すごく興味があります。

では、最後に今シーズンの目標を教えてください。

扇原 一つでも多くのゴールやアシストという目に見える結果を残していけるように頑張りたいと思います。

チームとしてはいかがですか?

扇原 今シーズンはタイトル獲得を目指してやっているので、その目標に向かって貢献できるように全力を尽くしたいと思います。C大阪の育成組織出身で、精度の高い左足のキックから攻撃を組み立てる。本職のボランチに加え、センターバックもこなし、昨年はロンドン五輪に出場。日本のベスト4進出に貢献し、確かな経験を積んだ

扇原貴宏

アディダスでは「すべてをかけろ。世界はもう、夢じゃない」というテーマの下、世界最高峰の大会・UEFAチャンピオンズリーグの開催に合わせ、中高生プレーヤーを対象に世界NO.1を決める大会「UEFAヤングチャンピオンズ2013」を開催。優勝チームにはUEFAチャンピオンズリーグ決勝観戦や、チェルシーFCのクリニック参加など、本気で世界に挑戦する部活生をサポートする様々なプロジェクトを展開している。ここでは、部活生から寄せられた質問に扇原選手が回答! 更に、自身が目指す「5年後の自分」を記してくれた。

扇原貴宏

Q1.ユース時代に一番苦労したことを教えてください。また、どうやってそれを乗り越えましたか?(15歳/DF)
A.高校1年生の時にメンバーを外されて悔しい思いをしました。同じ年の選手がメンバー入りをしているのに、自分がメンバーに入れず、とても悔しかったことを覚えています。でも、「悔しい」だけで終わらずに、それ以降の練習や取り組みが大事になるので、悔しい気持ちをバネにして頑張っていました。

Q2.扇原選手のようにFKがうまくなるためには、どんな練習をしたらいいですか?(14歳/MF)
A.試合を意識して、壁を立たせて練習するのが一番いいと思います。ただ単にボールを蹴るのではなく、キーパーの立ち位置など、試合をイメージすることが大事ですね。あとは練習あるのみだと思います。

Q3.自分もボランチなのですが、扇原選手は試合でいつもどんなことを心掛けていますか?(16歳/MF)
A.まずは90分間ピッチを走り切ることです。あとは自分の特長であるキックで、しっかりとチームに貢献することですね。自分の良さを出すことを考えて、チームのために走ることを心掛けています。

Q4.扇原選手はチームで少し年上の選手とプレーしていると思いますが、1学年、2学年上の先輩とうまくやっていく秘訣を教えてください。(13歳/FW)
A.ピッチの中に入れば年齢は関係ありません。遠慮せずにやることが大事だと思いますし、遠慮していたら始まらないと思います。年上、年下に関係なく、自分の良さを出していってください。

内田篤人選手、今野泰幸選手、家長昭博選手、権田修一らの声をWEBで!

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扇原貴宏、プレデター リーサル ゾーンを語る

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扇原選手にとってスパイクとはどんな存在ですか? ご自身のパフォーマンスを引き出す上でどう役に立っていますか?
「自分はキックを始め、一つひとつのボールタッチを大切にするスタイルですし、足にとてもフィットするこのスパイクは、キックに安定感をもたらしてくれます」

プレデター リーサル ゾーンの気に入っているところを教えてください。
「インサイドのパスもよく使いますし、ロングフィードも武器にしているので、パスゾーンがよく使う部分ですね。ボールをタッチする時の感覚がすごくいいところが気に入っています」

いろいろなプレースタイルの部活生がいますが、このスパイクを履いてほしいと思うのはどのようなタイプの選手ですか?
「キックにこだわりのある人には、ぜひ履いてほしいと思います。いろいろなキックを助けてくれますからね」

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      第1部/11:30~13:00(受付/10:30~)60名
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