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ブラインドサッカー世界王者ブラジルが魅せた究極の集中力/フィアットカルチョ2013

2013.03.25

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ブラジルの10番ヒカルドは圧倒的なテクニックで観衆を魅了した

文・写真=石井宏美

 23、24日、横浜市の横浜みなとみらいスポーツパークで、ブラインドサッカー「フィアット カルチョ 2013」が行われた。
 
 東方北信越、関東、関西、九州四国の全4ブロックで競われてきた地域リーグを勝ち抜いたトップチームによる真の日本一決定戦「フィアット カルチョ」。各リーグの代表同士によるハイレベルの戦いは、まさにフィアット カルチョならではの見どころ。今年はF.C.Avanzareつくば、松戸・乃木坂ユナイテッド、兵庫サムライスターズ、新潟フェニックスファイヤーズ、ラッキーストライカーズ福岡、buen cambio yokohama、たまハッサーズ、山梨キッカー、埼玉T.Wingsが参加。
 
 また、昨年のスペイン代表に続き、パラリンピック3連覇中で、2010年世界選手権で優勝したブラインドサッカーの王者・ブラジル代表も参戦した。
 
 ブライドサッカーにおいても世界最強のブラジル代表は、攻撃の核を担う7番ジェフェルソンと10番ヒカルドを軸に試合を展開する。世界ナンバーワンプレーヤーの呼び声高いヒカルドが巧みなドリブルで左右に揺さぶりをかけながらディフェンスをかわしシュートを放てば、一方のジェフェルソンも強烈なシュートで相手ゴールを果敢に狙う。ゴールこそならなかったものの、枠に飛んだシュートは数えきれないほどだ。このコンビの活躍もあり、ブラジル代表は3試合で18得点を奪い、圧倒的な攻撃力を発揮し優勝した。
 
 初戦となった23日のbuen cambio yokohama戦後、ヒカルドはドリブルの秘訣を教えてくれた。
「ピッチ上では音に敏感になるようにしています。それに加えて、監督、そしてガイドの指示をしっかりと聞き、それに基づいてプレーしているんです。しかし、なによりも大事にしているのは、最大限、集中力を欠かさないこと」
 
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ジェフェルソンは大会MVPを獲得

 また、ヒカルドとともに攻撃を担ったジェフェルソンは、優勝に貢献し、大会MVPを獲得。その喜びを語るとともに、ブラジル代表としての誇りをのぞかせた。

「日本のみなさんに、ブラジルがどんなサッカーをしているのかお見せすることができ、また得点やMVPを獲得することができうれしい。ブラジルでは誰もが夢見るサッカー選手として、自分がプレーできていることがすごく嬉しいこと。私は目が見えずにサッカーと出会うタイミングが遅くなりましたが、今、こうしてブラジル代表として、国を背負って戦えていることはすごく光栄です」
 
 ブラジルではネイマール、また、海外だとクリスティアーノ・ロナウド、リオルネ・メッシが大好きだというジェフェルソンは、「彼らのプレーからいろいろ学び、ブラインドサッカーにもつなげていきたい」とさらなる意欲と向上心をあらわにした。
 
 そんな世界王者と決勝で対戦し0-5と敗れはしたものの、前半はブラジルの猛攻をしのぎ1点に抑えた準優勝したFC.Avanzareつくば。田村竹晃はあらためて王者の強さを痛感しながらも、同時に手応えも感じていた。

「ヒカルドとジェフェルソンの2人のコンビで攻めてくるのは予想していました。だからこそ、ブラジルをリズムに乗せないようなディフェンスをチームとして行ったんですが、やはり相手の技術の方が上で、突破されてしまう場面が多かったですね。“さすがはブラジル”という感じです。でも、その中でも自信になったこともありました。今後はそれをチームとして生かしていきたい」
 
 田村の言葉が物語るように、地域リーグを勝ち抜いた各チームにとっても、今回のブラジルとの対戦は大きなモチベーションにもなり、また、世界との距離を図る絶好の機会となった。

ブラインドサッカーとは

 アイマスクをする「B1クラス」と、見えにくい(弱視)「B2/3クラス」の2つがある。2002年に発足したブラインドサッカー日本代表(B1)は、これまで世界選手権に2度出場。パラリンピック出場の悲願はいまだ達成されていないが、アジアの中で着実に力をつけ、世界にその実力を認められ始めている。ブラインドサッカーのルールは下記のとおり。

・プレーヤーは5人、コーチとコーラーを合わせた7名がピッチに立つ
・フィールドプレーヤーはアイマスクをする
・ボールには音の鳴る鈴が入っている
・ボールを持った相手に「ボイ!」と声を出す
・サイドライン上に安全のためフェンスが並ぶ
※B2/3クラスはフットサルのルールと同一

ブラインドサッカー日本代表対ブラジル代表 ハイライト動画

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