まもなく欧州サッカーの新シーズンが開幕!ファンが待ちわびる瞬間を前に、サッカーキングでは『ファン&ブロガーによる愛するクラブ大展望』を行います!
そのクラブを最も知ると言っても過言ではないファンという存在。彼らは最も愛するクラブをどのように見ているのでしょうか?今シーズンはどのクラブが栄冠を手にするのか。躍進を遂げるクラブは?強豪クラブが抱く不安とは?その答えが、ここに詰まっています!
今回は、欧州王者ながらプレミアリーグでは6位に沈んだチェルシー。“カルチョキング”こと、小松輝仁さんの展望をお届け!
文:小松輝仁
“戦術ドログバ”からの脱却。今シーズン課せられた最大のミッションは、やはりこれだろう。
クラブ史上最高のストライカーが去った。在籍した8シーズンで341試合に出場し、157ゴール71アシストの大記録を残したドログバは、その数字もさることながら、チェルシーが最も得意とするロングボール戦術を具現化する絶対不可欠のキーマンだった。昨シーズン当初、パスサッカーへの転換を図って大失敗したチームが、最終的にダブルという最高の形まで持ち直せたのは、結局のところこのモンスターの能力をフル稼働させる元のスタイルへ戻したことが大きな要因だ。
その絶対不可欠の男を失ったいま、ディ・マッテオ監督はやり方を変えるしかない。今夏の補強がどこまで監督の意向を反映したものかは定かではないが、技巧派揃いの新戦力を見れば、チームの方向性としてロングボール戦術を見据えていないことは明らかだ。
時間はかかる。それも、相当に長く要するかもしれない。アメリカツアーやコミュニティシールドを見ると、早速ロングボールが控えられていたが、センターに入ったルカクやトーレスは当然のことながらドログバのような基準点にはなれず、あちこちに流れては消えた。
そのことで中途半端なパスが増え、自陣の危険なエリアで幾度となくボールロストした。プレシーズンの1勝1分4敗という成績は、この悪循環が祟った結果だ。戦術変更は、2008-09シーズンのスコラーリ、そして昨シーズンのビラス・ボアスと二度の失敗例があり、ドログバの個人技に頼ってきてしまったチェルシーにとって、難題中の難題と言えるだろう。
それでもディ・マッテオには、前の二人にはなかったアドバンテージがいくつかある。たとえば1年間チームの内部を見ている点や、「チャンピオンズリーグ制覇に導いた監督」の絶対的な称号と、それによる選手との厚い信頼関係を持つ点などだ。前の二人は人間関係の崩落によってチームを去っており、その点ではディ・マッテオこそ最高の適任者ではないか。
肝要なのは外野が騒ぎすぎないことだろう。昨シーズンの反省を踏まえても、あまり急激な変更をするとは考えられず、現実的なチーム運営をしていくことをむしろ歓迎すべきだ。ディ・マッテオが言うとおり、「我々は青いシャツを着たバルセロナではない」。欧州王者として胸を張って、チェルシーらしい脱ドログバを進めていく。それが今シーズンのテーマと認識しておきたい。
チャンピオンズリーグ:連覇
プレミアリーグ:優勝
FAカップ:連覇
クラブワールドカップ:優勝
カーリングカップ:優勝
※ファンである以上、すべてに期待するのは当然。もちろん状況にあわせて捨てることも重要だが、開幕前の現時点ではオーナーも上から順に優勝することを狙っているのではないか、と予想。
リーグ・アンの年間最優秀若手選手賞を2シーズン連続で受賞したのち、年間最優秀選手賞も2連続受賞したベルギー最高峰のアタッカー。トリックを駆使した技巧的なドリブルを武器に、ゴール、アシストの両方を量産する。
今オフはかなり早いうちからマンチェスター2クラブへの移籍が噂されていたが、5月28日に自身のツイッター上で「欧州王者とサインする」とつぶやきチェルシー移籍を暗示すると、一週間後にはクラブから正式に発表された。移籍金は3200万ポンド(約39億5000万円)、週給17万ポンド(約2100万円)とされる。
現地メディアは「プレミアリーグのメッシ」などと評するが、シルエットやプレースタイルはむしろ元チェルシーのジョー・コール似。移籍を決断するにあたって、そのジョー・コールから多くのアドバイスを受けたとされ、同選手のようにプレーメーカーとして輝くことに期待がかかる。
2005年にジリンガムから加わり、チェルシーユースで育ったレフトバック。元ウインガーということもありスピードに優れると同時に、上下動を繰り返す底なしのスタミナを併せ持つ。
プロ契約は2006年8月。2010年までは下位クラブで修行を積み、2011年4月にチェルシーでの初キャップを記録した。アシュリー・コールの控えとしてファーストチームに定着した2011-12シーズンは、初先発のウィガン戦でファンが選ぶマン・オブ・ザ・マッチに輝く。その後リーグ戦6試合、カップ戦6試合に出場すると、チャンピオンズリーグファイナルのスタメンに大抜擢され、同大会始まって以来の決勝戦での初出場選手となった。
ロンドン五輪のイギリス代表最終メンバーに残ったり、イタリアとの親善試合に向けたイングランドA代表入りを果たしたりと、最近は代表選考においても注目される選手となっている。コミュニティシールドでは初ゴールも記録し、日に日に存在感を増すチェルシーサポーター期待の星だ。
GK:チェフ(ターンブル)
DF:イヴァノヴィッチ(アスピリクエタ?)、D・ルイス(ケーヒル)、テリー、A・コール(バートランド)
MF:ミケル(エッシェン)、ランパード(メイレレス)、ラミレス(モーゼス?)、マタ(オスカー)、アザール(マリン)
FW:トーレス(ハルクorシュールレorカバーニ?)
※プレシーズンでは4-3-3も試したが、ドログバを失ってただでさえボールの収まらない中盤はまったく機能せず、現地ファンのツイッターに「Rubbish(ゴミ)」などと書き込まれた。昨シーズンうまくいっている以上、システムを変える必要は今のところなく、層の薄いライトバックやストライカーの穴埋めが出来れば、文句のないスカッドと言える。
筆者プロフィール
小松輝仁
大学一年の冬、スカパー主催のサッカークイズで“まぐれ優勝”。これがきっかけとなりメディアの世界で働く機会に恵まれ、ネット、雑誌と2つの媒体で計3年ほど編集を経験した。中学時代からチェルシー一筋で、モスクワ、ミュンヘンのCL決勝は共に現地観戦。公式サポーターズクラブにも加入しているわりと熱心なファン。
【ツイッターURL】
https://twitter.com/blue_flag_fly【Facebook URL】
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