2015.05.28

《スペシャル対談》川澄奈穂美 × 大野忍  「輝き続けるために必要な事」

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プロサッカー選手として、また、なでしこジャパンの一員として、第一線で活躍し続ける大野忍選手と川澄奈穂美選手。小柄な体格ながら海外の選手たちと堂々と渡りあうその姿は、日本中に力を与え続けています。果たして彼女たちは、どのようにしてその高いパフォーマンスを維持し続けているのでしょうか。日本中を虜にする2人のアスリート、その自己管理術に迫ります。

大野忍選手と川澄奈穂美選手が語る、
アスリートの自己管理術

ー世界と戦う、“なでしこ”たちの体調管理ー

女子サッカー界を牽引する大野忍選手と川澄奈穂美選手。
2人はなでしこジャパンにおける頼もしい攻撃の核として、2011年の女子優勝に貢献しました。
あれから4年、大野選手は31歳、川澄選手は9月で30歳を迎えますが、
そのプレーは今も進化を続けています。
そんな2人に常にコンディションを良好に保つための体調管理についてうかがいました。

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大野 「コンディションについて、意識し始めたのは27歳の時から。それまではまったく考えていませんでした。ただ、元々ジャンクフードが好きで食事が偏っていたので、その食生活を直したいと思っていたのです。それで、11年のワールドカップをきっかけに、栄養士さんに食事の管理やアドバイスをもらうようになりました。それからは体重や体脂肪率などが格段に変化しましたし、何よりケガをすることが減りましたね」

川澄 「私は体調管理を明確に意識するようになったのはここ1〜2年です。しっかり練習すれば自然と眠くなるし、お腹も減る。小学生の時から寝る時間も早かったし、よく食べてよく動く子どもだったので、そのまま大人になった感じです(笑)。以前は練習後のストレッチなどもあまりしていなかったんですよ。でも、年齢を重ねると必要になる、ということもわかってきて……。少しでも長くサッカーを続けるために、ウォーミングアップやクールダウンも意識して取り組むようになりました。トレーニングが終わったあとや、翌日の疲れの取れ方も違うなと実感しています」

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そんな2人ですが、サッカー中心の生活スタイルの中で「コンディションに波を作らない」ための工夫があるとか。どうやらそれは、入浴、食事、そして睡眠に秘密があるそうです。

大野 「交代浴をやるのとやらないのとでは疲れの取れ方が違いますよ」

川澄 「最初にお湯で温まってから、水、お湯、の繰り返し。基本はお湯が3分、水が1分のセットを3〜5セットですが、私はその時々で自分の身体が欲しているだけやっています」

大野 「食事は、栄養士さんのアドバイスで、炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルの五大栄養素は、バランス良く摂るようにしています。以前に比べて塩分を摂る量は減りましたね。実家では味つけが濃く、前は好きだった味がしょっぱく感じることも……。あと、ヨーグルトは毎食必ず食べますね。それでも足りないぐらい、アスリートは乳製品が必要だと言われました。足が攣るのを防ぐ効果もあるそうですよ」

川澄 「私は自炊をしているので、基本的には好きな物を好きなだけ食べますが、バランスも考えて夕飯は白飯と汁物 と主菜のおかず、それとサラダは食卓に並べるようにしています。お味噌汁は具沢山にして」

大野 「睡眠は、8時間以上とるようにしています。23時とか、もっと早く眠くなることもあるよね?」

川澄 「私も23時までには布団に入るようにしています。走り込みが多い時期は、20時ぐらいから寝てしまいますよ。基本的には、いつでもどこでも寝られます」

大野 「それと、練習中は日焼け止めをこまめに塗っています。曇りだと、サボっちゃうこともありますが……」

川澄 「曇りは意外と紫外線が強いんですよ」

大野 「特に川澄選手や鮫島(彩)選手、澤(穂希)選手は、しっかりと塗っていて意識が高いなぁと(笑)」

川澄 「最近は髪の毛や頭皮にも日焼け止めスプレーを使うようにしています」

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サッカーは、大雨でも試合やトレーニングが決行されることが多いため、風邪などの病気にかからないよう、常に気をつけていると言います。

大野 「雨のあとはすぐにシャワーを浴びたり、素早く着替えます。絶対に体調を崩してはいけない、と気をつけているよね」

川澄 「シーズン中に体調を崩すことはほとんどないですね。風邪をひいたとしても、花粉症、と言ってごまかしたり(笑)」

大野 「風邪なんてひくわけないでしょ!と、認めない(笑)。そういう人は練習に来るな、と言われますから。それぐらい、してはいけないこと。実は一番気を遣うところかもしれないですね」

川澄 「ちょっとでもおかしいなと思ったら、すぐに寝たり、温かくして手洗いうがいを徹底したり。あとは風邪をひきそうになっても、風邪じゃないと思う気持ちも大事ですね。そういう気持ちをもてば、ウイルスも寄って来ないですよ(笑)」

それでは、2人が考える第一線で活躍し続けるために必要なこととは?

大野 「うがいや手洗いなど、当たり前だと思っていることを、いかに手を抜かずにやり続けられるかどうか。それで変わってくることも多いのではないかなと思いますね」

川澄 「有望な若手を蹴落とすこと……、というのは冗談ですが(笑)、成長し続けたいという気持ちをもち続けることは大事だと思います。現状維持で良いと思うと下降の一途をたどると思うし、私自身歳を重ねてもまだまだ成長できると思っているので。実際、十代や二十代の頃よりも貪欲な気持ちになってきているし、その気持ちを、れからも大事にしていきたいです」

最後に、今後の活躍に期待し、意気込みをうかがいました。

大野 「6月の女子ワールドカップでは、どのチームよりも走って、戦わなければいけない。そのハードワークは見てほしいです。個人としては、フォワードですから得点にはこだわっていきたいですが、前線にもゴールを決められる良い選手が多いので、チームメイトを信頼して、ゴールに繋がるパスを送りたいです」

川澄 「前回はダークホースで日本が優勝したと見られていると思いますが、どこのチームにも優勝の可能性があるのがワールドカップです。自分たちの強みを毎試合出せるようにするためには泥臭さも必要。90分間の試合が終わったあとに勝ちにふさわしいチームであるために、全力で戦います! 勝利に値するチームかどうかを、見ていてください。自分がピッチに立つ意味を考えて、ハードワークする部分は誰にも負けたくない。それは気持ちとともに押し出していきたいと思います!!……暑苦しいですか?(笑)」

大野 「うん(笑)」

川澄 「あいつ、また走ってるよ、ぐらいの感じが良いのだと思うので。頑張ります!」

私たちのハードワークを
ぜひ見てほしいです!
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すべての女子サッカー選手の憧れとも言うべきなでしこジャパンのユニフォーム。果たして、今回はどんな戦いを見せてくれるのか。ディフェンディングチャンピオンという誇りを胸に、2人がピッチの上を躍動する日は、もう、すぐそこまで来ています。

※本インタビューは2015年4月10日に行われたものです。