2012.06.06

アジア王者・日本が伝えたフットサルの魅力/AFCフットサル選手権 


●文/軍記ひろし 写真/futsalgraphic
 
 2年前にタシケントで行われたAFCフットサル選手権。準決勝で宿敵イランと戦い、コテンパンに叩きのめされた。0─7。屈辱的なそのスコア以上に、ゲーム内容の面でもこれ以上ない悔しい思いをさせられた。
 
 あれから2年。今大会の組み合わせでは、順調に行けば決勝までイランとは対戦しない。言い換えれば決勝でイランと戦えるということだ。2年間、その悔しい思いを糧にしてきた選手も多い。「決勝でイランを倒す!」。そうイメージしていたのは私だけではなかったはずだ。
 
 しかし、今大会はその宿敵との戦いは一度もなく終焉を迎えた。決勝戦の相手となったのはタイ。日本は6─1という快勝で優勝を果たし、2006年以来のアジア王者に返り咲いた。
 
 今大会はW杯の出場権がかかっていた。ベスト4までに入ればW杯出場というのは、昨今の日本代表の力を考えればそれほど難しいミッションではなかった。これまで、ベスト4に進出できなかったことなどないからだ。ただ、日本国内において人気、知名度が下降している現在のフットサル界の現状を考えると、W杯出場権獲得という結果はもちろん、それ以上のスペクタクルを、絶えず発信し続けなければならない。W杯の出場権を獲得するだけでは、十分ではないのだ。
 
 タイは、絶対王者イランを延長戦の末に破って勝ち進んできたチームだ。勢いと、溢れ出るエネルギーをひしひしと感じさせ、そしてそのエキサイティングな戦い方は、会場にいる中立な立場の観客の心を掴んでいた。今年のW杯開催国はタイであり、今大会の結果は出場権に影響しない。それでもなお、勝利への強い執着心を切らさぬ姿に、この勢いのあるチームに勝てるのか? といった不安もあった。
 
 決勝戦は、日本でもTV放送された。準決勝後のプレスルームでTV放送決定の知らせを聞いたときには、ついにきたかと興奮を覚えた。フットサルという言葉は知っているが、フットサルがどんなモノなのか見たこともないという人たちに知らせることができる、最大のチャンスである。ここでの結果、内容が、今後のフットサルに大きく影響すること間違いない。

 


Photo by futsalgraphic

 はたして日本代表は、世の中にフットサルの魅力を伝える試合ができたのか?
 
 答えはイエスだ。最高の試合をしたと思う。エキサイティングな試合だった。そして、日本は強いんだ! という印象をしっかりと残すことができたと思う。
 
 日本代表からは「戦っている」というエネルギーが溢れ出し、絶えず先手を取り、試合を優位に進めて相手を圧倒した。消極的なプレーなど全くなかった。局面局面での戦いを制し、一歩も引かずに邁進し続けた。全ての場面でタイを圧倒し、全てのプレーがうまくいった。後半には、北原亘の退場という危機を迎えたが、それを乗り越えたことでさらなる団結が生まれた。
 
 準決勝までの戦いは正直どこかすっきりしない、まあこんなモノだよねといった感じで、目的はW杯出場権獲得だからしょうがないと言い聞かせなければ納得できないものだった。優勝を期待したいけれど、しないほうが良いのではないか? そんな思いすら抱いたのも事実だ。
 
 しかし日本代表はこれが本来の実力だと言わんばかりに、圧倒的なチーム力を見せ、アジア王者に相応しい姿を示した。
 
 W杯出場権獲得、そして素晴らしい内容での優勝。第一段階の目的は、最高の形でクリアした。そしてこの先に続くW杯には、「グループリーグ突破」を次なる目標として進んでいかなければならない。
 
 個人的には、アジアの頂点を決める舞台でイランに勝利してほしいという気持ちがあるが、それはまた次の機会だ。最高の状態を迎えつつあるこのチームで、世界を相手にどこまでできるか。W杯が楽しみでならない。

EXILEが応援するフットサル大会の受付が6月1日にスタート

サイト人気記事ランキング