[ワールドサッカーキング 2012.02.02(No.205)掲載]
守備陣の復調によって、ドルトムントにようやく昨シーズンの輝きが戻りつつある。ピッチ上で美しく機能するようになったチームの後方で、抜群の安定感を見せているのがマッツ・フンメルスだ。リーグ2連覇に向けて確かな自信をのぞかせるフンメルスに、シーズン後半の展望を聞いた。

ダイナミックかつエレガントなマッツ・フンメルスのプレースタイルはしばしば、フランツ・ベッケンバウアーと比較される。まだ23歳の若さであるが、ドルトムントでレギュラーを獲得して既に4年が経過。安定したプレーぶりで、昨シーズンはチームの優勝、そしてリーグ最少失点という記録に大きく貢献した。今シーズンも第17節終了まで全試合に出場。バイエルンを追走するチームを的確な守備で支えている。
果たしてドルトムントの2連覇は現実のものとなるのか。フンメルスはシーズン後半に向けて自信をのぞかせる。序盤は今ひとつ調子を出せなかったチームがなぜ、上向きになってきたのか。ドルトムントが秘める底知れない可能性について、攻守の鍵を握る男が饒舌に語った。
君を見てベッケンバウアーを連想するファンは多い。君はベッケンバウアーのプレーに影響を受けて、今のような選手に成長したのかい?
フンメルス ものすごくうれしいけど、僕はまだキャリアをスタートさせたばかりのヒヨっ子だ。伝説の名選手と自分を比べたことなんてないよ。それに彼が活躍していた時代に、僕はまだ生まれてなかった。生で彼のプレーを見たことがないから、これ以上は何とも言えないな。僕が影響を受けたのはジネディーヌ・ジダンだった。ポジションは違うけど彼のボールさばきには舌を巻いていたよ。「何なんだ、このプレーは?」ってね。2001-02シーズンのチャンピオンズリーグ決勝で見せたあのボレーシュートは生涯忘れられない名シーンだよ。
ところで今シーズン序盤、ドルトムントの出来は悪かったよね。リーグ戦でもチャンピオンズリーグ(以下CL)でも敗戦が続いたけど、何があったのかな?
フンメルス クライシス(危機)だと言われたけど、チームの成長過程ではよくあることさ。昨シーズンはすべてがうまくいって「イケイケ状態」だったけど、ああいうのは必ずどこかで止まるものなんだ。だから僕たちはクライシスだなんて全く感じていなかった。
どうやって不調を乗り越えたの?
フンメルス それを答える前に確認しておきたい。果たして僕らは敗戦が続いたことによって神経過敏になっていただろうか? 自分たちの能力に疑問を抱いていただろうか? システムを全面的に変更しただろうか? こういったことは全くなかっただろう? 極めて平常心で、以前よりハードに練習しただけさ。練習でも試合でもミスの原因を徹底的に分析して、改善していったんだ。
つまり、明確な問題点を見つけられたということだね。
フンメルス 1、2試合を除けば、ほとんどの試合で僕らは有利に戦えていた。ただ、チャンスをきっちり決められず、守備では決定的なミスを犯していたんだ。もちろん、僕もミスをしでかしたよ。特に、CLのレベルになるとささいなミスが命取りになる。マルセイユ戦がいい例だ。内容では僕たちが優位に立っていたのに結果は0-3だったからね。でも、敗戦の結果、ミスの原因を突き止めることができたんだ。
リーグ戦ではバイエルンとシャルケに勝利した。ライバルである2チームに勝てた要因は何だろう?
フンメルス チームの特徴を最大限に生かせたから勝てたんだ。同時に絶対、ミスをしないよう努力した。あの2試合は、僕たちがリスクを避けていただけのように見えたかもしれないけど、チームはアイデンティティーを失ってはいなかった。つまり、僕たちの強味をきっちり出せた結果として勝利できたんだ。激しいプレス、攻守の素早い切り替え、圧倒的な走力、ボールに食らい付く気迫……。シーズン序盤は高い授業料を払ったけど、学んだことは多かったよ。今はかなり順調にいってると思う。この調子が続けば、ドルトムントは更に進化できるだろう。そのうち、どのチームも僕たちに勝てなくなるよ。僕たちのポテンシャルは無限大だからね(笑)。
司令塔のヌリ・シャヒンがレアル・マドリーへ移籍し、代役として入団したイルカイ・ギュンドアンは少々、期待外れだったよね。そこへ突然、18歳のモリッツ・ライトナーが現れ、あっという間に主力に定着してしまった。これはセンセーショナルだったね。
フンメルス ヌリの代役はそう簡単に務まるものじゃない。アイツは別格だったからね。それにしてもモリッツには驚いたな。彼は与えられた最初のチャンスをモノにしてしまったんだからね。ただ、イルカイだって才能を持った選手だ。近いうちに本領を発揮するはずさ。
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