
Prensa de Marfil Santa Coloma
サッカーの世界では、スペイン代表がワールドカップで優勝し、バルセロナがヨーロッパチャンピオンに輝くなど、スペインは代表・クラブの両方で世界の頂点に立っている。現時点で、世界で最もサッカーが強い国はスペインと言えるだろう。
“スペイン最強説”は姉妹競技であるフットサルにも当てはまる。リーグには各国の代表クラスの選手が集まっており、“フットサル版CL”のUEFAクラブ選手権では毎年のようにタイトルを獲得。代表チームのほうもブラジルと並んで世界の“2強”としての地位を揺るぎないものにしている。
なぜ、スペインはサッカーのみならずフットサルも強いのか——。スペイン1部リーグのサンタコロマでピヴォとして活躍する、フットサル日本代表の星翔太はこのように分析している。
「日本は小さいサッカーとしてフットサルをプレーしているのに対し、スペインは、フットサルという独自の概念を持ってフットサルをプレーしています。スペイン以外にもブラジル、ロシアなどの強豪国は、そういうものを持っていますね」
星は代表チームの一員として初めてスペインと試合をしたとき、「日本でやっているのとは別の競技だと思った」というほどの違いを感じたそうだ。それは星が語った「独自の概念」という言葉にも置き換えられるだろう。
「スペインではサッカーがダントツの一番人気で、次がバスケットボールで、ハンドボール、それでフットサルと続きます。どれも世界大会で優勝するぐらい強い。バスケットもハンドボールも戦術面、戦略面がすごく細かいスポーツです。そういうのがスペイン人は好きなんだと思います」
スペインといえばバルセロナのシャビやイニエスタの名前が挙がるが、彼らは全体的に小柄で、運動能力が高いとは言えない。しかし、それにも関わらず身体能力や個人技を持つ国に対抗できるのは、スポーツを論理的に突き詰めているからだと星は分析する。
「バルサのサッカーなんかもそうですけど、こうなった場合は、こう動くというようなところを、すごく理詰めでやっている。個人的には、規律正しく、真面目で、勤勉な日本人に合っていると思います。日本人は自分で考えて生み出す力が足らないと言われますけど、言い換えれば真似をするのは得意だし、それを習慣化することが出発点になる。そこから自分たちのオリジナルを生み出せればいいのかなと思います」
星にとってスペインでプレーすることは、お金には変えられないほどの価値があるという。それは、星がいうように日本人がレベルアップする上で学ぶべきものが、この国のフットサルにはあるからだ。
「得るものが大きいので、正直、スペインでプレーできるのなら、お金をもらわなくてもいいんじゃないかと思えるくらいです。それぐらい、スペインでプレーする事に価値を見出しています」
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もう一つ、スペインの強さを支えているものがある。それがフットサルを取り巻く環境面だ。星にとってスペインにおけるフットサルの浸透度は予想以上だった。
「地元のテレビの取材、ラジオ放送は結構ありますし、週に1回は、リーグの1試合が、全国ネットでテレビ放送されます。スポーツ新聞も、試合の後は1ページに結果が載ります。さすがに全国紙の一面ということはないですが、注目度はかなり高いですね。プレーオフになれば1万人ぐらい入りますし、大応援団が20台バスをチャーターしてアウエーに乗り込むなんてこともあります」
スペインではフットサルチームは大都市近郊の小さな街にあることが多い。サンタコロマもバルセロナから電車で40分ほどのところにある、人口11万人の小さな街だ。この街ではおばあちゃんから子どもまでが、「おらが村のチーム」を応援している。
「小さい街にあるチームが多いので、地元では選手の知名度もそれなりにあるんですよ。僕も、声を掛けられますよ。サンタコロマのカフェに行ったら、『オマエはどっかで見た事あるな』と。『フットサル選手だ』というと、『おお、それでか、じゃあサービスしてやる』となることもありました」
さらに、サッカーではありえないことだが、サンタコロマの試合ではハーフタイムにピッチが“開放”されて、子どもたちが自由に入ってボールを蹴ることができる。それまでトップ選手が戦っていたピッチが“遊び場”になるのだ。こういった距離感の近さは、フットサルならではといえるだろう。
「日常の中に、当たり前のように、フットサルがありますね。ハードルがいい意味で低いというか、垣根がないんでしょうね」
地元のファンや子どもたちにとって、フットサル選手は手の届かないスターではない。同じ街で暮らし、気軽に声をかけることができて、時には一緒にボールも蹴れる、いわば“会いに行けるヒーロー”なのだ。
気になるのは、そんなヒーローたちの待遇面である。例えば、サッカーにおけるメッシや、クリスチャーノ・ロナウドにあたるトップレベルの選手はどれぐらいもらっているのだろうか? そんな質問を単刀直入に星にぶつけたところ……。
「僕が聞いたところによると、5000万円ぐらいですね。サッカーに比べたら少ないですけど、出場時間、プレー時間に換算すると、割りは良いですよね。フットサルはプレーイングタイム40分なので、ハーフタイムなどすべて含めた開催時間だと80分ぐらい。しかも交代が自由だから、1人の選手がプレーするのは平均して20分ぐらい。さらに、試合数もサッカーと比べれば少なくて、多くて年間50試合ぐらいです」
小さな街で、地元のファンの応援に支えられてプレーする——。当たり前に聞こえるかもしれないが、その「当たり前」がたくさんの場所にどっしりと根を下ろして存在していることが、スペインの強さの秘密なのかもしれない。
取材・文/北健一郎、髙田宗太郎
取材協力/フットサルデジタルマガジンファイブ
フットサルデジタルマガジンファイブとは
フットサル界初の電子書籍型マガジンとして7月に創刊された「ファイブ」。11月25日にリリースされた第2号ではフットサルの「個人戦術」と「観戦術」をクローズアップ。ビギナーからコアなファンまで、フットサル観をレベルアップさせる、必見の内容となっている。定価500円。
http://www.five5.jp/
Vol.2 目次
「最新版・フットサル解体新書」
●Part.1
フットサル日本代表&スペインリーガー星翔太が教える
フットサル個人戦術
●Part.2
フットサル日本代表コーチ在原正明が教える
フットサル観戦術
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