提供:小澤一郎の「メルマガでしか書けないサッカーの話」
現地10日に行われたレアル・マドリードvsバルセロナの“エル・クラシコ”は、3-1で敵地に乗り込んだバルセロナに軍配が上がった。「近年で最も拮抗した一戦になる」と予測されていた一戦は、王者バルセロナがレアル・マドリードを圧倒。何が勝敗を分けたのか――。サッカージャーナリスト小澤一郎(おざわ・いちろう)氏が、欧州と南米で指導経験のあるサッカーコーチ徳永尊信(とくなが・たかのぶ)氏にインタビューを敢行。勝敗を分けたポイントや戦術を始め、スペインの育成・指導法を交えて2人の言葉で“エル・クラシコ”を振り返る。

エル・クラシコ(レアル・マドリード対バルセロナ)の試合前は、どのような予想・展開を考えていましたか?
徳永尊信氏(以下、徳永) 結果までは予想していませんでした。昨季の国王杯ではバルサが負けてしまいましたが、試合の日までバルサの方が分が良かったので。今季、レアル・マドリードがリーグ戦で上位という状況の中、どう戦ってくるのかというところに注目していました。
今季のレアル・マドリードに関してはどう見ていましたか? 去年と比較してレベルアップしたと思いますが、具体的にどの部分が良くなったのでしょう?
徳永 けが人の復帰と、ベンゼマの復調ですね。けが人と言えばイグアインやカカも当てはまります。それで本来の戦力がだいぶ整ってきたかなと思います。やっていること自体は、昨シーズンのサッカーと変わりないと思います。
スペイン国内では、ポゼッションのやり方やボール支配率自体が非常に上がってきたのではないかという声も聞きます。そういった見方に関してはどうお考えですか?
徳永 確かにそうですね。ただ、ポゼッションの仕方は360度ピッチを広く使ったサッカーというわけではなく、バルサとはまた違ったスタイルの、縦型のサッカーをしてくるなという印象はあります。
今季のクリスティアーノ・ロナウドについてはどうですか?
徳永 申し分ないと思いますね。スペインでは全てそろった選手という意味で“コンプレト(completo)”と言いますけど、その言葉通りのプレーをしているのではないでしょうか。
今季のバルサは勝ち点を取りこぼしたり、あるいは直前のヘタフェ戦では負けたりしています。そのような取りこぼしについて、原因をどのように考えていますか?
徳永 長いシーズンを戦っていく上で、全試合全勝で飾ることのできるチームはないと思いますし、取りこぼしと言っても、全体の割合で言えばそんなにそこまで多くはありません。長いリーグをこなしていくわけですから、負けることがあるのも当然かなと思います。逆に、ここまでのレアル・マドリードのペースというのが、異常とも言えるのではないでしょうか。
最近のバルサは、システム論に関して「3バックの1-3-4-3にした」ということなどがよく言われます。開幕戦のビジャレアル戦でいきなりそのシステムを試したとはいえ、それがベーシックなシステムとはならないと考えられてきました。徳永さんはバルサのシステムの変化をどうみますか?
徳永 やはりグアルディオラとしては、同じシステムで戦っていく上で、相手が詳しく研究してくるということを考慮し、あえてバリエーションを加えたかったのではないでしょうか。また、グアルディオラが選手時代にやっていた戦術でもありますし、バルサBの監督に就任した時も当初やっていました。ですから、グアルディオラにとっても常に頭の中にオプションとしてあったのではないですかね。
徳永さんは、そのバルサB時代のペップを知っている数少ない日本人だと思います。それをリアルに見てきたという経験からみて、その当時のサッカーや彼がプレーしていたサッカー、そして彼が監督として標榜したスタイルと比べて、何か変わったところはありますか?
徳永 変わっている部分というのは、やはり前線からのプレスといった部分ではありますが、バルサの哲学が変わったわけではないので基本的に指向しているサッカーは同じだと思います。
そのバルサの哲学についてお聞きしたいと思います。「グアルディオラになってから、急にその哲学が深みを増した」と言われていますが、徳永さんの中でどのように解釈していますか?
徳永 やはり攻撃的なサッカーの指向ですね。それが第一で、しかもボールポゼッション重視というところが、他のサッカーと一線を画しているところだと思います。ただ、システムが一番頂点にあるというわけではなくて、あくまでシステムはそのサッカーを表現するための一つのツールにすぎないと考えます。特に今回のエル・クラシコを見て思ったところでもあります。
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それではまず、エル・クラシコを見た率直な感想をお願いします。
徳永 今回、結果としてはバルサがほぼ完勝したのですが、特に前半はまさに五分五分の試合展開で、もしかしたらマドリーが勝つのではないかと思っていました。しかしやはりバルサに勝つには、バルサと五分五分のポゼッションをしない限り不可能だと再確認したゲームでした。
「勝つためには」ということに関して言うと、例えば先日のヘタフェや、去年で言えばエルクレスがカンプ・ノウで勝ちましたが、10回やって1回勝てるかどうかという確率だと思います。
徳永 そうですね。グアルディオラが試合前の記者会見で、「バルサが勝つには最高のプレーをしないといけない」と言っていましたが、普段の公式戦ではなくエル・ クラシコですから、バルサは100パーセント以上のモチベーションで試合に臨みます。そのような状況でバルサに勝つためには、それをやらないと勝てないと 思います。
つまり、バルサが100パーセントに近いパフォーマンスを出した場合、現時点で勝てるチームはないということでしょうか?
徳永 サッカーですから不可能ではないのですが、勝つ可能性というのは限りなく低いと思います。
それでは、ボールも主導権も握ってバルサに勝つということは、ほぼ非現実的なことなのでしょうか?
徳永 そうですね。モウリーニョがインテル時代にバルサに勝った時のような後ろにベタ引きするというサッカーじゃないと、勝てる可能性はほぼないと思います。
今 回のエル・クラシコでは、開始22秒でバルデスのミスから失点するという形で始まりました。その後の流れをみても、レアル・マドリードが去年の終盤のクア トロ・クラシコ(※2011-1シーズン終盤の18日間で、リーガ、CL、国王杯で計4度対戦した)の時よりもハイプレッシャーが継続し、後方から繋ごう とするバルサを前半は苦しめたと思いますが、どうですか?
徳永 そうですね。レアル・マドリードは前線からプレッシャーをかけにいき、それがすごく効果的でしたし、最初のバルデスのキックミスから点をとったことも大きな意味をもったと思っています。
それでも、あそこまで押し込んだにもかかわらず、強引にドリブルしたメッシのスルーパスから同点弾が生まれました。バルサは今回のように押し込まれても、メッシ個人の力とは言え、カウンターから点が取れるというのは強みですよね。
徳永 そうですね。バルサを見ていると、すごく流動的なサッカーをやっていると思います。各選手が二つ以上のポジションをこなせるので、システムに従うのではな く、試合中でポジションチェンジを繰り返しながら試合の主導権を握っていきます。そのような試合運びを見て、「システムありきのサッカーじゃない」「バル サはもうその段階まで突入している」ということを改めて感じましたね。
今回のスタメンを見て、バルサ側がサプライズな選手起用やポジショニングなど、多々ありましたが、徳永さんはこれらをどのようにみましたか?
徳永 まず驚いたことは、マスチェラーノを使わなかったことですね。最近のパフォーマンスがすごく良かったので、使ってくるかなと思ったんですが。やはりエル・ クラシコともなると、グアルディオラはカタルーニャ人を信じているのだろうなと思いましたね。エル・クラシコというのはカタルーニャ人にとって特別なもの なので、そういった要素も考慮しているように感じました。
具体的にはどういうことでしょうか?
徳永 私は、プジョルのポジションにはマスチェラーノが起用されるものだと思っていました。ただエル・クラシコにはバルサとレアル・マドリードとの歴史的な背景があり、バルサはカタルーニャを代表としているチームなので、プジョルを起用してきたということだと思います。
もっとも、最初から1-3-4-3で戦っていたわけではないので、プジョルを使ってきたのかもしれませんね。プジョルもけが明けで、ベストなコンディションではなかったと思いますし、マスチェラーノを使ってくるのではないかなと思っていたんですが。
今季のマスチェラーノはピボーテではなく、完全にCBとして、特に3バックの真ん中に定着した印象です。彼があのように最終ラインに入ってプレーしているのを、どのように見ていましたか?
徳永 マスチェラーノはスピードがあり、アグレッシブな守備もできる選手です。また、特にバルサの場合は相手陣内に押し込んだ状態でのプレーが多いですから、後 ろのほぼハーフコートの広さ、約50メートルを守備しないといけないわけですよね。そういう場合、スピードのある選手はすごく重要になってきます。もちろ んプジョルもそうですけど、特にスピードの面でマスチェラーノはすごく有効だと思います。
バルサはスタートを4バックで来ましたが、後半になるとアウベスがポジションを上げました。その辺りの戦術変更に関しては、徳永さんはどう見ましたか?
徳永 私もびっくりしました。このまま行くのかなというところで、1-3-4-3にしてきましたから。まあ1-3-4-3と言っても、守備時はブスケッツがDF ラインに入って事実上4バックになり、セスクとシャビがDFラインの前で、ドブレ・ピボーテとなります。グアルディオラがトップチームの監督に就任してか らここ数年、このような攻撃とDFのシステムの変型を使用しているようですね。
そういった変型のシステムでプレーしている選手というのは、どのように認識していると思いますか? 特に日本だと、「自分はこのシステムになるとこういう役割だ」と意識しないとプレーしにくい印象ですが、どうでしょうか?
徳永 そういったところに、バルサの選手のレベルの高さが感じさせられますよね。試合中でもポジションチェンジを頻繁に繰り返し、その中で常に自分の役割を考え てプレーしています。そういったところが、特に最近のバルサの流動性という点で、一つのテーマとなるのではないかと思います。
前半を1-1で折り返し、後半はバルサが圧倒しました。やはりその一番の要因は、レアル・マドリードが前半からあれだけハイプレスを行なったことで、ペースダウンに繋がったということなのでしょうか。
徳永 前半のレアル・マドリードには、作ったチャンスの数や試合内容という点ではバルサと五分五分のような印象がありますが、実はバルサのボールポゼッションは58パーセントだったんです。
普段バルサの試合を見ているとボール支配率が70パーセントや、60パーセント以上というのが普通なんですけど、それでも58パーセントというのは、サッ カーの中でもかなり高いですよね。そういった状況の中で、やはりボールを支配している方と支配されている方の差が出たんじゃないかなと思います。
サッカーで交代が5人や6人可能というルールがあれば、レアル・マドリードは選手交代をして持続できたかもしれません。しかし今のルールでは3人ですか ら、限界があったんじゃないでしょうかね。特に、前線からプレスをかけるのでしたら、トップの選手も中盤の選手もかなり消耗してしまいます。58パーセン トの支配率とはいえ、バルサの方にある程度の優位はあったのではないでしょうか。
エル・クラシコ前は、レアル・マドリー ドが3ボランチ、トリピボーテ(3ボランチ)で来るのではないかと言われていました。ラサナ・ディアラが良くなってきたというのもあって、シャビ・アロン ソをアンカーにし、ラスとケディラを前でつぶし役として置くという予想もありました。去年のペペのアンカー起用が成功しているので、そのようなシステムで 来るというのが大方の予想だったんですが、モウリーニョはスタイルを変えずにエジルをトップ下で起用してきました。そういった部分はどう見ますか?
徳永 今回はホームのベルナベウで試合をやるということで、レアル・マドリードのクラブの質と言うか、過去に守備的に戦ったカペッロの例のように、守備的な戦い方は許されませんでした。そのようなスタイルは、レアル・マドリードのファンには受け入れられないと思います。
そういった状況を考慮すると、去年の前半のエル・クラシコの流れと同じように見受けられてしまいます。つまり、エル・クラシコまですごく調子が良くて、モウリーニョもその調子の良い流れでやりたいと考えました。
今年も結局は同じで、バルサ対策ということで考えれば、去年成功したペペをアンカーに置くとか、中盤にクラッシャータイプの選手を配置したかったと思いますが、クラブの歴史やモウリーニョのプライドが邪魔をして使えなかったという印象です。
徳永 私もそう思いますね。
さて、また試合内容に戻ります。バルデスがあのような場面でミスしました。そして、その後のレアル・マドリードのプレッシャーは相当速いものだったのです が、言い換えれば裏がその分空いていたということになります。ですが、バルサは裏を狙っていかずにここでも徹底した繋ぎの意識を持ってプレーしていまし た。そういった点は頑固だなと思うのか、あるいはその方は効率がいいからと考えるのか。どちらでしょう?
徳永 おそらく「その方が効果的だ」と信じているんじゃないでしょうかね。それが他のチームとの差だと思います。しかもバルサの場合、ゴールキックの時に相手が プレッシャーをかけに来ているにもかかわらず、あえてペナルティ・エリアの横までいって、CBがそこから繋いできます。本当に特殊だと思いますね。
それに対し、レアル・マドリードは実際にそこのCBにマークについて、あるいは前線の選手3枚を前に張りつけて、ゴールキックから対応しようとします。それでも中央にスペースがあれば、ボランチのブスケッツのところに出して真ん中を通してきます。
徳永 そうですね。そこで落として、相手が近づいてできたサイドのスペースにまたパスを出してきたりします。要するにGKを1人としてみると、プレーゾーンの中 では数的有利になります。バルサの選手は「数的有利な状況にいる」という考えのもとやっていると思います。GKを使えないと、結局プレーゾーンの中では 10対11ですから。その違いじゃないでしょうか。
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徳永さんがバルセロナに住んでいた時に、バルサのカンテラと試合をした際、今ほどではないですけど、実際にGKをしっかりつかってビルドアップをしていくというサッカーをしてきましたか?
徳永 はい、やっていましたね。特にグアルディオラが就任してから、そのやり方が顕著になったと感じました。基本的に、グアルディオラが来る前からも360度の方向性を持ったサッカーをやっていた印象はあります。
バルサでプレーする際に、技術的な面で重要なこと、あるいは身につけておかなければいけないことというのは具体的に何でしょう?
徳永 まずテクニックの面で、スペインでは「コントロール・オリエンタード」というのがありまして、日本で言う「ハーフ・ターンのコントロール」なんですけど、それを徹底してやっていると感じます。
バルサのサッカーというのは三角形を作って、角度がある状況でサポートを作り、そこで半身で構えてハーフ・ターンをするというがあります。サッカーという のは、基本的にはボールが後ろから来て、前にあるゴールを目指さないといけないという難しさがあるので、縦の関係だとどうしても背負ってボールをもらって しまいます。
そういった場合、今までは前線の選手に一度ボールを当てて、リターンパスを受けて前を向くという形が主流だったのですが、今は直接的に、後ろからボールが来たところを前の選手が角度をつけてもらって、ターンをして前を向いてプレーするようになっていますね。
技術的な面で言うと、日本では「トラップに角度をつけろ」とよく言われます。ただ、それよりも角度をつけてもらえる位置に動き、トラップした瞬間にすでにハーフ・ターンで前に向いているということが重要なのでしょうか?
徳永 そうですね。ですからピッチを幅広く使わないといけないし、それが縦方向だけのサポートになってしまうと、どうしても斜めに角度をつけてサポートすることができなくなってしまいます。
そういった部分は、ボールを持った時点で完全にピッチのサイドまで全部張ってポジション取りしますので、スタジアムから見ているとよくわかります。それはなぜかというと、やはり角度をつけてトライアングルをつくるためだと思います。
ドリブルに関して言いますと、徳永さんが対戦したカンテラのチームの中で、ドリブルをガンガンやる選手というのはいましたか?
徳永 最近対戦した選手で言うと、クエンカですね。対戦した時はバルサではなくダムというチームにレンタルされていましたが、ドリブルが非常にうまかった印象を 受けました。バルサからレンタルされているということで注目はしていたのですが、まさかトップチームでデビューするまでの選手になるとは思っていなかった ですね。
興味深いことに、バルサをはじめとしたスペイン全体で、ユースカテゴリーでも選手をレンタルさせ、実戦経験を積ませて元のクラブに戻すということが行なわれています。日本ではなかなか見ないケースですよね?
徳永 やはり、スペインでは実戦主義を体現しているように思います。日本の場合は、6年・3年・3年の合間でしかチームを変えることができないので、スペインで 行なわれているようなことはなかなか難しいです。しかも、学校のチームの場合クラブチームではないので、チームを変えようとすると学校も変えなければいけ なくなります。
メリットもデメリットもあると思います。3年間じっくり育てるということも、良いか悪いかは別として可能です。スペイン の場合だと移籍がすごく多いので、選手は基本的に1年単位でクラブを見つけることができます。ただ、自分が試合に出られる環境というのを求めて移籍するこ とが多いですね。
一方で、3年間というある程度決まった時間がない場合、例えば基礎トレーニングなどを積む時間がなかっ たりすると思います。スペインで実際に指導していて、そういった点についてどう感じますか? 日本の方がやはり、技術的にしっかり教えられる時間の余裕な どもあるのかなとは思うのですが。
徳永 確かにそうですね。私が日本の高校でコーチをしていた当時は、プリンスリーグが始まったばかりで、試合数が増えてきたとはいえ、年間30試合もの公式戦はなかったので、トレーニングはじっくりできたと思います。
スペインの場合は9ヶ月間リーグ戦があるので、選手を一から育てていくということはできません。ある程度ベースのそろった選手をまず補強し、その選手を試 合のためにトレーニングさせて鍛えていくという形になります。つまり実戦を通して育てるという点で日本とは違うかもしれませんね。
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エル・クラシコの方に話を戻します。今季セスクが入ったからこそ1-3-4-3のシステム、つまりメッシと上下に入れ替えながらプレーするという動きがつき ましたが、セスクという選手のタイプ、あるいは現代のサッカーの中でセスクが果たしているプレーというのは、どのように捉えていますか?
徳永 セスクは前線に飛び出せる選手で、機能性があります。そういった特徴が、前線まで飛び出してボールを受け、エル・クラシコでヘディングシュートを決めたよ うな場面に集約されていると思います。彼は飛び出して点が取れる選手で、ただ足元でボールをもらうだけの選手じゃないという印象はありますね。
それはつまり、バルサのカンテラ一筋でずっと中盤でプレーして得たものとは別に、異なるエッセンスがあるということでしょうか。
徳永 そうですね。私も同じように思っていました。そういったエッセンスというのは、やはりカデテまでバルサでやってきて、そこからプレミアリーグでプレーしたというのがすごく大きな意味を持つのではないでしょうか。
オウンゴールとは言え点を取ったシャビは、エリアに入っていくタイミングや決定力など、これまでになかった武器が身についてきていますよね?
徳永 そうですね。相手にとって同じポジションにいてくれることほど、守備がやりやすくなることはありません。マークもしやすいですからね。そういった普段のポジションを飛び越えてやってくると、DFはなかなか対応するのが難しくなります。
それを効果的にこなせ、なおかつ周りの選手もバランスを崩さずやっていき、周りの選手が感じて次をカバーするといったことまでができるのは、やはり選手としてのクオリティがすごく高いということなんだと思います。
日本では誰もが「バルサのサッカーはすごい」「良いサッカーだ」と思っていますが、現場の指導者は「でも、実際どう現場に落とし込むんだろう」「どこをどう 取り入れたらいいのだろう」という点で、具体的に何をするのかわからないという人も多いと思います。まず徳永さんの例で言うと、今のバルサのサッカーや世 界最先端のサッカーから、具体的にどういう要素を現場に、自分のチームに落とし込もうとしていますか?
徳永 まずは、今のバルサがやっているサッカーの技術的特徴と、戦術的な特徴をしっかり把握することが重要になってくると思っています。そして、その要素をトレーニングでどうやっていくかというところが、特に育成の部分で言うと、やはりこの先の未来の選手を作っていく上ですごく重要なんじゃないかなと思いま す。
日本に帰国後、そういうものがある程度メソッドとして確立されていますか?
徳永 そうですね。私はグアルディオラの就任以降、彼こそサッカーをより進化させて革命を起こした人物だと思っているので、私はバルセロナ時代からそこに注目し て指導をしてきました。その後エクアドルに行って、他国のサッカーでそれを浸透させていくということにもチャレンジしてきました。そういった経験から、具体的なイメージはだいぶ固まってきたと感じています。
最後に、少しイベントの宣伝になりますが、19日に参加頂ける人には具体的にどのような話をしようと思いますか? あるいは参加することでどういう利点があるのでしょうか?
徳永 おそらく、皆さんバルサのサッカーをみてすごく興味を持たれている方が多いと思うんですね。実際、私の場合は育成年代とはいえ、チームを率いてバルサと対戦しましたし、グアルディオラがバルサBに就任した時点から彼のサッカーをよく見ています。
具体的に「じゃあ、どういったところがこれまでのサッカーと違うのか」などを皆さんと一緒に話しながら、そのサッカーを体現するにはどういうことをやらなければいけないのか、そういうところを皆さんと共有して考えていきたいと思っています。
あと、その指導者ばかりになりがちかもしれないですけど、そういう話を聞くことによって先ほどのボールの繋ぎ方、トライアングルを作って、コントロール・オリエンタードできるような繋ぎ方というのは、サッカーの見方の勉強、観戦力アップにもつながりますよね?
徳永 そうですね。より一層サッカーの深いところに入っていけると思いますので、参加頂ける人たちはよりサッカーを楽しめるようになるんじゃないでしょうか。
<了>
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徳永尊信(とくなが・たかのぶ)
1975 年、東京都出身。欧州と南米で指導経験のあるサッカーコーチ。スペイン サッカー協会公認指導者ライセンス・レベル2保有。街クラブや矢板中央高で コーチを務めると2004年8月にスペインにコーチ留学。バルセロナの名門エウロパなどでコーチを経験し、2010年からはエクアドルの強豪バルセロナ SCでU-18の監督、ユースカテゴリー統括責任者を兼任。2011年春に帰国し、現在は出身クラブの指導やクリニックなどで活躍中。 |
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小澤一郎(おざわ・いちろう)
1977 年、京都府生まれ。サッカージャーナリスト。早稲田大学卒業後、社会人生活を経てスペインにて執筆活動を開始。日本とスペインの両国で育成年代の 指導経験があり、育成や戦術のテーマを得意とする。著書に『スペインサッカーの神髄』(サッカー小僧新書)、訳書に『モウリーニョVSグアルディオラ』 (ベースボールマガジン社)。有料メルマガ『小澤一郎の「メルマガでしか書けないサッカーの話」』(まぐまぐ!)も好評配信中。 |
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