2011.11.04

インタビュー:マルキージオ「取り戻した王者の伝統」

[連載|ワールドサッカーキング 11.11.17(No.196) 掲載]

セリエAに、真の「白い貴婦人」が戻ってきた。ユヴェントスがかつてのような強さを取り戻しているのだ。その快進撃を支える一人が、下部組織で育ったクラウディオ・マルキージオだ。伝統の力を取り戻し勢いを増すチームの内情を、希代のプレーメーカーがありのままに語る。
マルキージオ

インタビュー・文=グイド・ヴァチャーゴ 翻訳=高山 港

 今シーズンのユヴェントスには、リーグ上位でフィニッシュできるという確信がみなぎっているように見える。とりわけ、クラウディオ・マルキージオの自信に満ちたプレーが、チームの活性化に大きく貢献しているのは疑いがない。10月2日、昨シーズンの王者ミランを倒した立役者はその後も好調を持続。5日後のユーロ予選では代表初ゴールを決め、視界はすこぶる良好だ。

 昨シーズンとは一変したチーム状況を、マルキージオは「伝統の成せる技」だと分析している。新監督がもたらした「伝統の力」こそが、チームの快進撃を支えていると彼は言う。アレッサンドロ・デル・ピエロの後継者とも称されるまでに成長した希代のプレーメーカーがチームの内情を雄弁に語ってくれた。

このチームで生まれ育ち、ユーヴェのすべてを知っている

今シーズンのユーヴェは上々のスタートを切った。数年前のように、常にスクデットを狙える強いユーヴェに戻ったと考えていいのかな?

マルキージオ いや、まだ始まったばかりだからね。どんなシーズンになるか予想するのは難しいよ。ただ、チーム内に大きな変化は生じた。トレーニング方法も試合へのアプローチ方法も、1週間の過ごし方もね。取り巻く環境にあらゆる変化があったんだ。

コンテ
厳しいディシプリンでチームを統率するコンテ監督。ここまでは攻撃に重きを置いた戦術が功を奏している印象

指揮官のアントニオ・コンテが革命をもたらしたということ?

マルキージオ まさにその通りだ。この数年間、数多くの監督がユーヴェを指揮した。それぞれがチームの立て直しを図ったけど、コンテほど大きな改革を求めた監督はいなかった。コンテはゲームの組み立て方やトレーニング方法などすべてを根本から見直したんだ。それに、コンテはユーヴェという組織を知り尽くした人物で、ここの哲学を熟知している。彼は“ユーヴェのメンタリティー”をグループに浸透させたんだ。これはすごく重要なことだったと思うね。

君は、ユーヴェの価値を完璧に理解していると思う?

マルキージオ 僕はこのチームで生まれ育ち、ユーヴェのすべてを知っている。ユーヴェの偉大な先輩たちと初めて一緒に練習させてもらったのは、僕が17歳の時だった。当時の監督だったファビオ・カペッロが僕をトップチームに呼んでくれたんだ。あの時の感動は今でもはっきりと覚えているよ。それに、カペッロのカリスマ性に驚いたこともね。とにかく彼の周囲に漂うオーラはハンパじゃなかった。彼はチームを動かすのに言葉を必要としなかったんだ。にらみを利かすだけで全員が従うという感じかな。そして今、僕たちの監督になったコンテにもカペッロと重なる部分が多々ある。コンテも黙ってチームを一定の方向に導くことができるし、選手全員が彼に宿る“勝利のメンタリティー”を感じているんだ。

「コンテの教え」の中で最も印象に残っていることは?

マルキージオ 「勝利への道は長くてつらい。タイトルに至るための近道なんて存在しない。勝利を手にするためにはペダルを踏み続けなくてはならない。ペダルを踏むのをやめた瞬間、それまでの努力が無になってしまう」。この言葉は僕の心を突き動かしてくれた。

君はコンテの力を確信しているんだね?

マルキージオ 彼が夢物語を話すことはあり得ない。真実だけを見つめているから、選手がミスをすればそれをハッキリと指摘してくれるし、コンディションが落ちるとベンチへ下げられてしまう。その選手がどれだけチーム内で重要なポジションにあるかとか、代表クラスの選手であるかとか、そんなことは一切関係ないんだ。それが“ユーヴェのメンタリティー”だと思っているよ。この厳しさこそが本来のユーヴェの伝統なのさ。カペッロの時代も、(マルチェッロ)リッピの時代もそうだった。コンテのおかげで、ユーヴェの伝統が復活したことはチームにとって非常に大きいね。

<誌面に続く>

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