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「今こそ学生が意見を伝えなきゃいけない」…ユニサカの新たなチャレンジに迫る

2017.10.11

ユニサカ代表理事を務める渡辺夏彦(左)と理事の原田圭(右) [写真]=中村駿作(慶應スポーツ)

文=小林将平(慶應スポーツ)

 7月15日に等々力陸上競技場で行われた『第68回早慶サッカー定期戦~早慶クラシコ~』。スタジアム内外で例年と異なる催し物が数多く行われたが、それらを手掛けたのが早慶両校、そして一般社団法人ユニサカである。あれからおよそ3カ月、ユニサカは再び新たな試みにチャレンジする。今回彼らが10月23日に全国大学体育連合との共催で行うのが、“大学スポーツ国際デー記念シンポジウム”「学生が発信する未来」だ。開催にあたって、慶應義塾体育会ソッカー部に所属し、本イベントの開催を手掛けるユニサカ理事・原田圭、そしてユニサカ代表理事を務める渡辺夏彦にインタビューを実施。その狙いに迫った。

 文部科学省が2018年度中の「日本版NCAA(National Collegiate Athlete Association)」創設方針を打ち出すなど、大学スポーツ界は大きな転換期を迎えている。今回のシンポジウムは、こうした動きを受けて国主導で政策の議論が行われている中で「学生の声が置き去りにされている」ことへの問題意識が根底にあると原田理事。そのうえで「学生が大学スポーツについて考えて発信する場が必要」と考え、シンポジウムの開催に至ったという。

「(サッカー)早慶戦をやることで大学サッカーに限らず大学スポーツ全般としてどういうところに課題があってこういうふうに変わっていかないといけないというのが何となく見えてきた」と語るのは渡辺代表。その早慶戦での取り組みについては、次のように総括してくれた。

「数字的なところで言うと、昨年が1万2600人くらいで今年は2万6000人MAXでってことを考えていたんですけど、結果1万3880人でだいたい2000人弱増えたくらいで。ぶっちゃけ1万5000人は少なくとも超えたいし1万6000人、1万7000人くらいはいきたいなと思っていて、数字的にはなかなか厳しくて」

「ただそれ以外に本当にいろいろな施策を今回はやったので。やっぱり集客っていうのはすごく難しくて、イベントとしての充実とか早慶戦の価値を高めるだとか当日の満足度を上げるみたいな部分でかなり達成できたところも多いと思うので、まあできたところと課題とっていうのがありますね」

渡辺代表を中心に7月の早慶定期戦では様々な施策が行われた [写真]=中村駿作(慶應スポーツ)

 早慶戦当日のスタジアムでは様々なイベントが行われ、例年以上の盛り上がりを見せたが、それでも目に見える結果はわずかなものだった。これについて渡辺代表は「0から1にするといったところで障壁とかがものすごく多くて。やっぱり新しいことにチャレンジする分、分からないことだらけでしたし、当たってみて『あ、だめだ』『やっぱりこういかなきゃ』みたいなのが多かった分、なかなか思うように進まなかった。大事なところで進まなかったというところが、集客に向けた施策をやりきれなかったっていうのになったと思います」と、その裏側を明かしてくれた。当日取材に訪れたメディアからは数字について厳しい声も向けられた。ただ、それでも「やったことには間違いなく価値がある」と胸を張る。そして、新たに見つかった課題。「閉鎖的」であることを、渡辺代表はその一つに挙げた。「自分たちが作り上げてきたものを守るっていうのと、閉鎖的にしなければならないっていうのは、何か似ているように感じてしまうけど全然それは違って。そこは閉鎖的じゃなくてもっとオープンになっていかないと」と、渡辺代表は現状の閉塞感に一石を投じている。

今回のシンポジウム開催を手掛ける原田理事 [写真]=中村駿作(慶應スポーツ)

 その閉塞感を打破しなければという思いが、今回のシンポジウム開催につながった。「会議室でやる会議とかも大人ってそれぞれバックボーンがあってそれぞれの利益集団の代表として出ているわけじゃないですか。企業の人だったらその企業の利益の方向にどうしても傾いてしまうし、それは教授でも一緒ですよね」と前置きした原田理事。そのうえで、「でも学生ってそういうのがなくて、ある意味真っ白な状態で、そこで発信する議論ってすごく素直な議論だと思っていて。だからこそ公平に大学スポーツを見ることができるというのが学生のある種の特権なのかなと思っていて、そこには意義はあると感じています」と続け、学生が参加することの意義を強調している。シンポジウム開催前には、事前勉強会も実施。「目的意識であったり、自分の中で考えを持った状態で参加してほしい。真っ白な状態で来るよりも、ある程度熱を持った状態で来てほしいというのがあります」と原田理事が話してくれた通り、やはり学生の主体的な参加を促すことが目的だ。

 シンポジウム当日は、安西祐一郎全国大学体育連合会長や仙台光仁スポーツ庁参事官といった大学スポーツ振興の重役を担う方々に加え、過去3度オリンピックに出場し、現在は株式会社侍の代表取締役を務める為末大さんも登壇予定。様々なバックグラウンドの面々が一堂に会する。「これからこういうことをしていきたいよね、みたいな方に進んでいけたら面白いのかなと思っています」と原田理事。さらに渡辺代表も「今こそやっぱり学生が意見を伝えなきゃいけない」と、当日への思いを語った。いったいどのような議論が起こり、どのような未来が描かれるのか。ユニサカの新たな第一歩に、期待は高まるばかりだ。

試合の戦評記事は慶應スポーツのホームページ(http://keispo.org/wordpress/?cat=673)で閲覧できます。またTwitter(@keispo2017)にて毎節試合速報をしておりますので、そちらもご利用ください!

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