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【大学サッカー/注目選手】東洋大DF郡司昌弥…背番号「4」の想い

2015.11.05

文・写真=吉本一生(スポーツ東洋)

「東洋大学のサッカーへの理解というか、コンセプトやスタイルを誰よりも頭を使って整理できていたという自負はあった」。1年時から出場機会を獲得し、鋭い戦術眼でチームを統率するセンターバック、郡司昌弥。大学サッカー最終年、背番号「4」は何を思い、何を語るのか。

 武器の一つはビルドアップ。後方からボールを蹴らず丁寧につなぐその姿勢はまさに東洋大サッカーに適任だ。「高校の時もボールを大事にする、主導権を握るサッカーを経験していて、やっぱりこのサッカーが自分に一番合うと思う」。1年時から古川毅監督の下で指導を受けた。「1年の時は時間帯とかプレーするエリアっていうのをあまり意識しないで感覚でやっていた部分もあった。でも、学年が上がるごとに古さん(古川監督)は試合の入り方や一試合を通じてのゲームの作り方を口酸っぱく言ってくれた」

 チームは古川監督体制初年度で1部に昇格。しかし、ピッチで大きな差を痛感する。「言っちゃえばすべて」。個々の能力から一瞬の隙を突くうまさまで、すべてが別次元だった。結局、1年で2部に降格、その後1部の舞台を再び踏むことなく郡司は最終学年を迎えた。「自分が4年の時には1部でやりたかったし、緊張感や一試合一試合のレベルの高さっていうのを感じたかった部分もあって正直悔しかった」。将来も見据えると、1部と2部ではスカウトの注目度も大きく違う。それでも今夏、東洋大は大きな注目を浴びる。創部49年にして初の全国大会出場、さらに天皇杯予選ではJ3のFC町田ゼルビアと対戦した。「強みとしているビルドアップやコーチングで人を動かすことはある程度できたと思う」。一方で郡司は地に足をつけ自分の現在地を認識している。「人に対して強くいくことやヘディングの競り合い、そういったフィジカル的な部分をまだまだ伸ばしていかないと。上のレベルに行ったときにウィークポイントになる」

 理想のセンターバックは1年時、一緒にプレーした市川恵多(現ギラヴァンツ北九州)だ。当時4年の市川とプレーする機会はわずかだったが、その背中は鮮烈に覚えている。「ビルドアップやロングボールの対応、対人。全てで弱みを見せなかった」。奇しくも市川も4年時、郡司と同じ背番号「4」を付け、北九州でも背番号は「4」。「全然意識はしてないです」。それでも東洋大の背番号「4」は多くがプロ選手になっている事実もある。「もちろんプロサッカー選手になるのは夢」。謙虚にそう語る郡司は、いつでもチームを第一に考える。

「センターバックでペアを組む人の強みを出すことも重要」。対人に強い瀧澤修平、ボールを持てる浦上仁騎、相棒によってコーチングを変え魅力を最大限引き出す。「隣にいて頼もしい」と浦上は絶大な信頼を寄せる。「チームとしては残されたチャンスは1部昇格だけ。来年、後輩たちに1部でやらせてあげたいし、もっとプロと近い世界を経験させたい。個人としては、やっぱりサッカーを続けていきたい。できるだけ上のカテゴリーで続けられるように、チームとしても個人としても結果を求めてやっていければ」。個人の目標を聞いてもまず口から出るのはチームの目標。東洋大サッカー部を知り尽くしているからこそ思うことがある。東洋大は現在2部リーグ4位、昇格ラインの2位とは勝点差8(第15節終了時点)。もう勝点は落とせない。「みんな技術があってうまい分、根底にある部分、たとえば球際や一対一の攻防をごまかしてしまっている部分がある気がする。そこの土台がしっかりできればもっと簡単に相手に勝てたり、うまく試合運びができると思う」。最後尾からチームを見つめる郡司の言葉に、東洋大の、そして彼自身のさらなる飛躍のきっかけが隠されている気がした。

郡司2 撮影者=吉本一生

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選手のプロフィールはスポーツ東洋のホームページ(http://sports-toyo.com/news/detail/id/2686)をご覧ください!

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