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U-17代表、“鬼門”新潟選抜戦で逆転勝利…途中出場の実力者達が見せた「本気」

2015.07.20

文・写真=川端暁彦

 7月20日、「第19回国際ユースサッカーin新潟」は第2戦を迎えた。3日間で90分ゲームを3試合こなすというタフなスケジュール。U-17セルビア代表のトミッチ監督は「あまりに非人間的」と嘆く形だったが、日本人選手はこうした連戦に善くも悪くも慣れている。U-17新潟選抜はそのセルビアを破った第1戦とまったく同じ先発で第2戦に臨んだ。「最も大切な試合」(藤田敬三監督)と位置付けるU-17日本代表との試合にすべてを注ぎ込む構えだった。

 対する日本は第1戦で先発漏れした選手を並べる布陣(18人登録なので4人はそのまま継続先発)。ただ、「攻守で“一人ずつ”になりバラバラになっていた。自分の世界で戦ってしまっていた」と内山篤監督が嘆いたように、アピールしたいという強い気持ちが組織力という意味で裏目に作用した部分が強く、ボールを支配しながらも攻め切れない、あるいはボールロストから速攻を受ける場面が目立つ。42分には新潟MF福間悠仁(新潟明訓)にクロスボールからワンタッチで押し込まれ、リードを許す展開になってしまった。

 実は日本にとってこの大会の新潟戦は一種の“鬼門”。なんと過去4大会はいずれも新潟が勝利しているのだ。「まるで『勝って当然』とすら思われるようになってしまった」と藤田監督が苦笑を浮かべるように、強いモチベーションで臨む新潟に苦杯をなめるという試合が続いていたのは紛れもない事実である。

 まさかの5連敗かと思われた日本は、後半から一気に4枚替え。ボランチに佐々木匠(仙台ユース)と冨安健洋(福岡U-18)、右MFに岩崎悠人(京都橘)、FWに吉平翼(大分U-18)を送り出す。いずれも一つ上のU-18代表を経験している実力者たちが、その力を存分に見せ付けることとなった。

 岩崎がサイドでハードワークを見せれば、冨安は体の強さと守備時の積極性を生かして相手をつぶし、佐々木は抜群の技巧と巧みなサポートでポゼッションを円滑化。そして最前線では吉平が縦横無尽の動き出しで相手DFに猛烈なプレッシャーを掛け続けた。

 56分、その吉平が果敢な仕掛けから相手のハンドを誘ってPKを誘うと、自ら志願してキック。これは新潟GK杉本陸(新潟明訓)に阻まれて「焦った」(吉平)が、しっかり押し込んでまず同点。続く61分にMF安井拓也(神戸U-18)のクロスからFW菅大輝(札幌U-18)が決めて逆転すると、さらに72分には岩崎の高速クロスを吉平がダイナミックなジャンピングヘッドで叩き込んで、3-1。さらに交代出場のMF黒川淳史(大宮ユース)が1点決めて、4-1。「代表に選ばれた選手としてのプライドがある」(吉平)U-17日本代表が新潟を退け、2連勝を決めた。

 U-17ワールドカップ予選で敗退しているこの世代の選手が目指すのは、2年後のU-20ワールドカップに向けて活動中の一つ上のU-18代表に食い込んでいくこと。そのためにもここで負けるわけにはいかない。吉平らのプレーは、そんな「本気」を存分に感じさせるものだった。

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