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同世代の一体感がもたらしたドリームカップ制覇…森山監督「戦う集団になった」

2015.06.30

文=吉田太郎

 対戦相手が日本特有の暑さや時差に苦しんだことは差し引かなければならないだろう。それでもU-16日本代表はコスタリカを後半の6得点によって圧倒し、激しい雨の中での熱戦となったチリ戦、紙一重とも言えるような戦いとなったフランス戦も制して「U-16インターナショナルドリームカップ2015 JAPAN Presented by JFA」全勝優勝を飾った。

 縦パスを交えて相手を押し下げ、空いた中盤を有効活用。MF伊藤洋輝(ジュビロ磐田U-18)やMF齊藤未月(湘南ベルマーレユース)、MF藤本寛也(東京ヴェルディユース)といったU-17日本代表でもプレーする選手たちがボールを動かすところや、守備面でも存在感を発揮し、FW中村駿太(柏レイソルU-18)とFW中島元彦(セレッソ大阪U-18)が高い得点力を示した。

 タレントたちが地元開催の大会で期待に応えるプレーを見せていたことも大きいが、何より印象的だったのは選手たちが周囲に伝わるほど前向きにプレーし、戦う姿勢と体を張ることを欠かさなかったことだ。大会MVPに選出されたセンターバックの橋岡大樹(浦和レッズユース)は「最後体を投げだすとかアグレッシブに戦うというのは森山(佳郎監督)さんから言われていた」と身を持って表現。「誰よりも体を張ってゴールを守るのは意識してやっていました」と相手のシュートに頭から突っ込んでブロックした他、躊躇することなく空中戦に飛びだし、頭でボールを幾度となく跳ね返した。

 ハードワークという言葉が当たり前に共有、実践されていた。中村や齊藤、サイドバックの田中康介(京都サンガF.C.U-18)を始め、選手たちにはボールを失っても追走してチームのために何とかしようとする責任感があり、疲労がたまった状態でもチームのために走りぬこうとする姿勢があった。フランス戦では2-0から1点を返され、さらに押しこまれる展開だったが、かわされても誰かがカバーして最後は体を張ってストップ。そして後半アディショナルタイムには自陣からのカウンターを西山大雅(横浜F・マリノスユース)と齊藤のコンビでやり遂げて優勝を決めた。

「戦う集団になってくれた」と語った森山監督は「プレーもそうだし、ピッチの外でもコミュニケーションを図れる子が多かったと思います」。ピッチ外で一芸を披露し合うなど、ピッチ内外でコミュニケーションをよく取っていたチームは、選手間で意図を伝え合い、一体感を高め、それをゲームで表現していた。中村は「今回の代表チームは一体感があり正直負ける気がしなくて、『自分たちなら勝てる』という気持ちがどこかにありましたね」。3試合勝ちきっての戴冠は99年生まれ世代の一体感がもたらしたものでもあった。

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