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KIRINキャンプで“小さなネイマール”金城アンドレ泰樹が躍動「絶対に日本代表の10番を取りたい」

2015.12.29

取材・文=高尾太恵子/写真=瀬藤尚美

 11月28日から1泊2日で実施されたキリングループ(キリン株式会社、キリンビール株式会社、キリンビバレッジ株式会社)主催の『KIRINキャンプ』に、全国から選抜された30名の中学生が集結した。「サッカーを通じて人を応援したい」というKIRINの強い思いのもと実現したサッカー合宿最大の特徴は、日本代表を率いるヴァイッド・ハリルホジッチ監督が直接指導をすること。参加した子どもたちがやや緊張した面持ちで練習をこなす中、ひときわ楽しそうにボールを蹴るサッカー少年がいた。

 少年の名前は金城アンドレ泰樹(FC琉球U-15/中学2年生)。沖縄県から参加した金城は「A代表の監督から吸収できるものはすべて吸収したい」と今回の企画に応募した。

 合宿1日目のボールを使った基礎練習では、まるで足にボールが吸い付いたかのような巧みなコントロールを見せ、「ボールさばきやパスの速さはいけるなと思った」と一定の手応えを口にした。しかし、ゲーム形式の練習になると得意のシュートを放つことができない。「パスを出すまでの判断が遅くて、相手に詰められることが多かったです。持ち味のシュートもできなかった。他の選手は、ボールを持ってからシュートするまでのスピードが速かったし、トラップもまねしたいと思いました」。全国から集まった同世代のライバルたちに早くも刺激を受けた様子だった。

 2日目は、合宿の総仕上げとして行われた紅白戦に後半から途中出場した。スタメンに名前がないと知った時は「自分は県外では通用しないんだな、と少し凹みました」と落ちこんだようだが、「絶対に点を取ってやる」と気合い十分でピッチに立つと、一気に2ゴールを奪った。ハリルホジッチ監督やコーチ陣から拍手が送られると、金城は両手を掲げ満面の笑みで応えた。

 2日間の合宿を終えて、一番の収穫は何かと聞くと意外な答えが返ってきた。それはサッカーのテクニックやフィジカルなどではなく、「人の気持ちを考えることや感謝する気持ち」。規律を重んじるハリルホジッチ監督の言動も選手たちの心に響いたのであろう。短期間ではあったが、生活をともにすることで思いやりや感謝の心が育まれた。その変化は沖縄に戻ってからの行動にも表れた。

「ハリルホジッチ監督が『サッカーはチームプレーだから個人がうまくてもチームは崩壊する』と言っていたので、KIRINキャンプでとったノートをコピーしてチームメイトにも配りました。プレーでは、例えばチームメイトが良いパスを出してくれたり、自分の動きを見てくれていた時に『ありがとう』って声をかけるようになりました」

 もちろん、実戦で見えた課題もある。体格の小さい金城は、どうしてもフィジカル面で負けてしまうことが多い。合宿中は「1対1で負けたり、体の大きな選手に当たり負けすることがある。体を大きくするためにも、もっと食べないといけない」と繰り返していた。そんな金城の憧れはバルセロナに所属するブラジル代表FWネイマール。髪型をまねるほどで、日頃からネイマールのプレーを研究している。「シュートもうまいし、テクニックもスピードもある。ネイマールのような動きができたら、体が小さくても相手をかわしながらボールを運ぶことができる」。実は合宿中にハリルホジッチ監督が「ネイマール」と呼ぶ場面があった。髪型やプレースタイルが似ているため、他の選手たちが「ネイマール」と呼び出したことがきっかけではあるが、ハリルホジッチ監督の目には金城のプレーが本家の姿と重なったのかもしれない。

 そもそも、金城がこれほどまでサッカーに熱中するようになったのは兄たちの影響だ。長男のMF金城クリストファー達樹はFC琉球、次男のDF金城ジャスティン俊樹は1860ミュンヘンU-19(ドイツ)でプレーしている。生まれた時からサッカーが身近にある環境で育った金城は、とにかくサッカーで一番になることを目指して毎日練習に励んでいる。今回の合宿ではA代表監督から直々に指導を受け、より一層日本代表への思いが強くなったに違いない。金城は「日本代表になって、ワールドカップで優勝したいです。そして、バロンドールを5年連続で取りたい」と夢を膨らませた。

 KIRINからの粋なサプライズも金城の夢を後押しした。閉会セレモニーで、各選手の名前が入った日本代表の新ユニフォームにハリルホジッチ監督が直接サインを書き、選手一人ひとりに手渡した。金城はそのユニフォームを部屋に飾り、毎日モチベーションを高めているという。さらにハリルホジッチ監督の「背番号はあえて入れていない。自分で勝ち取ってください」という言葉が、闘志に火をつけた。

「自分は絶対に日本代表の10番を取りたい」

 たった2日間の『KIRINキャンプ』で急にテクニックが上達するわけではない。だが、味わった緊張感と刺激は忘れられないものになったはず。KIRINから出された“応援のパス”は、日本代表を目指す中学生プレイヤーにしっかりと届いた。若干19歳でフル代表デビューを飾った憧れのネイマールに追いつき、追い越すために、金城は成長を加速させる。

【「KIRINキャンプ」レポート動画や写真を公開!】
ハリルホジッチ監督と中学生プレイヤー、そしてキリンの思いがつながった一泊二日。

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