FOLLOW US

頂点届かずも…死闘の中に見えた“流経らしさ” 勇猛果敢な戦いぶりは脳裏に焼き付く

2018.01.08

勝敗が決した直後、腰に手をやり、肩を落とした流経大柏の主将・宮本 [写真]=兼子愼一郎

 第96回全国高校サッカー選手権決勝。流通経済大学付属柏と前橋育英による現代高校サッカーを代表する2校によるファイナルは、まさに死闘となった。最後の最後まで両校の執念がぶつかり合う名勝負で、普段サッカーの話なんてほぼしない親戚から試合後に「面白かった!凄い試合だった!マンガかよ!って突っ込んだわ」というメッセージが届いたほど。最終的に栄冠を勝ち取ったのは前橋育英だったが、アディショナルタイムの攻防で明暗を分けた差は紙一重だった。

「負けに不思議の負けなし。負けるべくして負けた」

 流経大柏・本田裕一郎監督は試合をそんな言葉で総括した。何も知らない人が聞けば冷酷な言葉に聞こえるかもしれないが、同時に「生徒たちの、ここまで来ることができた過程を褒めてあげたい」とも語ったところに指揮官の本音が見え隠れする。

 夏の高校総体では優勝を飾っているものの、実際のところそこまで順風満帆のシーズンではなかった。「夏前までは本当に酷いものだったと思う。最初のうちはファウルだらけでメチャクチャで、攻撃になったらミスだらけ」と本田監督が率直に振り返ったように、チーム作りとしてはむしろ遅れ気味。守備を強調して入ったシーズンだけに、特に攻撃面は未整備の部分があり、そもそも前線の軸となるようなストライカーが今季は不在だった。本来はMFタイプの選手や、競り合いに長じる選手を配置転換するなどやりくりしつつ、選手権本大会でもFW陣はローテーションさせつつの運用で乗り切った。

 その中で際立ったのは、やはり守備だ。決勝の後半アディショナルタイムまで無失点ロードを継続していたのは伊達ではない。「ザ・流経という試合を見せられたと思う」とGK薄井覇斗が胸を張って振り返ったように、「みんな絶対に体を張ってくれる」徹底して仕込まれていたゴール前でのシュートブロック意識の高さ、ルーズボールに食らい付いていく姿勢は天下一品。五分五分のボールの競り合いでも、しばしば競り勝ってみせた。前橋育英MF田部井涼は決勝前日に「流経は球際日本一のチーム」と評していたが、その畏敬を込めた言葉にふさわしい敢闘ぶりを見せ付け、最後の最後まで前橋育英の強力攻撃陣に食い下がった。

 もちろん、「敗因」を探すことはできるし、結局は力不足だったという総括も間違っているとは思わない。ただ、彼らが連戦に次ぐ連戦で迎えた決勝のピッチでも存分に体現した“流経らしさ”があってこその名勝負だったのも間違いない。本田監督が試合前にかけた言葉は「負けても悔いのないように暴れ回ってこい!」といったものだったそうだが、それは確かに見せてくれた。

 この日の流経がやったようなマンツーマンマークを付ける守備はスペースができやすいというデメリットもある。前橋育英側も「かえってやりやすいのでは」(山田監督)という想定もあったのだが、マークが引っ張られてできる危険地帯も誰かが察して必ず埋めにいき、最後の局面では必ず「誰かが」シュートブロックに入ってくるような、鋼鉄の戦術的規律を最後まで維持し続けたのも驚異的だった。

 よく「準優勝チームなんて誰も覚えていない」なんて言われ方をするのだが、この日の流経イレブンが見せた勇猛果敢な戦いぶりは、簡単に忘れられるようなものではあるまい。前橋育英の初戴冠という栄光とともに、きっと語り継がれていくことになる。流経はそれだけタフで逞しく、そして何より強固な団結力を持った好チームだった。

取材・文=川端暁彦

■新スパイク「PUMA ONE J(プーマ ワン J)」が登場

タフなタックルをするディフェンダーから素早いストライカーまで、全てのプレーヤーのニーズに応えることができる究極のスパイクをコンセプトに開発されたのが「PUMA ONE」。この「PUMA ONE」の高校生プレーヤーが主にプレーする人工芝や硬い土のグラウンドにも対応したメイドインジャパンの日本人プレーヤー向けモデルが登場。ぜひ、スペシャルサイトとプーマ フットボール公式アカウントで「PUMA ONE J (プーマ ワン J)」をチェック!

『PUMA ONE J』スペシャルサイトへ
プーマ フットボール公式Instagramアカウントへ
プーマ フットボール公式Twitterアカウントへ

SHARE

LATEST ARTICLE最新記事

RANKING今、読まれている記事

  • Daily

  • Weekly

  • Monthly

SOCCERKING VIDEO