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選手権直前まで苦悩抱えた“攻守の要” 「もう迷わない」矢板中央MF松井蓮之

2018.01.05

2009年度以来の選手権ベスト4進出となった矢板中央の松井蓮之 [写真]=兼子愼一郎

 矢板中央の攻守の要であるMF松井蓮之にとって、それは長い長いトンネルだった。

 1年時から注目を浴び、年代別日本代表に選出されるなど、華々しい高校サッカー生活をスタートさせたが、昨年途中からそこに暗雲が立ちこめてしまった。

 矢板中央ではボランチとCB、年代別代表ではCBとして起用されたことで、「自分のポジションがボランチなのか、CBなのか。ちょっと自分を見失った時期もあった」のだ。彼の持ち味は屈強なフィジカルと出足の鋭い守備。常に予測をしながら動いて、インターセプトをしたり、激しい球際でボールを刈り取る。そしてフィードも得意で、最終ラインから攻撃の起点として質の高いボールを供給する。

 だが、178センチとCBとしては高さがもの足りないことと、攻撃センスが高いことを買われ、今年のチームではボランチが主戦場になった。年代別代表では昨年12月はU-16日本代表のチリ遠征、今年3月にはU-17日本代表のアメリカ遠征に参加し、CBとサイドバックの両方で起用された。

「代表ではCBとして良いプレーができず、サイドバックを試された時、そこで『松井、サイドバックがいいんじゃないか?』とスタッフの方に言われた。それは嬉しかったのですが、ボランチ、CB、SBと自分のポジションが定まらず、正直悩みました」

 もともと考え込みやすいタイプもあり、「自分はどうすべきなのか」と少し選手として混乱を起こしてしまった。さらに10月のU-17W杯のメンバーからも落選し、その迷いはより大きくなった。

 それでもチーム内では不動の柱。攻守の要として及第点のプレーはできた。だが、「選手権予選決勝も納得の行く良いプレーができなくて…。もう最後の選手権が近づいているのに、本当に悩みました」と、それ以上のものは示せなかった。

 しかし、松井に大きな転機がやってきた。それは12月23、25日に行われたプリンスリーグ関東参入戦だった。2勝すれば来季のプリンス関東昇格が決まるこの試合で、これまでとは別人のプレーを見せた。

 初戦の相手は選手権にも出場した昌平。持ち前の鋭い読みからのインターセプトと球際の強さを発揮し、中盤の守備を締めると、彼の正確な展開からチャンスを作り出した。1-0で迎えた87分にはFW山下育海の2点目をアシスト。守っては相手の攻撃をシャットアウトし、2-0の勝利に貢献した。続く日本航空との参入決定戦でも鋭い守備で中盤の底を牛耳り、2-0の完封勝利。「昌平も日本航空も中盤からしっかりと繋いできてくれるチームだったので、ボランチとしての自分の良さが存分に出せたんです。ボランチとしての出足の速さだったり、球際のアタックだったり、読み勝ってのインターセプトだったり…。ようやく自分の良さを出せたし、自分が良いときの感触を取り戻せた。『これだったら絶対に全国で通用する』と確信が持てたんです」と、 後輩達への置き土産を果たしたのと同時に、自身のトップフォームも取り戻した。こうなれば彼に怖いものはなにも無くなった。

「良いイメージがどんどん浮かんで来て、サッカーが本当に楽しくなった」松井は、これまでの不調が嘘のように、選手権で躍動感溢れるプレーを披露し、チームを牽引し続けた。初戦となった2回戦の三重戦、3回戦の神村学園戦でも、ボールの出所を潰し、正確な長短のパスでゲームをコントロール。準々決勝の日本文理戦でも変わらぬ躍動感を見せ、1-0の完封勝利に貢献。献身的な守備はまさにチームに安心感をもたらしていた。

「もう迷わない。自分は今野泰幸さんのように、どこでも質の高いプレーができることが目標で、ユーティリティーを極めたい。まずは次の流通経済大柏はボランチの球際が強い選手がいるので、そこは自分がどんどん前に行って、球際の強さの違いを見せたい。そして今、僕はすごくゴールを奪いたいので、ゴールに貪欲にミドルシュートも狙って行きたいし、ゴールに直結するプレーをしたい」

 もはやそこにはどこか自信なさげな表情はない。チームの大黒柱としての自覚と自信によって、より精悍な顔つきに変化した。更なる高みを目指し、長いトンネルを抜けた男の真価はこれからだ。

取材・文=安藤隆人

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