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矢板中央、古沼貞雄氏の教えでチームの伝統となった堅守速攻を武器に選手権上位進出を狙う

2015.12.25

文・写真=安藤隆人

 ブラジルスタイルから、守備をベースにしたインテンシティの高いチームへ。きっかけとなったのは、元帝京高校サッカー部監督の名将、古沼貞雄氏の教えだった―。

 高橋健二監督は22年前に矢板中央高校の監督に就任すると、チーム強化のためにブラジル留学を採用し、10年間続けた結果、チームは個の攻撃力を活かしたラテン系サッカーを展開していた。しかし、「点を取れても、それ以上に失点が多くて勝てない時期が続いた」と悩んだ高橋監督は、帝京で全国制覇を何度も経験していた古沼氏にアドバイスを求めた。

「練習を見てほしいと頼んだら、すぐに来てくれた。そこで衝撃を受けた」と高橋監督が語ったように、守備を含めた基本練習を徹底させた古沼氏によって、チームは短期間で力を増した。「基礎が大事だと教えられた。技術面でなく、戦術面でもベースとなる守備をおろそかにしていた自分に気付いた」。

 ここから矢板中央のサッカーは変わった。堅守を構築し、鋭いカウンターでゴールを陥れる。『堅守速攻』のスタイルは、やがてチームの『伝統』となっていった。「引いて守るのではなく、屈強かつキックが上手いセンターバックがいて、スピードあるアタッカーとポストプレーが上手いFW、そして技術のある選手が狙いのあるカウンターを仕掛ける」。

 むやみやたらにボールを蹴るのではなく、攻撃はしっかりと個の特徴を活かし、狙いを持ってスピーディーにやりきる。このサッカーは猛威を振い、全国大会の常連となると、2009年度には選手権ベスト4に進出。Jリーガーも富山貴光(大宮アルディージャ)、山越康平(明治大学、大宮加入内定)、湯澤洋介(栃木SC、来シーズンから水戸ホーリーホック)を輩出。3年連続7回目の出場を果たした今大会でも、伝統の堅守速攻で上位進出を狙えるチームに仕上がっている。

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