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先輩と後輩の垣根を越えたライバル…切磋琢磨し、飛躍的に成長した2人の守護神が星稜を支える

2015.12.24

文・写真=安藤隆人、瀬藤尚美(写真左)

 星稜高校を支える2人の守護神がいる。昨年度の全国高等学校サッカー選手権大会の優勝メンバーである3年生GK坂口璃久と、2年生GK高橋謙太郎。

 春先にゴールマウスに立っていたのは高橋の方だった。坂口が3月に肩を故障し、戦列を離れたため、高橋が抜擢された。すると高橋は堂々たるプレーを見せる。安定したセービングと、的確なコーチング、正確なキックで存在感を発揮。「ずっと坂口さんの『代役』と言われ続けた。そう言われないように必至だった」と、高橋は守護神として成長していく中、坂口はけがを繰り返し、鮮烈に戻ることができなかった。

「肩、足首、腰…。けがを繰り返して、思うようにプレーできなかった。高橋がどんどん上手くなっているのが分かって、焦りもあった」(坂口)

 10月に復帰をするが、ゴールマウスを守るのは高橋のまま。だが、ここで大きな変化が生まれた。「焦っていたときは、正直『高橋のせいで試合に出られない』と思っていました。でも、復帰してしばらくすると、その思いが間違いだったとわかった。あいつは本当に一生懸命戦っている。だからこそ、僕も刺激を受けて、『俺も絶対に負けられない』と思えるようになった」(坂口)

 自分は全国制覇を経験したGKなのに、後輩にレギュラーの座を奪われている。当然複雑な思いは生まれる。だが、その思いを抱けば抱くほど、自分が停滞をしていく。懸命に戦う後輩の姿を見て、停滞をしている自分が情けなく思えた。そこから彼はトレーニングを全力に取り組み、高橋にも積極的に話しかけた。

「坂口さんは絶対に悔しい思いをしているはず。でも、試合ではアドバイスをくれるし、練習中は張りつめた緊張感を生みだしてくれる。『気を抜いたら絶対に(定位置を)奪われる』と常に思っているし、より負けたくないと思わせてくれます」と高橋も真摯に取り組む先輩の姿に大きく刺激を受けている。

「高橋のキックとコーチングを学んでいます。高橋のおかげで僕自身も成長できましたし、良いライバルだと思います。でも、僕はラストの年なので、後輩に負けられないですから、レギュラーを奪いますよ」(坂口)

 先輩と後輩の垣根を越えた『ライバル』。2人の守護神の素晴らしい切磋琢磨は、彼らの成長を飛躍的に促し、チームにとっても大きな刺激となっているのは間違いない。

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