2015.08.07

“赤い彗星の守護神”…インハイ連覇狙う東福岡のGK脇野敦至、みなぎる向上心

文・写真=安藤隆人

 連覇を狙う東福岡。2年連続ベスト4を決めたが、準々決勝の履正社戦は非常に苦しい試合だった。

 この試合で存在感を見せつけたのが、GK脇野敦至だ。U-17日本代表にも選出され、昨年の優勝メンバーでもある彼は、今大会ある強い思いを持って臨んでいる。

 今年7月、脇野は新潟国際ユースに参加するU-17日本代表に選ばれた。しかし、彼は悔しさを押し殺しながらプレーをしていた。それは学年が1つ下の青森山田のGK廣末陸が、同じ時期に新潟で合宿をしていたU-18日本代表に選出されていたからだった。

「本当に悔しかった。U-18の練習をU-17のみんなで見ていても、ずっと悔しい思いだった。でも、彼はビルドアップも上手いし、コーチングの質も高い。そこで差が開いてしまっていると思う。だけど負けていないところもあるので、もっと自分が努力をして成長して行きたい」

 1学年下のライバルが自分より上の代表に呼ばれている。当然、彼が素直に打ち明けたように、悔しいのは当たり前だ。だが、彼には冷静にライバルと自分を見つめる目があった。

「常に誰が見ているか分からないぞと自分に言い聞かせてプレーするようになりました。コーチングの質を上げる事も意識していて、今大会は恥ずかしいプレーをしないように、こだわりを持ってやっています」

 この言葉通り、彼はライバルへの強い気持ちを今大会にぶつけている。初戦となった2回戦から随所で好プレーを連発し、味方に正確に届くパントキックは、何度も観客を沸かせた。

 そして、準々決勝の履正社戦。MF牧野寛太、田中駿汰、川畑隼人、林大地といった攻撃陣にタレントをそろえる履正社の多彩な攻撃の前に、決定的チャンスを作られるが、ここで脇野が分厚い壁となって立ちはだかった。

 0-0で迎えた43分、牧野のドリブルから縦パスが入ると、これをFW菅原大空がフリックを入れて、飛び出してきた林が抜け出した。この素早い連係プレーに、東福岡DF陣は対応できず、完全に崩されてGKと一対一を作られてしまった。しかし、脇野は冷静だった。

「ニアとファーを消すために、動きながら前に出た。コースを消したら、相手が股を狙ってきたので、ひざを入れて反応しました」と語ったように、林の決定的なシュートをひざで弾き返し、この試合一番のピンチをしのいだ。このビッグプレーの後の59分に、待望の先制点が生まれた。

 ビハインドを追った履正社は、ここからさらに攻め手を強めるが、彼の集中力は最後まで切れなかった。

「もっと相手を見ろ! 裏が空いているぞ!」、「ここだぞ!! ここで盛り上げろ! いけるぞ!!」

 安定したゴールキーピングだけなく、大きな「声」で守備陣形を巧みに動かしながら、仲間を鼓舞し続けた。この姿こそ、ライバル・廣末に触発され、自分に必要な能力としてコーチングを磨いている、彼の「成長を欲する姿勢」だった。

「今大会まだ無失点で抑えた事が無かったので、今日はどうしても抑えたかった。最後まで声を出す事ができたし、これを続けて、このメンバーで優勝をしたい」

 悔しさをバネに、たくましく成長を遂げる「赤い彗星」の守護神・脇野敦至。彼の心のエネルギーはまだまだ燃えあがっている。

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