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MFC.VOICEがグランパスU-12との“愛知ダービー”を制して優勝!《JA全農杯全国小学生選抜サッカーIN東海》

2024.03.13

 

因縁の愛知勢対決に


 「JA全農杯全国小学生選抜サッカーIN東海」が3月10日、岐阜県関市のグリーンフィールド中池で行われた。

 愛知、岐阜、三重、静岡の東海4県から、各予選を勝ち抜いた2チームずつ、計8チームが参加した今大会は、12分×3ピリオド制のトーナメント。試合は8人制で、第1ピリオドに出場した選手は第2ピリオドには出場できず、第3ピリオドは自由という独自のルールが採用されている。つまり少なくとも16人以上の選手が出場しなければならず、よりチームの総合力が問われるとともに、選手の成長に配慮された大会方式になっている。

 東海大会は1日で3試合を行う厳しい戦いとなる中、決勝にたどり着いたのは愛知県の2チームだった。

 愛知1位で今大会に参加したMFC.VOICEは初戦を4-1で大勝。勝てば全国大会が決まる準決勝は、序盤にシュートがポストを直撃するなど、なかなか得点が決まらない場面はあったものの、第2ピリオドで先制点を奪うと粘る三重1位のSAKAE FCを3-0と突き放し、持ち味である攻撃力を発揮して決勝に駒を進めた。

 もう一方のブロックで勝ち上がったのは、愛知2位のグランパスU-12。1回戦は昨年のこの大会で優勝している静岡1位のFCガウーショと対戦した。第2ピリオドに1点を先制される苦しい展開となったが、その終了間際に「隙があったら絶対にシュートを打ってやろう」と、狙っていた後藤綜志(そうし)が見事なミドルシュートを決めて試合を振り出しに戻す。その後は両チームともに得点がなくPK戦にもつれ込んだが、3人のキッカー全員が決めたグランパスU-12が準決勝進出を果たした。

 そしてその準決勝は3-1で快勝。第1ピリオドで2点を先行したグランパスU-12は、第2ピリオドで1点を返されたものの、第3ピリオドでダメ押しの3点目を奪い決勝に進むとともに、この大会最初の目標としていた全国大会出場を決めた。

 

意地と雪辱がぶつかった決勝戦


 父母や下級生などからの大きな声援が響く中、“愛知ダービー”となった決勝は、両チームともに強い思いがあった。

 「MFC.VOICEには公式戦で1回も勝っていないので、ここで勝って胸を張って全国大会に行きたい」と、多くの選手が口にするほどリベンジに燃えていたのはグランパスU-12。一方でMFC.VOICEも、「3年前の全国大会出場は東海2位での出場で悔しかった。今年は絶対に優勝して全国に行く」と、磯部友也監督は目標を立てていた。

 開始3分、MFC.VOICEは自陣からのロングボールを前線で競り合い、こぼれたところを岸田柊蕗(ひいろ)がミドルシュート。これがゴールネットを揺らしMFC.VOICEがいきなり先制点を挙げる。

 この先制点で勇気を得たMFC.VOICEは、球際の攻防でも強さを見せ、第1ピリオドの終了間際に追加点。グランパスは持ち前の細かな技術で相手を剥がそうと試みても、しっかりとカバーに入る2人目、3人目のディフェンスまで抜き去ることはできずに、攻め込む回数も多く作れなかった。

 メンバーの替わった第2ピリオドも主導権はMFC.VOICEが握る。2分に伊藤立翔(りつと)が「ディフェンダーを抜いた後にももう一人いたけど、狙いすまして決めることができて気持ち良かった」と、チーム3点目となるシュートを決めると、11分にも伊藤が縦に抜け出し、角度のないところからしっかりとシュートを流し込み、リードを広げた。

 MFC.VOICEは、第3ピリオドも立ち上がり2分に、GKが飛び出したところをキャプテンの松下翔太が技ありのループシュートを決めてダメ押し。グランパスU-12は、トラップやショートパスなど技術面では目を見張るものはあったものの、切り替えやフィジカル、ロングキックで相手に上回られ、5-0と思わぬ大差がついた。

 「決めるべきところで決めれば、こういう展開もあるのかなと思っていました。この子たちはこういう大きな舞台に強いので、楽しみながらやってくれたと思います」と、教え子たちの躍動に目を細めた磯部監督。3試合で12ゴールという圧倒的な得点力を武器に、5月3日から始まる全国大会では3年前の先輩たちが作ったベスト8以上の成績を狙う。

▼試合後コメント


■磯部友也監督(MFC.VOICE)
「去年は準決勝で負けて全国大会出場を逃しているので、そういうリベンジもあったし、決勝は同じ愛知県のグランパスU-12ということで負けられないと思っていました。町クラブとして応援してもらえるようなチームになってきたことは良かったなと思っています。普段は子どもたちにベーシックなことを教えています。例えば、駆け引きをしっかり楽しめる選手になること、またチームにならないと勝てないので一丸になること。今日の崩しなどは特にそういう面で楽しめていたと思います。誰かが主役ではなく、ボールを持った選手が主役になるということをモットーにしているので、自立した選手というか、責任を持ったワンプレーを心掛けてやっています」

■松下翔太キャプテン(MFC.VOICE)
「みんなの応援があったから優勝できたと思います。今日は試合前から優勝しか狙っていなくて、絶対に勝つという強い気持ちでいきました。グランパスU-12はずっとライバルチームなので負けられない戦いだったし、練習してきたことをそのまま出すことができたことも良かったと思います。このチームはパスをつなぐサッカーをやっていて楽しいし、全国大会でもゴールをいっぱい取って優勝を狙います」


■滝沢邦彦監督(グランパスU-12)
「選手たちは、自分たち自身で成長できる場(全国大会)を勝ち取ってくれたのは良かったと思います。そこでどんなプレーをするのかが大事だし、今日の悔しい思いをどう成長につなげていくのか、子どもたちのゴールは今日じゃないので、アカデミーはその繰り返しだと思います。決勝は、点差が開いてもあきらめずに、自分たちのサッカーをやってくれました。それはうれしかったですし、グランパスでプレーしているという姿勢を見せてくれました。選手の成長にも期待していますし、僕もこの結果を受け止めて、また成長できるように頑張りたいと思います」

■長谷川凌大キャプテン(グランパスU-12)
「決勝は悔しかったですけど、全国大会に行けたという実感もありますし、この借りは全国で返したいと思います。でも今のままだと多分勝てないと思うので、全国のレベルは高いですし、もっと日々の練習でどんどん積み重ねていって、個人としてはもっと勝利に貢献できるように頑張っていきたいですし、チームとしては全国大会で絶対に優勝したいです」

取材・文=斎藤孝一

チビリンピック2024

By サッカーキング編集部

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