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“らしさ”の詰まったゴールも自己評価は「2点」…清水内定MF高橋大悟が目指すもの

2017.12.31

高橋は初戦となった秋田商戦で見事なシュートを決めた [写真]=兼子愼一郎

“らしさ”の詰まったゴールだった。31日に行われた第96回全国高校サッカー選手権大会1回戦の秋田商戦。神村学園(鹿児島)の高橋大悟(清水エスパルス加入内定)は自身のゴールでチームを2回戦へと導いた。

「少し流れも悪かったし、自分のリズムをつかむためにも1本打っておきたかった」と語った場面は38分。田畑拓武からのパスを右から中央へ流れながら受けると、ゴールに背を向けた状態で「全く見てない。感覚です」と反転しながら左足一閃。ワンバウンドしたシュートはGKが伸ばした手の先をすり抜け、ゴール右隅に決まった。

 一瞬で見せた抜群のテクニックとシュートセンス。神村学園の有村圭一郎監督は、「ああいうものを持っているのは高橋“ならでは”。高橋じゃなかったら決められなかった」と称賛。さらに「高橋がいなかったら勝てていない、と思うような試合だった」とまで言及した。

 4年ぶりの出場となった神村学園にとって、ピッチに立つ全員が初めての選手権。雰囲気に飲まれ、最終ラインでのミスからあわや失点という決定機を何度も作られた。その中で、得点シーンも含めて終始動じずにプレーしていたのが高橋だった。J内定者として浴びるプレッシャーも「あまり感じていなくて、僕が楽しくサッカーをできれば見ている人も楽しんでくれるはず。そこは自分らしくいつもどおりやるだけだった」。ボールがピッチの外に出るたびに、なかなか緊張のほぐれないチームメイトを鼓舞し、キャプテンらしい振る舞いも見せた。

キャプテンを務める高橋。今大会屈指の技術を持ち、注目を集める [写真]=兼子愼一郎

 結局、高橋のゴールが決勝点となり、神村学園が1-0で勝利したのだが、自身の自己評価は「100点満点中、2点」。チームとしての出来も「2点です」と不満げな様子だ。「点が取れたことにはホッとしましたけど、今日は見に来てくれた人に楽しかったと言ってもらえるような内容ではなかったと思うので、まだまだです」

 高橋が楽しいサッカーにこだわる理由――今でも脳裏に焼き付いている記憶がある。2010年1月2日に行われた第88回大会の2回戦。中京大中京(愛知)に10-2で勝利した神村学園のサッカーを見て、胸を弾ませた。「僕は中京大中京から10点取った神村学園を見て、ここに憧れを持って来た。だから神村学園に入りたいとか、高校サッカーをやりたいって思ってもらえるような活躍をしたいし、しなくちゃいけない」。それは、これから入るプロの舞台でも必要とされるもの。自分のプレーを見てくれる人、自分を応援してくれる人に夢を与えることの大切さを高橋はすでに心得ている。

 今日の出来が「2点」ならば、あと98点分の伸びしろがある。「正直もっとボールに触りたかったですし、もっとみんなとワイワイやりたかった。チーム全体として固くなってしまって、(パスを受けることから)逃げてしまった部分があるので。もっと一人ひとりがポジション取りをしっかりして、(プレッシャーを)恐れずにボールを受けないといけない」

 1月2日に行われる2回戦の相手は昌平(埼玉)に決まった。「お互い似ているタイプだと思うので、どっちがしっかり“サッカー”をできるか。最近は高校サッカーのスタイルが少し変わりつつあるので、ここでもう一度僕たちや昌平のようなチームが勝ち上がらないといけないと思っています。そういう意味で次は面白い試合になると思う」

 今大会開幕前、「この仲間とできる最後の大会なので、自分の結果よりはみんなのために、みんなと少しでも長くサッカーができるように頑張りたい」と語っていた高橋。次こそ磨いてきたチームワークで納得のいく「楽しいサッカー」を披露した上で、勝利をつかみ取る。

「チーム全体が固くなってしまっていたので今日、明日としっかりみんなに声をかけて直していきたい」と語った [写真]=兼子愼一郎

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By 平柳麻衣

静岡を拠点に活動するフリーライター。清水エスパルスを中心に、高校・大学サッカーまで幅広く取材。

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