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気になるのは「やっぱりエスパルス」…順天堂大DF村松航太、プロ入り目指しボランチ挑戦も

2017.09.24

駒澤大戦にセンターバックとしてフル出場した村松(写真中央)

 誰が試合を見てくれていたのだろう――。試合後、受付に設置されているその日の来場スカウトの記名一覧に、選手たちが次々と群がっていた。

 最後までじっくりと名簿を見つめていたのは、順天堂大の2年生DF村松航太(清水エスパルスユース出身)だ。16日のJR東日本カップ2017第91回関東大学リーグ第12節の駒澤大戦、チームは2-1で勝利するも村松の自己評価は低く、表情は晴れなかった。

「ここ最近、思うようなプレーができないんです。自分の理想が高くなっているのかな……勝てて良かったけど、自分の出来には全然満足してないし、むしろパフォーマンス自体は“ヤバかった”と思います」

 話を聞くうちに、その「モヤモヤ」の要因が見えてきた。これまでセンターバックやサイドバックを主戦場としてきた村松だが、この夏、堀池巧監督に直訴してボランチに初挑戦したのだという。

「ユニバーシアード代表やけが人などで中盤の人数が減ったので、監督に自分から『やりたいです』って言ったんです。一回は断られたんですけど、少し時間を空けてまた言ったら『それもありだな』と言われて、プロとの練習試合も含めて3試合くらいやりました」

 中学時代にアンカーを務めたこともあったが、それもわずかな期間のみ。それでも、「もともとゲームを作るのが好きで、自分でゴールを決めるよりもアシストをしたいタイプ」だといい、ボランチでは守備的な役割ではなく、「名古(新太郎)さんとかを見よう見まねで(笑)、攻撃的に」プレーしたという。

 直訴のボランチ挑戦は、プロ入りを目指しての取り組みだ。身長171センチの村松は、「プロの世界で190センチ近いような選手たちとセンターバックとして戦えと言われたら、もちろん負けたくない気持ちはあるけど、現実的に少し無理がある」。だからこそ、複数のポジションをこなせることを“武器”にして、選手としての可能性を広げようとしているのだ。その理想の選手として、ユーティリティー性で評価を得ている清水のDF村松大輔の名前を挙げた。

「村松大輔選手は中学の時のチームが同じ(藤枝東FCジュニアユース)で、高校サッカー選手権に出ていたのもテレビで見ていました。ボランチだけでなくセンターバックもサイドバックもできて、とにかく守備能力がすごく高い。複数のポジションができるからこそメンバーに入れてもらえることもあると思うので、僕も同じようにこなせる選手になりたいと思っています」

 堀池監督は今後、チーム状況によっては公式戦でのボランチ起用の可能性を示唆していると言う。センターバックのコンビを組む4年生の坂圭祐(来季湘南ベルマーレ加入内定)も、「航太はボール扱いがうまいし、選抜なども含めて今までセンターバックを組んだ中で一番、サッカーをよく理解している。(ボランチは)全然やれるんじゃないですか」と後押しする。

 夏の“お試し期間”で得た「案外、悪くなかった」という自己評価と、ボランチを経験したことで「センターバックに戻ってもビルドアップに余裕が持てるようになった」という手応え。それが伸びしろとなり、現在のプレーに満足できずに不完全燃焼となっているのだろう。

順天堂大の守備の要として欠かせない存在となっている [写真]=池田みのり

 誰が試合を見てくれていたのか。スカウトの記名表を見る時、一番に気になるのは「やっぱりエスパルス」と、ユース時代を過ごした“古巣”の名前を真っ先に挙げた。リーグ戦中断期間中には、勉強を兼ねて清水と鹿島アントラーズの試合(明治安田生命J1リーグ第23節、2-0で鹿島が勝利/カシマ)に足を運んだ。

「その試合は内容も完敗だったので……歯がゆかったですね。自分がこのチームに上がれなかったことも、自分が目標とする選手たちがピッチに立っているのに何もできずにいる姿を見ることも」

 今、そのピッチに立つことができなくても、今の自分にできること――「少しでもレベルアップしてプロに行く」。そのために今、やるべきことを村松は「分かっている」という。

「いざ4年生になった時にどこのクラブから声を掛けてもらえるか。それを楽しみにしたいし、もちろん声を掛けてもらうためにはやらなきゃいけないことがまだまだある。それは分かっています。自分がもっと成長すること。でも、それより大事なのは、チームのために戦うこと」

文=平柳麻衣

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