2017.08.31

【筑波大トリオ座談会】野口航×阿部航斗×三笘薫…注目ポイントは「失点数」「三笘」「航斗の飛び出し!?」

写真左から三笘、野口、阿部
サッカーキング編集部

 今、大学サッカー界の域を超えて注目を集める筑波大学蹴球部から、4年生・野口航と2年生・阿部航斗、三笘薫による座談会を実施。プレー同様にトークでもテンポの良さと抜群のチームワークを見せてくれた。

インタビュー・文=平柳麻衣

■1年生の頃に比べたらだいぶ距離は縮められたかな(三笘)

[写真]=梅月智史

――今季の筑波大はここまで前期リーグ首位、天皇杯ラウンド16進出、「アミノバイタル」カップ2017第6回関東大学サッカートーナメント大会準優勝という成績です。

野口 今季は「常勝」というチームスローガンを掲げている以上、目の前にある試合は全部勝つという気持ちでやっています。アミノバイタル杯は日程の影響はありましたけど、決勝戦は勝てるチャンスも十分ありましたし、チーム全体としてもう少し底上げをしないと今後の試合は厳しくなると感じました。

――アミノバイタル杯は過密日程の中でのトーナメント戦で、リーグ戦とは違った難しさもあったと思います。

野口 アミノバイタル杯に入る前に、選手だけで軽いミーティングをしました。「気を抜いたら足下をすくわれるぞ」って。みんなが良い準備をして入ったからこそ、総理大臣杯の出場権をつかめたと思います。4年生だけで話し合ったことを下の学年にも落とし込んでいかないと意味がないということで、今季は節目、節目で練習前にみんなで集まってキャプテンの北川(柊斗/来季モンテディオ山形加入内定)を中心に話をする機会を設けています。

阿部 昨季の4年生は背中で語るタイプの人が多かったんですけど、今季の4年生は声で練習を引っ張ってくれるタイプが多いので、下級生の僕たちからするとやりやすいです。

――その中で野口先輩はどんな存在ですか?

阿部三笘 ムードメーカー(笑)。

阿部 4年生ながら下級生との距離感がすごく近いです。

野口 ナメてるだけでしょ(笑)。でも、下級生が思い切りプレーできる環境を作ってあげることは大事ですし、それは4年生がやらないといけないことだと思うので、何気ないところで声を掛けたりしています。

――今季の筑波大は2、3年生の活躍が目立ちますが、やはり4年生の存在が大きいのですね。

野口 2、3年生は個が強くて、手に負えないような人ばかりなのでめちゃくちゃ大変ですよ(笑)。だから、僕らはそれに負けないように。下級生に存在感を消されたら4年生の立場がないですからね。でも、4年生に限らずみんながしっかりチームのことを考えて主体的に取り組んでくれているので、僕たちも後輩に支えられているなと感じます。

――先輩・野口選手から見た阿部選手、三笘選手は?

野口 航斗はよく大きな声を出すんですけど、例えば試合前にロッカーアウトした時とかに「ウォォォォォォォ!」って。それがもはや発狂しているみたいなので、味方の僕たちも「あいつ、ヤバくね」って思っています(笑)。薫は、入学したばかりの頃は僕に対して全然ガツガツ来なかったんですけど、最近は来るようになりました。

三笘 いやいやいや(笑)

野口 この前の試合後、バスの中で薫が僕にいきなり手を差し出してハイタッチを要求してきたんですよ。

三笘 その前の流れもちゃんと言ってくださいよ(笑)。

野口 まぁ、その前に高嶺朋樹と僕がハイタッチをした流れだったんですけど(笑)、薫は僕が声を掛ける前に手を出してきたから、「良いやん、薫」って。

三笘 左サイドでコンビを組むことが多いので、1年生の頃に比べたらだいぶ距離は縮められたかなと思います(笑)。

野口 プレーに関しては、誰も真似できない独特なタッチのドリブルと深い切り返しが武器。薫もチームのことをしっかりと考えてプレーしてくれるので、本当にやりやすいです。

三笘 僕からしたら、今まで一緒にやってきたサイドバックの中で野口さんは本当に一番やりやすいと思っています。

野口 本当かよ(笑)。

三笘 僕が自由にストレスなく攻撃できるのは野口さんが後ろから支えてくれるおかげですし、やりやすいように常に声を掛けてくれるんですよ。

野口 ゴマをすられていますね……絶対にもっと良い左サイドバックいますもん。

阿部 野口さんはもともとサイドハーフをやっていましたし、ガンガン仕掛けるタイプだったんですけど、薫と組むとバランスを意識してくれるのでオーバーラップする回数が減って、後ろでビルドアップに参加する場面が多くなりました。他の守備陣はすごく助かっていますし、前期リーグを最少失点で終えた要因の一つだと思います。

野口 お金がないからって、めっちゃ持ち上げてくる!(笑)。

――本当は攻撃に行きたい気持ちを我慢しているのですか?

野口 いや、もともと攻撃的なポジションだったのでそう見られがちなんですけど、状況を見ながら判断しているだけです。薫は相手DF2人くらいなら全然1人で剥がせるので、僕が上がってスペースを消さないほうがいいなと考えたり、もちろんチャンスになりそうだったら上がります。

■今、結果を残せているのは仲間のおかげ(野口)

[写真]=梅月智史

――まもなく第41回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメントが開幕します。今大会で最も脅威だなと思うチームは?

阿部 順天堂大学ですかね。あと、リーグ戦で対戦した時にすごく嫌だったのは明治大学。プレスが速くて他の大学とは圧力が違うなと感じました。

三笘 僕も順天堂大と明治大は怖い、強いという印象があります。関西のチームはあまり対戦機会がないですけど、関西予選(第46回関西学生サッカー選手権大会)で優勝した阪南大学は力があるなと思います。

野口 大阪体育大学などは対戦したことがないので、どんなサッカーをしてくるのか気になりますね。総理大臣杯は全試合関西で開催するので、関西の大学は特にやりづらさを感じます。昨年は2回戦で立命館大学に負けてしまいましたし。

――対戦したことがないチームの分析はどのようにやっているのですか?

野口 今話題の筑波大蹴球部『パフォーマンス局』の中にアナライズ班という分析チームがあって、そのメンバーが試合の映像を撮りに行って、データ化してスカウティングシートを作ってくれたり、映像を見ながらミーティングをします。すごく大変な作業ですし、今これだけの結果を出せているのはそういう仲間の存在のおかげだと思います。

――皆さんは『パフォーマンス局』に入っているのですか?

阿部三笘 入ってないです。

野口 僕はビデオ班に入っていたんですけど、班長の浅岡(大貴)のパワハラに耐えられずに途中で辞めました(笑)。「いつ映像を作るの?」とずっと催促されていたんですよ。真面目に活動している人に対しては優しいんですけど、中途半端に所属している人に対してはだいぶ厳しいです。

阿部三笘 (笑)

――先ほど挙がった順天堂大は関東第1代表であり、前期リーグは2位でした。昨年から今年にかけてチームの完成度がかなり上がってきている印象があります。

野口 全体的にバランスが取れているチームですよね。後ろの選手はしっかりと守りきる力があるし、前線には足を振れる選手が多い。アミノバイタル杯決勝の1点目のように、少しでもアプローチが遅れると一瞬で足を振ってしっかりと枠に飛ばしてくるんです。だから、強く寄せないと一瞬でやられるという印象があります。

阿部 昨年からメンバーがほぼ替わっていないことも強さの要因ですし、ボールを持てるチームは夏場に強いですよね。

三笘 前線のタレントが目立ちますけど、守備面も隙がないので堅実で負けにくいチームという印象です。昨年の総理大臣杯も決勝まで勝ち進んでいますし、夏場の戦い方を熟知しているなと思います。

阿部 筑波は相手にボールを回させて、良い守備からボールを奪って速い攻撃につなげるのが特徴で、昨季のインカレではそれができたことが優勝につながったんですけど、夏場の過密日程の中でその戦い方を続けるのはなかなかキツくて……。

野口 冬は中1日や中2日でも割と同じメンバーで戦えますけど、総理大臣杯は夏ですし、しかも会場が関西で独特な蒸し暑さもあるので、毎試合同じメンバーで戦うのは厳しいです。ターンオーバーしながら戦うためにも、チーム全体の総合力をつけていかないといけないと思います。

三笘 アミノバイタル杯では戸嶋(祥郎)さんとかが全試合に出てチームの中核を担ってくれましたけど、誰が出ても良い試合ができるようにチームの総合力を上げて、みんながもっとタフになることが大事だと思います。

――では、今大会の中でダークホース的な存在だと思うチームはありますか?

阿部 初戦の相手は福岡大学vs中京大学の勝者ですが、福岡大にはユニバーシアード日本代表のGK永石拓海選手(来季セレッソ大阪加入内定)がいるので、同じGKとしてどれぐらいのレベルの選手なのか知りたいですし、対戦することになったら勝ちたいです。

野口 僕は東海学園大学が気になりますね。昨年の1回戦では阪南大を3-0で破っていますし、筑波大も谷口彰悟(川崎フロンターレ)さんたちの代ではインカレで負けているので、怖い存在です。

三笘 僕も初戦の相手が福岡大になったら、簡単な試合ではないなと思います。あと、阪南大のセンターバックに川崎フロンターレU-18で同期だった長谷川隼がいるので、対戦することがあったらマッチアップするのが楽しみです。

野口 今年のプレシーズンに関西学院大学と対戦した時、高尾瑠選手は推進力があって良いサイドバックだなと思いました。もし総理大臣杯で対戦する機会があったら、前期リーグの間にどれだけ差を縮められたのかを感じたいです。

■大学生相手だからこそ難しい部分もある(阿部)

[写真]=梅月智史

――今大会の筑波大の注目ポイントを教えてください。

三笘 「失点数」じゃないですか。0-0でも大丈夫、というメンタルで守っていますし、1点取れば勝てるという流れがあるので、センターバックを中心とした堅い守備に注目してほしいです。

阿部 僕が挙げる注目ポイントは「三笘」ですね!

三笘 それはやめよう(笑)。

阿部 もう関東では十分に認知されていると思うんですけど、今回は会場が関西なので、動員で見に来る関西の学生たちをドリブルで魅了してほしいです!

野口 僕は「最終ラインの裏に出たボールに対しての航斗の飛び出し」です。

阿部 それ!?(笑)。

野口 いつもめっちゃ飛び出してくるんですけど、実は昨季のインカレ決勝で事件があったんですよ。航斗がいつもみたいに飛び出したら、ボールが航斗の頭の上をスカって抜けて、左サイドのほうにこぼれてきたんです。僕はクリアしに戻ったんですけど、航斗は航斗でペナルティーエリアの中に入ったのが見えて「オッケー」と声を掛けていたらしくて。僕は焦っていたので全然聞こえなくて、思いっきり被ってしまいました。

阿部 結局、そのプレーは失点にならなかったけど、監督には野口さんの調子が悪いと思われてしまって……。

野口 インカレ決勝という晴れ舞台で、ハーフタイムで交代させられました。

阿部 すみません(苦笑)。

野口 まぁそれは置いておいて(笑)、真面目な話をすると、筑波は攻撃面でアイデアあふれるプレーができますし、守備でもシュートブロックなど魅せるプレーができるので、攻守両面を見てほしいですね。

――リーグ戦や天皇杯での活躍が目立つ分、総理大臣杯では優勝候補の筆頭として見られると思います。改めて意気込みを聞かせてください。

阿部 J1やJ2のチームに勝っているので「大学生相手なら余裕でしょ」と思われていると思うんですけど、同じレベルだからこそ難しいと感じる部分もあります。相手は絶対に「筑波を倒してやろう」と意気込んできますし、天皇杯とは少し戦い方を変えなければいけないですが、それでもしっかりと勝って、強さを示したいです。

三笘 今季はプロと対戦する時はチャレンジャーとして臨めるんですけど、大学生相手となると少し保守的になってしまうところがあるので、どこが相手でも挑戦的な気持ちを持って、実力を出せれば結果はついてくると思います。

野口 一試合一試合、目の前にある試合を全員で、チャレンジャー精神と自信を持って戦えば間違いなく結果はついてくると思うので、ここでしっかりとタイトルを取って、“強い筑波”を証明したいです!

筑波大4年 MF野口 航(のぐち・わたる)
▼生年月日/1996年1月18日 ▼身長・体重/166センチ・58キロ
熊本県立大津高校出身。元U-17日本代表。左サイドバックながら攻守のバランスを司り、ムードメーカーの役割も果たす。


筑波大2年 GK阿部航斗(あべ・こうと)
▼生年月日/1997年8月1日 ▼身長・体重/186センチ・81キロ
アルビレックス新潟ユース出身。元U-18日本代表。2014年、15年アルビレックス新潟2種登録。筑波大の堅守を支える守護神。


筑波大2年 MF三笘 薫(みとま・かおる)
▼生年月日/1997年5月20日 ▼身長・体重/177センチ・66キロ
川崎フロンターレU-18出身。2017年ユニバーシアード日本代表。今季の天皇杯ベガルタ仙台戦では2得点を記録。大学サッカー界注目のドリブラー。


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