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脅威を与えてポイントを獲得? 高円宮杯プレミアで始動した画期的なプロジェクトとは

2017.04.15

今年1月には、昨季のプレミアリーグを制した青森山田高校がイングランド遠征権を獲得した [写真]=NIKE

 高校年代最高峰のリーグ戦である高円宮杯U-18プレミアリーグを舞台に新たなプロジェクト『NIKE NEXT HERO プロジェクト』が開始されることとなった。これはプレミアリーグの各試合で活躍した選手を節ごとにピックアップ。それをポイントとして加算していきながら、最終的には海外遠征に参加するプレミアリーグのオールスターメンバーを選出してしまおうというものだ。

 このプロジェクトは日本サッカー協会(JFA)が推し進める「JFA Youth & Development
Programme(JYD)」に基づいて行われるもの。JYDとは、日本代表が2050年にワールドカップ優勝を果たすと公約した『JFA2005年宣言』の理念とビジョンに基づいて、ユース年代はもちろん、シニアやビーチサッカーに至るまでの広範な領域において、サッカーのさらなる普及と次世代選手育成促進を目指して行われる各大会や事業の総称となる。NIKEはこのJYDの趣旨に賛同して行動するオフィシャルパートナーとなっており、次世代育成への貢献のため、今回の『NIKE NEXT HERO プロジェクト』を立ち上げることとなったわけだ。

 選出方法は簡単に言ってしまうと、「対戦相手にとって脅威だった選手」が選ばれるレギュレーションだ。プレミアリーグの各試合ごとに各チームの監督あるいはコーチが、対戦相手から各ポジション1名ずつの原則3名(GK or DF/MF/FW)をチョイスする(該当なしのポジションを作ってもいいが、最低2名は選出)。ここで選ばれた選手が1ポイントを獲得していくので、全18節で行われるプレミアリーグは最高18ポイント満点ということになる。

 このポイント上位者を中心として、来年1月に行われる欧州遠征のメンバーが選出されることとなる。言ってみれば、年間を通じて相手チームに与えた脅威度によって『NIKE NEXT HERO プロジェクト』版の“プレミアリーグ・オールスターチーム”が選考される方式である。一体どんなメンバーが選ばれるのかも楽しみだが、この「ポイント」自体が『NIKE NEXT HERO プロジェクト』オフィシャルウェブサイト上でオープンになっているため、選手のモチベーションアップにも繋がりそうだ。

 年代別日本代表に選ばれるような選手は出場できない試合も多いので、限られる試合の中ですべてポイントを得るくらいの代表選手としての“格”を示したいところだろうし、そうでない選手にとってはプロを含めた将来へのアピールチャンス。「○○高校のあの選手、ここまで出た試合ですべてポイントを獲っているな」なんてことがあれば、Jクラブのスカウト陣もきっと気にするようになるはずだ。最近はユースチームからトップチームへの昇格を惜しくも逃してしまった選手の中から、別のJクラブに加入する選手も増えており、そうした進路を狙う選手にとっても絶好のチャンス。観る人が違えば評価も変わってくるのがサッカーで、虎視眈々と上を狙うような熱い選手にブーストをかける制度になってくれれば、まさにJYDの理念に沿うことになるだろう。

 この『NIKE NEXT HERO プロジェクト』を通じて選ばれた選手たちは、グローバル企業であるNIKEが提供する「世界で戦うために必要なメンタル、テクニックなどの最先端のトレーニング」と「海外トップクラブチームのユース世代とトレーニングマッチ」を体感し、大きな刺激を受けることになる。田嶋幸三会長も前面に押し出しているスローガン「育成日本の復活」に向け、このプロジェクトが未来の日本代表選手誕生に向けた一助となっていくことを期待したい。

文=川端暁彦

By 川端暁彦

2013年までサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』で編集、記者を担当。現在はフリーランスとして活動中。

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