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青森山田のFW鳴海、英国遠征で意地の2発…次の目標は「4年間得点王」

2017.01.21

2得点を決めた鳴海(中央)。試合後、「ストライカーとして点を決められて良かった」と笑顔を浮かべた

 ヘディングシュートを叩き込んだエースストライカーの顔に、思わず安堵の表情が浮かんだように見えた。

 イングランド遠征中の青森山田高校は現地時間20日、地元クラブのストラカン・フットボール・ファンデーションと対戦。FW鳴海彰人は2得点を挙げる活躍で、チームの勝利に貢献した。

「ぶっ潰します!」。2日前、そう意気込んで臨んだプロ養成所「ナイキアカデミー」との練習試合で、鳴海はノーゴールに終わっていた。大声で何度もボールを要求し、チャンスがあれば積極的にシュートを放つ。しかし、最後までゴールネットを揺らすことはできず、悔しさが残った。

 このままでは帰れない――。全国高校総体と全国高校サッカー選手権大会で得点王に輝いたストライカーが意地を見せた。

 鳴海は序盤からエンジン全開で、動き出しを繰り返す。17分にはジャンケンでFKのキッカーを勝ち取ったが、直接狙ったボールは枠の上に飛んでしまった。そして27分、ようやくその瞬間が訪れる。「外国人選手はボールウォッチャーになることが多い。ニアからファーに逃げる動きは捕まえられないので、自分の動きで(相手を)剥がしてフリーでヘディングしました」とFW佐々木快の右サイドからのクロスにヘディングで合わせ、先制ゴールを奪った。

 さらに57分、嵯峨のパスを受けると「あれはノールックというか、感覚で打ちました」と、振り向きざまに右足を振り抜きゴール。満面の笑みを浮かべながら、チームメイトと喜びを分かち合った。「ストライカーとして点を決めるのが自分の仕事」という言葉通り、きっちりとその役割を果たし、青森山田でのラストマッチを終えた。

 将来の目標はプロになること。卒業後、仙台大学に進学する鳴海は「まず大学で結果を残したい。4年間、すべてで得点王を取りたいですね」と抱負を語る。ダブル得点王という実績を残していても、そう簡単に声はかからない。プロへの道のりは想像以上に険しいものだ。

 今回の遠征で、鳴海は食事に馴染めず苦しんでいた選手の1人だった。他にも長時間の移動、時差ぼけ、慣れない粘土質のピッチなど、いつもとは違う環境にストレスを感じただろう。その中で、自分よりも体が大きく、フィジカルが強い選手を相手に2ゴールを奪ったことは1つの自信になったはずだ。「何かが足りないから(オファーが)来ないと思っているので、それを大学で探しながら待つしかない。サッカーをやっている上で、プロは誰もが目指している。頑張るしかないです」。プロ入りに向けて、鳴海彰人の新たな戦いが始まる。

取材・文=高尾太恵子

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