2017.01.07

プロ注目!前橋育英の松田陸 「いつもと違う景色」のサイドバックで躍動

佐野日大戦ではサイドバックとして出場した松田陸 [写真]=兼子愼一郎
世界各国を放浪するサッカージャーナリスト。巷ではユース教授と呼ばれる。

 前橋育英の2年生センターバック松田陸。身体能力が高く、空中戦と球際の強さ、縦へのスピード、右足のキック、パスセンスを兼ねそろえた彼は、第95回全国高校サッカー選手権大会開幕前から密かにプロ注目の存在だった。それが今大会のチームの躍進で、一気に無名の存在からその名が知れる存在になりつつある。そして、準決勝の佐野日大戦で彼はまた新たな可能性をスカウト陣の前でしっかりと披露した。

 彼の適性ポジションは右サイドバック、サイドハーフにある。センターバック起用はあくまで「チーム事情」(山田耕介監督)だった。センターバックの人材がおらず、空中戦に強い松田をセンターバックに置き、2年生の角田涼太朗と3年生の小山翔とコンビを組ませた。いつしか松田と角田の2年生センターバックコンビが定着し、今大会もこのコンビで臨んでいた。しかし、3回戦の遠野戦で角田が出場停止。代わって出場した小山が出色の活躍を見せたことと、右サイドバックの後藤田亘輝が体調不良でベンチからも外れたことが重なり、佐野日大戦では復帰した角田と小山がセンターバックコンビを組み、松田が右サイドバックに回った。

「センターバックとサイドバック、どちらも好きですし、問題ありません」と語る彼は、冒頭で述べたように、右サイドバックで躍動してみせた。

「最初はいつもと違う景色に戸惑いました。でも、自分でもびっくりするほど、自然にすんなりと身体が動いて、対応できました」

 右サイドバックは初めての経験ではない。回数こそ少ないが、彼のサッカーセンスと身体能力はすぐに順応し、それを身体がしっかりと覚えていた。持ち前のスプリント力は、サイドという前にスペースがある状態だとさらに生きた。「運動量には自信がある」と語ったように、相手の引いたディフェンスに対し、積極的に右サイドハーフを追い越して、クロスを上げたり、相手のディフェンスラインに揺さぶりをかけた。一番警戒していたカウンターに対しても、「相手に最後までついていくことを意識した」と、素早い攻守の切り替えとスプリントで守備ポジションに帰着しては、球際の強さを発揮し、ボールを奪い取り、再び攻撃に転じる。彼のサイドのアップダウンは、チームのバランスを絶妙に支えていた。

 90分間、運動量を落とすことなく駆け抜けたサイドバック・松田陸。適性ポジションでの彼のプレーを見ることができたことで、プロのスカウト陣の目の色も変わったかもしれない。

「オーバーラップもタイミングがずれるとオフサイドになったり、カウンターを食らうので、そこは意識しました。きつかったのですが、すごく楽しかったです」

 もしかするとこの試合は彼のサッカー人生において、一つのターニングポイントになったかもしれない。次の決勝戦も後藤田の体調次第では、再び右サイドバックでプレーすることが予想される。

「今日、青森山田は左サイドから点を取っていた。ここがキーとなるので、自分がしっかりと潰していきたい。球際で負けず、最後もシュートブロックを必ずするなど、(右サイドバックとして)やるべきことをしっかりとしたい」

 ユース年代真の日本一の称号を持った青森山田を相手に、再び高精度のプレーを披露した時、松田陸の周りは一気に騒がしくなるだろう。来年の主役候補の産声とともに――。

文=安藤隆人

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