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駒澤大高が2年連続8強入り! ミス、激怒、奮起の3連コンボで4発大勝

2017.01.03

駒澤大高の4点目を決めた主将の高橋勇夢 [写真]=平山孝志

 ピッチ外のミスで怒られた選手の活躍が4得点の圧勝につながった。

 第95回全国高校サッカー選手権大会に出場している駒澤大高は、2日に臨んだ初戦を突破した夜に大目玉を食らっていた。大野祥司監督は「驕りだったと思う。全然ダメだった」と試合を振り返ったが、ダメだったのは、ピッチ上だけではなかった。翌3日、山梨学院に4-0で快勝しても選手が苦笑いだったのは、前日に選手のミスが発覚して大野監督から激しく叱責された後だったからだ。2回戦と3回戦は連戦で休みがない。チームスタッフは、選手を少しでも疲労から回復させようと考え、OBらの寄付金の一部を使って疲労回復に効果があるとされている水素吸入装置を購入し、使用させる考えを持っていた。ところが、主将の高橋勇夢ら主力選手が吸引に必要となるチューブを忘れて来ていたことが発覚。大野監督は「お世話になっている人に感謝していると言葉では言っているが、本気で感謝していない。感謝の気迫が足りない」と激怒。チームミーティングを取り止めて、選手を突き放した。

 3回戦を快勝した後、高橋は「たくさんの人の支えがあって、自分たちはホテルに泊まって調整を続けたりすることができているのに、軽率なミスをしてしまった。監督が怒るのもわかる。こんな状態のまま負けたら後悔すると思って、ミスをした5人を中心に話し合って、それぞれが自分自身に矢印を向けて(しっかりと)やろうと言った。謙虚になったことで良い試合ができた、良い結果につながったというところがある」と恥ずかしそうに話した。

 試合では、立ち上がりに鋭さを見せた駒澤大高が次々にゴールを奪った。前半7分、左コーナーキックからのヘディングシュートで先制。17分に左コーナーキックの流れからFW矢崎一輝が追加点を奪った。19分には、右MF栗原信一郎のワンタッチパスからボランチの西田直也が3点目を奪った。後半12分、右コーナーキックで生まれた混戦でこぼれ球を押し込んだのは、高橋だった。4点のうち3ゴールにつながったコーナーキックでキッカーを務めた長井虎之介は、チューブを忘れた1人。3点目をアシストした栗原も同じだ。高橋を含め、名誉挽回にかけていた選手たちの出足鋭いプレーがゴールにつながった。

 大野監督は「彼らが悪かったのは、僕のせいでもある。僕にも緊張感が足りなかった。自分が本気にならなければ、選手は本気にならないと思った」と、3回戦当日は宿舎を出る前に鏡の前に30分ほど座り、自問自答を繰り返して気持ちを整理。朝のミーティングで短く話した以外は、選手に任せたという。ミスを起こさない注意が必要なのは当然だが、ミスをした後の姿勢も大切だ。高橋は「今度は準備からしっかりやりたい」と言った。災い転じて福となす形で3回戦を突破し、5日にはチームの過去最高成績を塗り替える4強入りを狙う戦いに挑む。

取材・文=平野貴也

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