FOLLOW US

MF白川恵士朗とMF西尾翼は惜しくも落選/「NIKE ACADEMY MOST WANTED」グローバルファイナル最終日

2016.11.28

グローバルファイナルに日本代表として参加した白川(左)と西尾(右)[写真]=NIKE

 現地時間27日、若き才能を発掘することを目的とした世界規模のスカウトプロジェクト「NIKE ACADEMY MOST WANTED」のグローバルファイナルが最終日を迎えた。

 残念ながら、“日本代表”のMF白川恵士朗(無所属)、MF西尾翼(東海大学)という19歳の両MFは落選。イングランド・ナショナル・フットボールセンター(セント・ジョージズ・パーク)を拠点に活動するワールドクラスのアカデミー組織「NIKE ACADEMY」への参加資格を手にすることはできなかった。

 セレクション最終日に用意されたのは、入寮を目指す「NIKE ACADEMY」チームとの練習試合(11対11、45分×2)。 A、Bチームに分かれ、白川と西尾はBチームで2本目を戦うこととなった。

ナイキジャパン

 前日、「チームに気を遣いすぎて、ケアが多くなってしまった。その分、ワンテンポ遅れて攻撃に参加していたので、ボールが回ってくる回数も少なかった」と攻撃面での課題を口にしていた西尾が本領を発揮する。トップ下で先発すると、積極的にプレスをかけに行き、ボールを持てば円滑なパスワークから度々攻撃のスイッチを入れる。献身的な守備は相変わらずで、豊富な運動量を生かしてハードワーし続けた。本人としても一定の手応えがあったのだろう。試合後は「落ちたとしても後悔はない」と充実した表情を浮かべた。

ナイキジャパン

ナイキジャパン

西尾について、ギガーニコーチは「ポゼッションで積極性が足りなかった」と語る [写真]=NIKE

 一方の白川は“らしさ”を発揮できずに、「ダメダメですね」と苦笑い。前日の紅白戦では得意の左足からミドルシュートを叩き込み絶大なインパクトを与えたが、右ウイングで先発したこの日は「パスコースがなかった」と相手の厳しいプレスに苦しむ。前線でボールを受けてもなかなかフィニッシュまで持ち込めず、29分に交代を命じられた。

ナイキジャパン

ナイキジャパン

白川には「ハングリー精神やチームのために戦う意志を見せることが大事」と指摘する [写真]=NIKE

 そして、発表の時。今回は「NIKE ACADEMY」のジョン・グッドマン監督が待ち受ける部屋に1人ずつ入り、合否通知を受けるという手段が取られた。廊下で順番を待つ西尾が大きく深呼吸をする。緊張した面持ちで入室した彼に告げられた言葉は「今のところは『ノー』だ」。そして、白川にも同じ言葉が伝えられた。グッドマン監督は、「アカデミーには(2人が得意とする)10番のポジションの選手が何人もいて、競争が激しい。今、その席は空いていない」と落選の理由を説明する。つまり、グローバルファイナルでしのぎを削った選手だけではなく、現在アカデミーに在籍する選手もがライバルだったということだ。

波田野海

波田野海

前回のグローバルファイナルを通過した波田野(中央)。2人とプレーすることを楽しみにしていた [写真]=NIKE

 彼らが超えなければいけなかった存在――。そこには前回の通過者であるMF波田野海も含まれている。「NIKE ACADEMY」でスタメンを張っている波田野は、この試合にフル出場。得意のドリブルでチャンスを作りながら、2本目の終盤には自らゴールを決め、“先輩”としての貫禄を見せた。

 白川と西尾は悔しさを滲ませつつ、冷静に試合を振り返る。

「ゴールの意識が足りなかったと思います。もう少し、インパクトを残せたはず。今回は守備などを捨ててでも自分の良さを出そうとしたけれど、今日の試合ではそれが出せなかった」(白川)

「悔しいです。こういう環境で新たな課題が出て、この3日間考えながら取り組んだだけでも成長したと思う。ディフェンス面はできましたけど、攻撃でもっと強いプレーをしたかったです。相手が嫌がるパスやドリブルができれば良かった」(西尾)

「NIKE ACADEMY」自体の成長に伴って、グローバルファイナルの体系や選考基準も変化しているのだろう。今回は、過去に実施されてきたフィジカルテストはなく、ゲーム中心の構成になっており、その戦術確認の場では意図的にディスカッションの時間が設けられた。「アカデミーチームのバランスを見ながら、すぐに必要な選手を入れた。慎重に取ったということだ。10番のポジションを1人取ることもできたが、試合の出場機会がないだろう」とグッドマン監督。世界各国のセレクションを勝ち抜いた33名のうち、合格通知を受け取ったのは5名だった。

ナイキジャパン

グッドマン監督が直接合否を伝えた [写真]=NIKE

 それでも可能性が完全に消えたわけではない。指揮官は「2人ともいい選手だ。これから(アカデミーの)選手が抜けた場合、呼ばれる可能性は十分にある。これからも努力を続け、準備万端にしておいてほしい」と続け、Bコーチを率いたパトリック・ギガーニコーチも「ツバサはとにかくチームプレーヤーで、一生懸命にピッチを走り回っていた。戦術理解力も高い。ケイ(白川)はボールを持ったら本当にすごい」と評価。もし入寮できるのであれば、「もちろん、入りたいです」と、2人の強い決意は変わらない。

ナイキジャパン

合否を聞いた後、コーチ陣にアドバイスを求める西尾と白川 [写真]=NIKE

 人生を左右するであろう局面で下された1つの結論は望んだものではなかったが、「プロになって活躍する」という夢への道が閉ざされたわけではない。異国の地で世界基準を体感できたことは、これからのフットボール人生の大きな糧になるはずだ。西尾が「まずは大学で活躍しないとプロへの道は開かない。遠くを見ることも大事だけど、目の前のことをやっていきたい」と力を込めれば、白川もまた「チームに入っていないので、練習する環境がなくなってしまう。サッカーを続けられるようにいろいろと模索したい」と上を向いた。

 グローバルファイナルでの経験をいかに成長へとつなげられるか。若きフットボーラーが今、新たなスタートを切った。

クラシコ

SHARE

LATEST ARTICLE最新記事

SOCCERKING VIDEO