2016.06.15

昨季天皇杯で湘南に敗れ「本当に悔しかった」…桐蔭横浜大の3年生エース鈴木国友が語るプロ入りへの想い

サッカーキング編集部

「気持ちと行動が反対に進んでいた」。サッカーにおいて“本気”で悔しさを感じることなく中学、高校時代を過ごした鈴木国友に転機が訪れたのは、桐蔭横浜大学に入学後のことだった。関東大学リーグ1部や大学選抜、そしてプロとの真剣勝負で改めて知ったサッカーの楽しさ。飽くなき向上心が芽生えたストライカーは、さらなる飛躍の可能性を秘め、大学サッカーで成長を続けている。

インタビュー=平柳麻衣、写真=梅月智史(サッカーキング・アカデミー)、平柳麻衣、内藤悠史

サッカーは好きだったけど、だんだん真剣にやらなくなってしまった

――サッカーを始めたきっかけは?
鈴木 僕は3兄弟の一番下なんですけど、お父さんもお兄ちゃんもサッカーをやっていたので、小さい頃からほぼ毎日お兄ちゃんたちとボールを蹴っていました。本格的にチームに入ったのは小学1年生の時で、地元のチームに入りました。

――当時はどんなプレースタイルだったのですか?
鈴木 本当に負けず嫌いで、ズルをしてでも勝ちたいと思っていました(笑)。小学3年生まではFWで、4年生からは6年生のチームで試合に出るようになり、その時はチーム事情でボランチをやっていました。今とは全然プレースタイルが違って、中盤でボールをさばいていたんです。5年生の時もボランチやトップ下などの中盤をやっていて、6年生からFWに戻りました。

――中学時代は湘南ベルマーレU-15小田原でプレーしていますが、どういう経緯で加入したのですか?
鈴木 小学6年の時に小田原市の選抜に入っていて、地元の中学校よりもベルマーレの方がレベルが高いことを知りました。「少しでもレベルが高いところでやりたい」と思って、(横浜F)マリノス(ジュニアユース)やJFAアカデミー福島(U-15)など複数のチームを受けた中、ベルマーレに受かったので入りました。

――クラブユースのレベルはどのように感じましたか?
鈴木 小学生の頃は「自分が一番うまい」という環境にいたことが多かったんですけど、ベルマーレに入って、(東京)ヴェルディ(ジュニアユース)や浦和レッズ(ジュニアユース)など、他のJクラブユースと対戦して、持っていた自信が一発で砕かれました。

――湘南に入ってすぐにですか?
鈴木 はい。入ってすぐに浦和と試合があったんです。ベルマーレ小田原は小田原市付近の選抜メンバーが集まっていたチームだったので、「俺らが集まったら強いよな」と言い合っていたんですけど、いざ浦和と対戦してみたら0-5くらいで負けて、「上には上がいたな」とそこで初めて思い知らされました。

――中学時代で印象に残っていることはありますか?
鈴木 自分のサッカー人生の中で、中学での3年間が最も印象が薄いんです。言い訳なんですけど、やっぱり中学生だったので遊びたい気持ちもあったし、その3年間だけは100パーセントの気持ちでサッカーに向かっていなかったと思います。

――その頃はもっと上を目指したいとは思っていなかったのですか?
鈴木 プロになりたい気持ちは小さい頃からずっとありました。でも、その時は気持ちと自分の行動が反対に進んでいる感じだったんです。サッカー自体はすごく好きだったんですけど、勝てない試合が多かったので、だんだん真剣にやらなくなってしまいました。同じ中学校にベルマーレのチームメートが5人いたので、いつもその5人と「遊んじゃおうぜ」という流れで。今でもすごくもったいない時期だったなと思います。

――その後は相洋高校に進学しました。
鈴木 中学時代は特に良い成績を残せなかったのでユースに上がれず、どこの高校に行こうかなと考えていた時に、相洋高校の監督がわざわざ中学校まで来て誘ってくれたんです。他の学校にも興味があったので悩んだんですけど、親から「自分を評価してくれる人がいる方が伸びるよ」と言われて、相洋に決めました。

――高校に入って、試合に出たのはいつ頃からでしたか?
鈴木 西湘地区選抜という相洋高校の選手がメインとなる1年生の選抜チームがあって、僕も含め相洋から10人くらいが受けた中で7人が受かったんですけど、僕は落ちた3人のうちの一人でした。それが高校生活のスタートです。1年目はずっとトップチームには絡めず、2年生からスタメンで試合に出させてもらいました。

――当時はどんなプレーヤーだったのですか?
鈴木 みんなが自分にボールを集めてくれたので、「自分が決めなきゃいけない」と責任を感じながらやっていました。その頃からスピードが武器になりつつあったので、守備は周りに任せて、自分はずっと前線にいることが多かったです。

――高校時代で一番記憶に残っている大会は?
鈴木 2年生の時にK1リーグ(神奈川県U-18サッカーリーグ1部)で優勝することができました。その年のインターハイで日本一になった三浦学苑高校と全勝同士として当たった試合は、自分がアシストして1-0で勝てたので、本当に印象に残っています。

――選手権(全国高校サッカー選手権大会)予選やインターハイ予選の思い出はありますか?
鈴木 2年生の時の選手権は県大会のベスト8まで勝ち進んだんですけど、準々決勝の直前に修学旅行に行ったんです。当初は、選手権があるから自分たちは行かないと言っていたんですけど、監督から「学校行事が優先だ。体調不良とか嘘をついて休むなよ」と言われて、参加することになりました。

――修学旅行はどこに行ったのですか?
鈴木 九州です。文系のクラスだったので、遺跡を見学したりなど、勉強を兼ねての旅行でしたけど、夜はみんなでワイワイ盛りあがって楽しかったです。旅行中は毎朝早く起きて練習したんですけど、やっぱりコンディションは落ちてしまって。そして、帰ってきた次の日に準々決勝に臨みました。

――万全の状態で臨むことができなかったのですね。
鈴木 はい。試合中に両足がつってしまいました。その年の選手権で全国3位まで行った桐光学園高校が相手で、1-2で負けたんですけど、県大会の中で唯一、桐光学園から点を取れて、自分もアシストできたことは良かったです。

――神奈川県には強豪校が多いですが、印象に残っている対戦相手はいますか?
鈴木 チームでは、湘南工科(湘南工科大学附属高校)です。KSリーグ(高円宮杯神奈川県U-18サッカーリーグ KSグループ)で優勝したチームなんですけど、対戦する機会が多かったので、今でも仲が良い友達がたくさんいます。湘南工科は、試合中に「勝てないな」と感じてしまうほど強かったです。個人で印象に残っているのは、日藤(日本大学藤沢高校)から神奈川大学に行った寺前光太です。高校時代から有名でしたし、大学でもマッチアップする時には意識します。

――高校時代につらかった経験や苦労したことなどはありましたか?
鈴木 今思えば、高校時代もそれほど「上に行きたい」という強い気持ちはなく、「上に行けたらいいな」くらいのモチベーションだったので、試合に出られなくても本気で悔しさを感じることはなかったですし、あまり挫折とは捉えていなかったです。

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本気でプロを意識するようになったのは、関東大学選抜に入った時

――その後、どういう経緯で桐蔭横浜大に進学したのですか?
鈴木 最初は他の大学から声をかけてもらっていて、3年の夏頃から練習にも参加していました。でも、声をかけてくれた大学は2部だったので、1部の桐蔭のセレクションを受けてみようと思って受けたら、八城(修)監督が高く評価してくれて、セレクションの2日後くらいに「明日までに返事がほしい」と連絡をもらいました。相洋のコーチは「試合に出てなんぼの世界だよ」と言って桐蔭をあまり勧めなかったのですが、監督には「自分でつかんだチャンスだから、挑戦するのもありじゃないか」と言われました。親にも相談したんですけど「どっちでもいいから自分で決めなさい」と言われて、悩んだ結果、やっぱり1部で挑戦してみたいと思い、桐蔭に決めました。

――その頃には「上に行きたい」気持ちを強く持っていたのですね。
鈴木 はい。高校、大学と上がっていくにつれて、徐々に向上心が強くなっていきました。自分のプレーが通用するようになってきたので、上に進むイメージを描きやすくなったんだと思います。でも、桐蔭に行くことを決めた時は、自分が関東大学リーグ1部で試合に出ている姿は全く想像できなくて、恐る恐る行った感じではありました。実際に入ったら、(石川)大地のように高校選抜に入っている選手もいましたし、青森山田(高校)や流経(流通経済大学付属柏高校)のように、自分にとってはテレビで見る存在の高校出身の選手ばかりで。サンフレッチェ広島や川崎フロンターレなど、Jユースから来ている選手もいた中、相洋は無名だったので、最初は「相洋ってどこ?」とみんなにイジられることもありました(笑)。

――入学当初、大学サッカーのレベルはどのように感じましたか?
鈴木 強豪チーム出身の選手たちはみんな、「高校の方が練習がキツかった」と言って、練習後に自主練をしていたんですけど、自分は大学の方がキツいと感じて、チームの練習だけでクタクタになってしまっていたので、最初の1、2カ月はついていくだけで必死でした。

――それでも1年目から出場機会を得ました。どのようにアピールしたのですか?
鈴木 FWは点を取れる選手が一番評価されるので、育成リーグや練習試合で毎試合のように点を取ってアピールしました。

――今シーズンもすでに2ゴール決めています(取材は2016年5月19日に実施)。点が取れる要因は何だと思いますか?
鈴木 高校時代に個の力を磨けたことだと思います。Jユースのように全員がうまいチームだと、パスを細かくつないで組織で崩す傾向があると思うのですが、高校サッカー部は個々の実力差があって、うまい人もいれば少し劣ってしまう人もいる。その中だと、最後は個に頼る部分が多いんです。ゴール前では「自分が、自分が」という感じでプレーしていたし、ドリブルで突破して点を取ることも多かったので、個の力が身についたんだと思います。

――今年で大学3シーズン目ですが、ここまでの大学生活はいかがですか?
鈴木 八城監督が自分を変えてくれて、チャンスを与えてくれたことに本当に感謝しています。入学したばかりの頃、八城監督から「自分のサッカー観を180度変えろ」と言われて、衝撃を受けました。自分としては、それが正しいと思ってずっとやってきたので、「何で180度も変えなきゃいけないんだ?」と思って。

――具体的には、どんなことを変えるように言われたのですか?
鈴木 練習に対する姿勢だったり、パスやシュート、トラップ一つにしても、高校時代はなあなあにやってしまっていた部分があったんですけど、八城監督はパス1本やステップの仕方、体の向きまでも厳しく指摘します。以前の自分のままだったら、「また同じことを言ってる」としか思わなかったと思うんですけど、今は自分の中でサッカーに対する考え方が変わったので、「自分に良かれと思って言ってくれてるんだな」と素直に受け入れることができています。

――八城監督が鈴木選手のサッカー人生に大きな影響を与えてくれたんですね。
鈴木 サッカー面で大きく成長させてもらったのは八城監督ですが、高校の時の綱島(陽介)コーチの存在も大きかったです。綱島コーチはサッカー面だけでなく、進路や学校生活のことでもいろいろと助けてもらって、一人の人間として成長させてもらいました。

――大学に入ってからはプロのチームと対戦する機会もありましたが、プロを本格的に意識するきっかけになりましたか?
鈴木 本気でプロを意識するようになったのは、1年生で関東大学選抜に入った時です。デンソーカップ(第29回デンソーカップチャレンジサッカー広島⼤会)で全日本大学選抜と対戦して、上のレベルを知ることができました。当時のチームメートや全日本大学選抜はほとんどが卒業後にプロに行った人ばかりで、みんな本当にうまかったので、自分自身もプレーしていてすごく楽しくて。そこから「本気で上を目指そう」と思うようになりました。

――アドバイスをもらった選手や、特に刺激を受けた選手はいましたか?
鈴木 藤本佳希(明治大学/現ファジアーノ岡山)君は当時3年生で、一緒にお風呂に入ったりしながら、「お前は俺の1年目よりうまいから、もっとがんばれよ」と言ってくれました。その後、リーグ戦で対戦した時には、自分が試合に出ていなくても「がんばれよ」と声をかけてくれて。佳希君は選抜の時も練習後に一人で残ってシュート練習をやっていましたし、練習前の準備や練習での取り組みなど、サッカーに対する姿勢の部分がすごく参考になりました。

――昨季は第95回天皇杯全日本サッカー選手権大会に出場し、湘南と対戦しました(3-4で敗戦)。プロのレベルはどのように感じましたか?
鈴木 関東大学リーグと比べて大きくは変わらないと思うんですけど、パスや動きの質など、細かな部分のレベルが高いなと感じました。その試合で坪井(慶介)選手とマッチアップしたんですけど、坪井選手はちょうど僕たちがテレビで日本代表の試合を見て憧れていた世代の選手なので、試合前にすごく気持ちが高まってしまったんです。あまりにも高まりすぎて空回りしてしまい、自分のプレーは全然ダメでした(苦笑)。坪井選手は特別体が強いわけでもなく、特別足が速いと感じたわけでもなかったのですが、すごくプレーしづらかったです。マークの距離感が良いのか、要因はわからないですけど、チームとしては3点取った中、自分自身の出来は全然ダメだったので、あの試合は本当に悔しかったです。

――今後プロに行くためには、そのレベルまで成長しなければいけないということですね。
鈴木 坪井選手のようにレベルが高いDFも圧倒するくらいの選手にならないと、プロのクラブから欲しいと思われないと思っています。自分はまだまだだなと思い知らされた試合ではありましたけど、通用した部分と通用しなかった部分がわかったので、良い経験になりました。

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毎試合点を取って、自分がチームを勝たせたい

――今季はチームのエースとしての活躍が期待されていると思いますが、ここまでの今シーズンの戦いはいかがですか?
鈴木 チームは上位にいますけど、自分がもっと点を取れれば勝てた試合が多い印象です。早稲田大学戦も明治大戦も日体大(日本体育大学)戦も、チャンスがない引き分けではなく、チャンスを作れた上での引き分けだったので、非常にもったいない試合でした。今シーズン、試合後に満足できた試合が1試合もありません。

――点が取れた試合も含めてですか?
鈴木 はい。1年生の時は点が取れただけで気分が良くて、「よし、今日は取ったぞ」ってウハウハしながら帰っていました(笑)。でも今は、点が取れたことに対してはうれしいと思いますけど、「もっと取れたはず。もっと他の場面で良いプレーができたはず」と毎試合反省が残ります。「今日は自分の力が出しきれた」と感じる試合がないので、すっきりしないです。

――挙がった反省点は次の試合に活かせているのですか?
鈴木 活かそうという気持ちはあるんですけど、一つ改善したらまた次の課題が出てきてしまいます。でも、反省点が出ることは、それだけ自分が伸びるということなので、良いことだと捉えているんですけどね。逆に、「もし試合後に満足してしまうことがあったら……」と思う方が怖いです。

――前期リーグも終盤ですが、今シーズンはどんな目標を立てて臨んでいるのですか?
鈴木 ゴール数も大事ですけど、毎試合点を取って、自分がチームを勝たせる試合を多くしたいです。これまでの負けた試合、押されていた試合、引き分けた試合で自分が1点でも取っていれば、チームは楽になったと思うんです。FWは10回チャンスがあってゴールを決められない試合もあれば、たった1回のチャンスで決められる試合もあります。責任感が問われるポジションなので、シュート1本1本にこだわって、自分でチームを勝たせる試合を増やしたいです。

――最後に、これからプロに行くために、残りの大学生活をどのように送りたいですか?
鈴木 本当にここからの1年半が大事です。得点やアシストといった目に見える結果を残し続ければ、プロのスカウトの目に止まると思います。そして大卒でプロになって、プロで活躍することを目標にがんばりたいです。

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