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敗戦から学び、強くなって帰ってきた神村学園…園田悠奈「インハイ予選は曖昧だった」

2016.01.07

神村学園の背番号10を背負う園田悠奈 [写真]=吉田孝光

 6日に行われた第24回全日本高等学校女子サッカー選手権・準々決勝で常葉学園橘高校(東海第2代表/静岡)と対戦した神村学園高等部(九州第1代表/鹿児島)が、1-1からPK戦にもつれた試合を3-1制し、2年ぶりのベスト4進出を決めた。

 試合開始のホイッスルが鳴ると同時に、神村イレブンはエンジン全開で常葉橘ゴールへと襲いかかる。そして4分、早々に神村が先制。相手に体を寄せられてもぶれることのないボールキープと、パワフルなサッカーで、あっという間に神村が主導権を握った。その後も積極的にシュートを放ち続け、優勝候補の常盤木学園高校(東北第1代表/宮城)を2回戦で下してきた常葉橘を、相手陣内に押し込んで試合を進める。

 神村OGのDF有吉佐織(日テレ・ベレーザ)やMF柴田華絵(浦和レッズレディース)を彷彿とさせるテクニックでドリブルを仕掛け、左サイドを制する2年生FW園田悠奈を中心とした神村の攻撃が、追加点を生み出すのは時間の問題と思われたが、常葉橘は人数をかけた守りで応戦。ついに1-0のまま後半アディショナルタイムへと突入した。すると、後半終了間際に常葉橘がCKから同点弾を決める。試合内容では神村が優勢だったが、勝敗はPK戦へと委ねられた。

 常葉橘と同県にある、藤枝順心高校(東海第1代表/静岡)の控え選手たちも応援に加わった試合会場の雰囲気は、この時、常葉橘の方に傾きかけていた。

 しかし今年の神村は、敗戦から多くのことを学び、そして強くなってきた。

 夏のインターハイは予選で敗れ、「インターハイ予選は攻撃の起点を作ることなく、曖昧にサッカーをして、そのまま負けてしまった。それからは、サイド攻撃を徹底して練習してきた」と園田が話せば、昨年末の皇后杯で日体大FIELDS横浜に1-5の完敗を喫した後には、「前線からボールを奪うことの大切さを学んだ」と、神村の寺師勇太監督。

 そして、約1年前の高校女子選手権では、この日の試合会場と同じ、三木総合防災公園陸上競技場で村田女子高校(東京)にPK戦の末に敗れ、1回戦で敗退。それから1年間、神村はPK戦の練習を繰り返し行ってきた。前回大会の悔しさを振り払うかのように、この日、PK戦でキッカーを任された神村の選手たちは、際どいコースへのキックを正確に、そして力強く決めてみせた。

 前後半で、常葉橘の5倍に当たる15本のシュートを放ち、内容では圧倒した試合を振り返って、今年の神村の背番号10を背負う園田は、はにかみながら話す。

「それにしても、内容面では今日はちょっと出来過ぎですかね」

 負けて、学んで、勝つ。自らの未熟さを知っているだけに、今年の神村は強い。

文=馬見新拓郎

By 馬見新拓郎

10年以上にわたり女子サッカーを追いかける気鋭のライター

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