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2連覇中の日ノ本が初戦敗退…前を向く田邊監督「負けから学ぶことがある」

2016.01.04

敗戦に肩を落とす日ノ本の選手たち [写真]=吉田孝光

 今大会の1回戦で最大の注目カードとなった、日ノ本学園高校(関西第2代表/兵庫)と常盤木学園高校(東北第1代表/宮城)の対戦は、1-0で常盤木が制した。

 前回大会の決勝戦と同じ対戦となった試合には、約3,000人の観客が集まり、両校のOGである現役のなでしこジャパン選手やなでしこリーガーも客席に座って応援に加わっていた。

 さらに、夏のインターハイを制した日ノ本が1回戦で姿を消したことは、今大会の大きなトピックスとなった。試合後に記者からそう問われた日ノ本の田邊友恵監督は、首を横に振りながら「今日の負けは波乱ではないですよ。完全な力負けです。パワーもメンタリティも、いろんな面で負けでした」と素直に敗戦を受け入れた。

 しかし、前半途中まではこれまでの日ノ本らしい力強いパスと、見事なインターセプトの連続で圧倒的に中盤を支配し、常盤木に勝っていた。だが中盤でリズムよくボールを回していたこの時間で、得点に結び付けられなかったことが後悔の素となる。

 この日唯一の得点は63分、MF鈴木日奈子のロングシュートがクロスバーに直撃し、それにMF倉谷也海が詰めて押し込んだ。

 日ノ本は1年生から試合出場を続けるエースのFW目原莉奈が、この日5本のシュートを放ち、試合終了間際にペナルティエリア内右からゴールを狙うシーンがあったが、これはオフサイドの判定。ついに日ノ本は1得点も奪えないまま今大会から去ることとなった。

 強豪の常盤木に対してライバル視しながら徐々に力をつけ、近年の高校女子サッカー界をけん引してきた日ノ本は全国から才能が集まる強豪校となり、数々のなでしこリーガーを輩出するまでになった。

 しかし、今大会は成す術無く80分での敗退。そもそも1回戦で常盤木と対戦することになったのも、関西予選大会の決勝で敗れ、関西第2代表となったことが要因だったと言える。しかし、田邊監督はそれをも否定しながら謙虚に反省を続ける。

「勝ち切れる練習をしてくることができなかった。もし決勝で対戦しても勝ち切れなかったでしょう。試合後の選手を見ると、かなり悔しがっている。1回戦で負けたことは、彼女たちにとって一番悔しい負け方だったと思う」

 今大会の日ノ本の主力は、2年生の目原を始め1、2年生が多くを占める若いメンバーだ。チームの中心だったU-19日本女子代表(ヤングなでしこ)のMF平塚万貴がケガで欠場したこともチームに大きなダメージを残した。

 田邊監督は「負けから学ぶことがある。優勝してきたこれまでの大会と同じように、今大会も大事な大会になったと言える」と、約3,000人が集まって賑やかだった会場を、静かに後にした。

 本命が早速消えた今大会。波乱の連発を予感させるような、大会初日の出来事だった。

文=馬見新拓郎

By 馬見新拓郎

10年以上にわたり女子サッカーを追いかける気鋭のライター

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