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チーム全員で乗り切った負傷者続出の危機、聖和学園が見せた団結の力

2015.11.08

 第94回全国高校サッカー選手権大会宮城県大会の決勝戦は聖和学園高校が宮城県工業高校との延長戦までもつれたゲームを3-2で制し、2年連続3回目の優勝を決めた。

 プリンスリーグ東北では優勝争いに食いこんだ県内屈指の強豪。優勝候補の筆頭だったが、決勝を迎えるにあたり大きな危機に直面していた。8月に絶対的なエースストライカーだったFW谷田光が骨折で離脱。今大会ではベンチ入りしたが、ベストコンディションではなく、準決勝は出場を回避していた。さらに準決勝ではボランチのMF木部大嗣が大会前から傷めていた腰の状態が悪化し前半で交代。決勝は両名とも先発を回避することになった。

 しかし「みんなであいつら(谷田、木部)の分までやろうと話していた」と2ゴールを挙げたFW波田野海が語るとおり、この状況がチームの団結を生んだ。後半アディショナルタイムのラストプレーでチームを救う同点ゴールを挙げたのは、木部の代役で出場したMF菊谷篤資だった。「もらったチャンスは生かさないといけない」と、木部の負傷で巡ってきた大舞台の先発出場をチャンスと捉え、貪欲にプレーしたことが結果につながった。

 キャプテンのDF丹野裕太は「誰が出ても同じ状態でプレーできる準備はできている」と語る。夏までは谷田の爆発的な得点力に依存した部分があったチームだったが、谷田離脱後は様々な選手が得点を取るようになり、いつしかどこからでも点が取れるチームへと変貌していった。「今はどこからでも点が取れる」と、菊谷も胸を張る。

 丹野が決勝後に語った「これだけ良いチームメートを持って幸せ」という言葉がまさに団結力の強さを物語る。加見成司監督は「ここへきて目標を見据えてまとまりが出てきて良かった。勝つために何が大事なのか彼らが気づいてくれたのがうれしい」と選手たちの人間的な成長を喜んだ。東北屈指のテクニシャン集団はテクニックに溺れることなく、強固な団結力を武器に、全国の舞台での大暴れを誓う。

文・写真=小林健志

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