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“5度目の正直”へ…前橋育英が挑む選手権ベスト4の壁【高校選手権4強紹介】

京都橘との準々決勝に先発した前橋育英のメンバー [写真]=木村善仁

 大会初戦となった2回戦の初芝橋本(和歌山県代表)戦は、非常に低調なスタートだった。動きが堅く、パスミスが目立ち、1-0で勝ちはしたが、持ち前の高いポゼッションからの連動した崩しは影を潜めた。

 3回戦の山梨学院大附属(山梨県代表)戦では、初戦とは見違えるほど動きは良くなった。ボランチの鈴木徳真(U-17、U-19日本代表)が高い位置に頻繁に顔を出すようになり、バイタルエリアの崩しに関わり始めると、MF渡邊凌磨(U-17、U-19日本代表)と坂元達裕の両サイドハーフが、より前を向いてボールが受けられるようになり、持ち前のパスワークが見られるようになった。

 しかし、「ただパスを回しているだけ。パスがシュートに繋がっていない。パスゲームをしにきたんじゃない」と、ハーフタイムに山田耕介監督の檄が飛ぶと、後半は渡邊、FW青柳燎汰、関戸裕希のアタッカー陣が積極的にシュートを放った。

 だが、枠こそ捉えるも、1点ビハインドで迎えた50分に、初戦の決勝点と同じくCKからのCB宮本鉄平のヘッドで同点にした以外は、ゴールに至らず。PK戦の末の辛勝だった。

 もともと攻撃力がウリだったチームが、本領発揮とは言えない勝ち上がりで、準々決勝を迎えた。しかし、低調なスタートだった分、選手たちは試合を重ねるごとに意識を高めていくことが出来た。

 そして、京都橘(京都府代表)との準々決勝ではついに攻撃陣が爆発した。試合前日の食事後、山田監督に「点も取れていないのにヘラヘラするな!」と、夕食時の態度を注意された。青柳は「確かにその通りだと思った」と、この試合で選手たちは発奮。

 立ち上がりから、これまでとは打って変わって高いDFラインを敷いた。「今日は強気で行った」とCB岩浩平が語ったように、前への圧力を強めて行った結果、前半8分にGK吉田舜のパントキックを渡邊が受けて浮き球のスルーパス。これを青柳がループで沈め、今大会初となるセットプレー以外でのゴールが生まれた。

 これで堰を切ったかのように、ゴールラッシュを見せる。前半37分には鈴木、下山峻登の連携から、青柳が2点目。後半には坂元とMF横澤航平が加点し、4-0の圧勝を飾った。

「みんな相当気合いが入っていた。特にFW陣は前へ前への意識が強くて、僕もプレーしやすかった。良い連携が取れた」と鈴木はようやく安堵の表情を浮かべていた。

「優勝候補と目されているけど、昨年は出ていないし、2年前の選手権を経験した選手もほとんど居ない。そんな中での選手権だったので、独特の雰囲気もあって全体的に堅かった。全体的に引き気味になってしまい、やりたいことが出来ないもどかしさがあった」

 鈴木が語ったようにプレッシャーが普段の自分たちを出せなくしていたが、守備陣の奮闘や悪い中でも勝ちきる勝負強さがベースに合ったからこそ、初戦より3回戦、3回戦より準々決勝と言う流れを自分たちで作り上げることが出来た。

 ベスト4はこれで通算5回目。過去4回はいずれもここで敗れており、前橋育英は一度も選手権決勝に進んだことが無い。しかも、4回のうち1回は第87回大会の準決勝で、この時は国立競技場が使えずに準決勝だけ埼玉スタジアムで行われた。試合は大迫勇也(現ケルン)擁する鹿児島城西に敗れている。山田監督に取っては2度目の埼玉スタジアムでの準決勝だ。

「もうね、準決勝には魔物が棲んでいると言うか、もう『俺は呪われているのか?』と思うほど勝てない。今年はいつもと違って、セットプレーから点が取れているし、PKも勝っている。今年こそはという感じだね」(山田監督)。

「僕たちが歴史を作りたい。それが出来るチームだと思う」(鈴木)。

 準決勝ではより強気に、より攻撃的に。自分たちの武器を持って、これまでのジンクス、『呪い』を払拭する意気込みだ。

文=安藤隆人

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