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インハイ決めた矢板中央のDF星キョーワァン、「うおぁぁ」の雄叫びで圧倒的な空中戦の強さを誇る

2014.06.25

矢板中央の星キョウワァン。【写真】=安藤隆人

「うおぁぁぁぁ!!!!!」。

 矢板中央自陣のエンドライン付近で写真を撮っていると、唸りを挙げるような大きな声が聞こえた。

 この声の主はDF星キョーワァン。インターハイ栃木県予選決勝・矢板中央VS佐野日大。矢板中央の2年生CBである星は、コンゴ人の父と日本人の母を持ち、184センチの長身と抜群のバネを武器に、圧倒的な空中戦の強さと対人能力の高さを誇る。

 冒頭の声は、ヘッドで相手のクロスやロングボールを弾き返す時に出た声であった。長年、ユース年代を見てきたが、空中戦の競り合いの時に気合の声を出す選手は、ほとんどいなかったが、現在、鹿島でレギュラーCBとして活躍する植田直通も声をあげていた。大津高校時代の試合は何度も取材をしたが、空中戦の時の「うおりゃぁぁぁ!!!」という声は、もはや名物となっていった。植田に声を出す理由を聞くと、「声で相手をビビらせることと、自分への気合というか、その方が遠くに飛ばせるんです」と語っていた。それを思い出しながら、試合後、星キョーワァンに話を聞いた。

「僕の中で、声を出して競ると、相手に負けない気持ちになるんです。『俺の方が強いぞ!!』という気持ちになるし、実際に声を出して競った時は、競り負けないんです」

 植田と同じような答えが返ってきた。そのことを伝えると、「えっ、本当ですか?植田選手のような凄い人と同じなんて嬉しいですね」と初々しい笑顔が返ってきた。

「空中戦と対人では、絶対に負けたくない。コーチングも含め、もっと自分がDFラインを引っ張っていくプレーをしたい」

 この言葉通り、佐野日大戦での星の存在感は絶大だった。準決勝で左ひざを負傷し、この試合の出場は危うかった。しかし、「昨年は先輩たちが選手権に導いてくれたから、僕は選手権のピッチに立つことが出来た。今日、(高橋健二)監督から『今年はお前が先輩たちを全国に連れて行ってくれ』と言われ、出場しようと思った」と、強行出場を決意。

 前回の選手権予選は試合に出場しなかったが、選手権本戦の初戦・四日市中央工(2-3の敗戦)戦で後半19分から出場し、全国のピッチを踏みしめた。まさに周りに連れて行ってもらった全国。今年は自分が連れて行く番だと、みなぎる気合をピッチ上にぶつけた。

 空中戦はことごとく勝ち、相手のドリブルや裏への飛び出しを、鋭い読みと激しい球際を発揮して、シャットアウト。1失点こそ喫したが、星がいなかったらもっと失点をしていたかもしれない。2-1の勝利に貢献し、チームを3年ぶり6度目のインターハイ出場に導いた。

「お手本の選手はダビド・ルイスとチアゴ・シウバ。フィジカルの強さと対人の強さなど、本当に勉強になる」

 2人の偉大なるCBから学びながら、注目の2年生CBは、更なる自覚と向上心を持って、成長しようとしている。気合いの雄たけびと共に。

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