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FC東京U-18出身の中大1年生FW矢島輝一が魅せたオーバーヘッド

2014.05.20

同点ゴールを決めて雄叫びをあげる中大FW矢島(背番号37)【写真】=川端暁彦

 窮地のチームを救う一発は、人生初のオーバーヘッドキックだった。

 18日、関東大学サッカーリーグ第9節。中央大学と明治大学の名門対決は、内容的に後者が上回る形で推移していた。前半終了間際の45分には、FW矢島倫太郎のアーリークロスをMF藤本佳希が粘り強く押し込み、1-0とリードを奪っていた。

 ただ、追加点は生まれない。「3-0くらいの試合内容」と明大・神川明彦監督が苦笑いを浮かべたように、ボールを持って押し込む展開ながら攻撃がゴールという形で実ることはなかった。そしてこうなると、しばしば「罰」が待っているものである。後半終了間際、まさに残りワンプレーあるかというタイミングで、中大のなり振り構わぬ攻勢が結実する。

 さかのぼること15分ほど前の後半30分過ぎ、中大は一人の大型FWをピッチに送り込んでいた。4月に入学したばかり、FC東京U-18出身の1年生FW矢島輝一だ。この185センチの大型FWをターゲットとした攻めは、思わぬ形で同点ゴールとなる。ゴール前、ふわりと浮いたボールに対し、ゴールに背を向けた矢島の決断は「オーバーヘッドしかない」。とっさに浮かんだイメージ通りの動きでボールを叩き、ゴールネットを揺らした。唐突に「オーバーヘッドしかない」と思った割りには、「公式戦で決めるのは初めて」のミラクルショットだった。

 ルーキーながら開幕早々から出場機会を得ている期待株は、「高校年代だと僕はデカいほうだけれど、大学サッカーだとこのくらいの高さは普通。体の強さで言えば、弱いほうになってしまう」と自己分析。「体を張れば収められた」高校時代とは違う形で、「前を向いて怖さを出す」方法論を模索している。とっさの一撃は、「とりあえず収めておく」「ポストプレーに徹する」といった意識ではなく、本人が目指している「まずはゴールを狙う」という意識の賜物だったのかもしれない。

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