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鵬翔のFW北村、選手権優勝からの現在

2014.05.15

3年生になった鵬翔高校・北村知也【写真】=安藤隆人

 本連載の著者である安藤隆人氏は、元銀行員という異色の経歴を持つサッカージャーナリスト。今では、高校サッカーを中心に日本列島、世界各国を放浪し精力的な取材を行っている。巷ではユース教授と呼ばれる。本連載では安藤氏の“アンダー世代”のコラムをお届けする。

文=安藤隆人

 一昨年度の選手権において、宮崎県勢初の全国制覇を成し遂げた鵬翔高校。この大快進撃を1年生ストライカーとして支えたFW北村知哉は、新たな決意の下、最高学年を迎えている。

 一昨年は1年生ながらナンバー10を背負い、レギュラーとして選手権に出場。思い切りの良いドリブル突破でチャンスを作り、1得点をマークするなど、優勝に貢献した。一躍脚光を浴びたが、昨年は一転し、非常に苦しい1年となった。2年生になった北村は、かつて興梠慎三(浦和)が背負っていた、チームの伝統的なエースナンバー13を引き継ぎ、名実ともにチームのエースとなった。

「13番を背負うのは責任があるけど、自分らしくプレーをしたい」

 こう語っていたが、『選手権覇者のエース』としてのプレッシャーは想像以上だった。

「どんな時でも点が取れるストライカーになりたいが、昨年はそれが出来なかった」と語ったように、対戦校からは常に『選手権覇者のエース』と見られ、執拗なマークに合い、思うようなプレーが出来なかった。インターハイ予選準決勝では、都城工にまさかのPK負け。2連覇が懸った選手権予選に立ちはだかったのは、県内最大のライバル・日章学園だった。

 これまで幾度となくその行く手を阻んできた日章学園。一昨年の選手権予選は日章学園が準決勝で敗れ、直接対決することなく優勝をしただけに、彼らを倒すことは鵬翔にとって、非常に大きな目標だった。

 しかし、日章学園と激突した準決勝。2-1のリードで迎えた後半ロスタイム、ラストプレーで同点弾を浴び、PK戦の末に敗戦。結局2年の時には、1年間全国大会に出られないまま終わってしまった。

「天国と地獄を味わった。今年は最後の1年なので、絶対にいい思いをしたい」

 今年の北村は並々ならぬ決意を持って、高校最後の1年間に臨んでいる。「このチームは全国でも十分に戦えるチーム。みんなと協力しながら、全国に出て結果を残したい」と、キャプテンに就任したことで、常にチーム全体の事を考えながら、精神的支柱としても存在感を放っている。

 それが早くも結果となって表れた。強豪ひしめくプリンスリーグ九州1部では、開幕からゴール量産体制に入っている。開幕戦で1得点1アシストの活躍を見せると、第2節では日章学園を相手にまたも1得点1アシストの活躍で、2-1の勝利の立役者に。第6節を終了し、チーム総得点の11得点中、6得点をマークし、リーグの得点ランキング1位を独走している。

「去年悔しい思いをした分、全力で巻き返していきたい」

 日章学園を破っての全国大会出場は 2年前のチームも果たせなかった。天国と地獄を見て、大きく成長したエースストライカーは、目標に向かってまっすぐに走り出している。

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